子育て世代が意識したい、老後破産回避の考え方

子育て世代は、目の前の子育てに気を取られて、老後の心配はつい先送りにしがちです。けれども、子育てを終えてから老後の準備を始めるのでは、間に合わないことがあります。そうならないように、一度立ち止まって、自分の老後について考えておきましょう。

親子の年齢差で変化する、老後資金の準備期間

晩産化が進んでいます。厚生労働省の調査では、2014(平成26)年に第1子を産んだ女性の平均年齢は30.6歳。その女性が生まれた30年前の1984(昭和59)年に第1子を出産した女性の平均年齢は26.6歳なので、4年後ろ倒しになっています。

一方、10代から20代前半で出産する女性も一定割合います。2014(平成26)年、父母いずれもが25歳までのカップルから誕生した第1子は、第1子全体の10.1%で約4万6,000人でした。第5子以降までも含む子ども全体で見ると、約6万7,000人です。出産年齢全体を見渡すと、出産年齢が遅くなっている傾向ははっきりしていますが、だからといって、全員がそうではありません。

家族の主な稼ぎ手が男性である場合、その男性が25歳で父親になったとすると、子どもの大学卒業時には47歳です。子どもを40歳でもうけたとすると、大学卒業時の父親の年齢は62歳です。親の働き盛りに子育てを終えるのか、定年退職後まで子育て費用が掛かってしまうのかは、子どもを何歳で産むかで変わってきます。

子育てにお金がかかる時期が50代以降に差し掛かる家庭は、子育てが終わってから老後資金を貯める期間が短いことを認識しておく必要があります。定年退職後まで教育費などがかかるようであるなら、なおさらです。

子育て期間は長くなる一方

子どもの学歴は高どまりしています。高校生の76.32%が、大学等や専門学校に進学していて、もはや「みんな」が進学しているといってもよいでしょう。

親の教育費負担は重く、私立大学の文系の費用目安は4年間で約500万円です。しかも、生活費の面倒も見ますから、子どもが高卒で社会に出るのに比べ、大学に進学した場合は、生活費の負担が4年間長くなり、家の出費には大きな差が生じます。
大学卒業時に思うような就職ができず、大学院に進学したり就職浪人したりするようであれば、その負担はさらに重く、長くなります。

ライフプラン表で支出の時期と金額を確認しよう

子どもの教育費は、親の義務とばかりに、老後のための貯蓄がまったくできない状態であるにもかかわらず出してやるのは、考えものです。というのも、親が一生に稼いで来られる金額は、おおよそ決まっているからです。

親は、教育費と老後資金の両方に、バランスよくお金を振り分けなくてはなりません。教育費を先に使いすぎると、老後資金に回すお金は足りなくなってしまいます。どれくらいの金額を子どもにかけてよいのかは、その家庭の収入や子どもを産んだ年齢、生活費などで変わります。

子育て世代が老後資金を考える時、まずはライフプランの最初の一歩ともいえるライフイベントを書き出してみましょう。次に、それらのイベントに必要なお金もできるだけ具体的に書き入れます。大学の教育費は500万円くらいかかるらしいということは知っていても、まずは高校3年生の時に80万円の入学時納付金を払って、入学後の1年生の秋には後期分の授業料を払って……と具体的な金額が、いつ必要になるのかは、案外わかっていないものだからです。

収入から支出を差し引き、今後どれだけの貯蓄が可能であるかを計算するとともに、グラフに表してみると、未来の財布がわかりやすくなります。エクセルなどの表計算ソフトを利用すると便利です。

親が高学歴で結婚が遅く、出産も遅かった場合、子育ての期間が後ろ倒しになって、老後と子育てが同時進行ということもあり得ます。収入が減ったり途絶えたりするなか、子育ての支出を続けるのは大変なことです。現役時代に高収入であっても、十分な老後生活費を準備できないまま、それまでどおりの支出を続けていれば、老後破産は他人ごとではなくなってしまいます。

子どもは大切で、できるだけの教育をほどこし、楽しい時間を共有するための費用も出したいところですが、「親の老後資金を準備できる目途をつけてから」、お金を使うようにしましょう。

(筆者:菅原直子)

プロフィール



「らいふでざいん菅原おふぃす」代表。ファイナンシャルプランナー、教育資金コンサルタント。子育て世帯の教育費を中心としたライフプラン相談、進学資金が不足している高校生と保護者向けの教育資金セミナーおよび親が老後破産しないためのアドバイスに注力中。「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。子どもは3人。

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