大学合格実績で検討する志望校選定 半付属校と進学校 [中学受験]
半付属校とは、「系列校大学に推薦で進学する割合が30%~69%の学校」と森上教育研究所では定義している。首都圏では、男子が受験できる学校は男子校と共学校で15校、女子が受験できる女子校と共学校は24校ある。ここでは、進学校の大学合格実績と比較することで、半付属校を評価し、志望校選定の情報として提供したいと思う。
半付属校のメリットは、系列の大学に進むこともできるし、系列大学よりもレベルの高い他大学に挑戦することもできることだが、同時に2つの進路を追い求めて、虻蜂(あぶはち)とらずにならないかと考えることもできる。最近は、半付属校も他大学受験に力を入れているところが増えており、系列校を持たない進学校よりも優れた大学合格実績を上げている学校もある。しかし、他大学の受験をうたいながら、大学受験のシステムや教師陣が整っていない学校や系列大学への進学のほうに重点を置いている学校も少なくない。
半付属校がどれだけ他大学受験に重点を置いているかは、大学合格実績を見ればわかるが、系列大学に多くの卒業生が進学すると、他大学を受験する卒業生数が減少し、大学合格実績が少なく見えてしまう。また、情報誌などでも、半付属校の合格実績を卒業生全体での成果とするので、評価は低くなる。このように半付属校についての大学合格実績はわかりにくいので、正確な情報を調査することは難しい。そこで、森上教育研究所では、系列大学の合格実績から系列大学に進学した卒業生を除き、他大学を受験したと思われる生徒数と他大学の合格実績から卒業生100人当たりの大学合格実績を割り出し、進学校と比べてみた。
対象校が男子校・共学校で、対象実績が東大・京大・一橋大・東工大の場合は、
(1)2006年 首都圏模試結果偏差値」の母体は「半附属校」のほうが「進学校」よりも大きい。つまりもともと学力が高い生徒の合格実績であり、(2)だけで判断はできない。
(2)「2012年卒業生100人当たりの合格者数」をみると、中でも東大・京大・一橋大・東工大合格者数(人)の平均が「半付属校」のほうが「進学校」よりも大きいので、「半付属校」が優れているように思える。
(3)は(2)の合格数を偏差値に換算したものである。(4)の偏差値との差=(3)-(1)の伸ばした学力で判断すべきだ。
(4)「標準的な偏差値との差」で評価すると、男子が受験する男子校・共学校の場合、東大・京大・一橋大・東工大では「進学校」、早慶上智では「進学校」、GMARCH(学習院大・明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)では「半付属校」が「学力を伸ばしてくれる学校」として優れている。
女子が受験する女子校・共学校の場合、東大・京大・一橋大・東工大では「半付属校」、早慶上智では「半付属校」が「学力を伸ばしてくれる学校」として優れており、GMARCHでは「半付属校」と「進学校」が互角であった。
男子では「進学校」に、女子では「半付属校」に、「学力を伸ばしてくれる学校」が多く有利であるといえるが、実際には、個々の学校で大きな違いがある。
「学力を伸ばしてくれる学校」 進学校と半附属校の比較