理工系人材のさらなる育成を 産学官で行動計画

文部科学省と経済産業省が共同で設置している「理工系人材育成に関する産学官円卓会議」が、理工系人材の育成に向けた、産学官行動計画をまとめました。大学院博士課程の人材養成と産業界とのミスマッチの解消などと並んで、理工系人材の裾野を拡大するために、小学校から高校までの理工系教育の充実を柱の一つとして掲げているのがポイントです。

理工系人材の裾野を広げるため初中教育を重視

21世紀の社会では、これまで以上に理工系の人材が必要となります。しかし日本では、大学教育の多くが文系で占められており、理工系人材をいかに多く養成していくかが大きな課題となっています。このため文科・経産の両省は、理工系人材の育成について、産学官が対等の立場で話し合う場として、同円卓会議を設置しました。

まとめられた産学官行動計画では、短期的と中長期的なものに分けて、産業界・政府・教育機関のそれぞれが果たすべき役割などを提言しています。

行動計画は、
・産業界のニーズと高等教育のマッチング方策、専門教育の充実
・産業界における博士人材の活躍の促進方策
・理工系人材の裾野拡大、初等中等教育の充実
の三つの柱で構成されています。

産業界のニーズと大学教育のマッチング、博士課程の人材育成の充実と企業での受け入れ拡大などの他に、小学校から高校までの理工系教育の充実、理工系の進路を意識したキャリア教育の実施などが、今後の方策として盛り込まれました。

突出した能力を持つ小学生・中学生への対応も

初等中等教育については、「理数教育の充実・先進的な取組によって知識を身に付けさせるだけでなく、これを活用して将来的に社会で活躍・貢献できるようにすることが重要である」としています。

具体的には、理工系科目に対する学習意欲や興味を向上させるため、大学や企業などが実施する、小学校から高校までを対象にした理科実験教室や出前授業などについて、共同で教材を開発したり、ノウハウやコンテンツの情報の共有化を図ったりする仕組みを検討することを挙げています。

また、一人ひとりが実験装置を操作できるよう、理科教育施設・設備の充実を図ることや、観察・実験アシスタントなどの配置を支援することなどを求めています。この他、理工系において意欲や突出した能力を有する小学生・中学生などの能力を伸ばすための取り組みを、産業界・大学・教育委員会が連携して推進する必要があるとしているのが注目されます。

中学校と高校の進路指導に関しては、理工系人材の大学生活や就職などの進路を「見える化」したキャリア教育の必要性を挙げている他、保護者に対して、理工系の進路などに理解を深めてもらう取り組みが必要であるとしています。保護者が文系出身の場合、理工系の進路などについて十分な知識がなく、子どもに適切なアドバイスをできないこともあります。理工系の就職や進路などについて保護者も知っておく必要があるかもしれません。

この他、行動計画では、文系志望の割合が高い女子が理工系選択を増やすことなどを求めています。

※「理工系人材育成に関する産学官行動計画」について http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/068/gaiyou/1375037.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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