官民留学支援に地域人材コース 「グローカル」な人材育成

これからの時代に望まれる人材像の一つとして、国際社会(グローバル)で通用すると同時に、生まれ育った地域社会(ローカル)などに貢献できる「グローカル」な人材が挙げられます。このようなグローカル人材を育成するため、文部科学省と日本学生支援機構(JASSO)は、海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」の一環として新たに「地域人材コース」を創設し、沖縄県など7地域の海外留学事業を支援対象に採択しました。

政府が掲げる「地方創生」のためには、グローバルに活躍し、かつローカルの活性化や振興にも力をふるうことができるグローカルな人材が欠かせません。文科省は現在、海外留学者の倍増を目指して2014(平成26)年度から開始した留学支援制度の中に、「自然科学系、複合・融合系人材コース」「新興国コース」「世界トップレベル大学等コース」「多様性人材コース」の4コースを設けていますが、これらの海外留学者が帰国してから国内の地域活性化のために働くグローカル人材になるとは限りません。
このため同省とJASSOは、2015(同27)年度からグローカル人材育成のための「地域人材コース」(外部のPDFにリンク)を設けました。これまでのコースが文科省主導だったのに対して、「地域人材コース」では産学官による地域協議会が地域企業などから寄付金を集め、独自の留学プログラムをつくるのが特徴で、JASSOは資金の一部を支援します。

既に全国11地域から応募があり、審査の結果、徳島県の「徳島県地域グローカル人材育成事業」をはじめ、栃木県・三重県・岡山県・熊本県・大分県・沖縄県の合計7地域の海外留学事業が、「地域人材コース」に採択されました。各地域協議会では、海外留学と地域企業でのインターンシップを組み合わせるなどして、地域企業に就職する者、地域の発展に貢献できる者などを海外に送り出し、それぞれの地域のためにグローカル人材を育成することにしています。海外留学者は各地域で「年間最大10人程度」とされていますが、具体的な留学希望者の募集・選考などは、各県の地域協議会ごとにこれから行う予定です。

このほか、以前の記事でも紹介した海外留学支援制度のうちの「高校生コース」の募集が締め切られ、合計300人の定員に対して514人(218校)の応募がありました。グローバル人材を求める声が高まっていることなどを背景に、大学生だけでなく高校生にも海外留学の希望者が増えているようです。これから書類審査や面接審査などを経て、5月中に「高校生コース」の留学対象者が決定する予定です。

また、海外留学に対する大学生や高校生などの関心の高まりを受けて、JASSOは各国の留学先情報や留学のための各種奨学金の情報などを集めた、「海外留学支援サイト」を立ち上げました。公的機関が設けた正式な留学支援サイトとして、情報の信頼性は非常に高いといえます。海外留学に関心のある大学生・高校生、また子どもの海外留学を考えている保護者などは、ぜひ一度のぞいてみてはいかがでしょうか。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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