新テスト「完成形」は新課程から? それまでは活用力重視へ‐渡辺敦司‐

文部科学省が「高大接続改革(外部のPDFにリンク)」の一環として、高校版全国学力テストともいうべき「高等学校基礎学力テスト」と、大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト」(いずれも仮称)の創設を検討していることは、当コーナーでもたびたびお伝えしてきました。有識者による「高大接続システム改革会議」では現在、最終報告と、具体的な作問イメージの公表に向けて、検討の大詰めを迎えています。

高校2年生から受けられる基礎学力テストは2019(平成31)年度から、学力評価テストは20(同32)年度から始まる予定になっていますが、以前にも紹介したとおり、導入は「2段構え」とする計画です。その対象は、今年度の学年でいえば(1)中学1年生・小学4年生(2)小学3年生以下……です。小3以下では、学習指導要領の改訂が予定されているため、それに合わせて新テストの在り方も、大きく変わることになるわけです。

新テストをめぐっては最近、文部科学省の担当者も「(完成形を)目指すべきは2024(平成36)年度」(千葉市で行われた全国普通科高等学校長会の総会<外部のPDFにリンク>で)といった説明の仕方をしています。コンピューターを使った出題方式(CBT)には技術面や機器整備などの課題が山積しているだけでなく、学力評価テストで思考力・判断力・表現力を問いながら幅広い大学の入学者選抜にも耐えうるような問題がどのようなものか、まだ必ずしもイメージを固め切れていないからと見られます。
一方、10月末に行われたシステム会議の高校・大学関係団体ヒアリングでは、作問イメージを早く示すよう要望が相次ぎました。大学側としては、本当に入学者選抜に使えるテストかどうかが確認できなければ、個別の入学者選抜改革を進めることもできず、高校側も、受験に向けた指導を生徒にすることが難しいからです。
そこで文科省も、当初は2つの新テストを、あくまで現行の学習指導要領の趣旨の下で行うものであることを強調しています。思考力・判断力・表現力は、現在の授業でも重視されているものだからです。

ただし出題傾向は、今までのセンター試験とは少し変わってくるかもしれません。もちろん、これまでもセンター試験では知識を中心としながらも、思考力などが必要になる出題を心掛けてきました。新テストでは、それを更に発展させて、マークシート方式は維持しながらも、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のB問題のような「活用」の力を問うような問題を出そう……といったイメージです。

いずれにしても、普段受けている学校の授業と大きくかけ離れるようなテストになることはないものと見られます。逆に言えば、少しでも点数を稼ごうとするようなテスト対策ばかりに追われていると、活用力重視のテストには太刀打ちできなくなるかもしれません。

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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