子どもをネット犯罪から守るには? 規制の隙間を突く犯罪が急増‐斎藤剛史‐

2015(平成27)年の上半期(1・6月)にコミュニティーサイト(出会い系サイトを除く)を利用して犯罪被害に遭った子ども(18歳未満)の数が、統計開始の2008(平成20)年以降で最多となったことが、警察庁の調査(外部のPDFにリンク)でわかりました。LINE(ライン)などの無料通話アプリを利用した「ID交換掲示板」などでの被害が減った一方、「チャット型」と呼ばれるコミュニティーサイトでの被害が急増しているのが特徴です。

調査によると、異性などとの交流を目的として「出会い系サイト」を利用した犯罪の被害に遭った子どもは48人で、前年同期よりも41.5%減と大きく減少しており、出会い系サイト規制法による取り締まりや、規制の強化が効果を上げていることがうかがえます。その一方で、コミュニティーサイトを利用した犯罪の被害に遭った子どもは、14.0%増の796人となり、上半期ごとの統計を取り始めた2008(平成20)年以降で最多となりました。規制強化によって子どもを狙った犯罪は、今や出会い系サイトよりも、一般のコミュニティーサイトにほぼ移行したといってよいでしょう。しかも、出会い系サイトによる被害者の約6割が16・17歳で占められているのに対して、コミュニティーサイトの被害者は15歳以下が約半数を占めるなど、低年齢化しています。

コミュニティーサイトへのアクセス手段を見ると、約9割がスマートフォン(スマホ)を使用していました。さらに、被害に遭った子どものほとんどが、スマホなどに有害サイトをブロックするフィルタリングを利用していませんでした。
コミュニティーサイトのタイプ別では、規制強化を受けて「ミニメール型」のほか、ネット掲示板でLINEなど無料通話アプリのIDを交換する「ID交換掲示板」も、大人と子どものやりとりを禁止するなど掲示板事業者による規制や、不特定多数に公開されたIDを削除するアプリ事業者側の対策などにより、減少しています。

それに代わって急増しているのが、面識のない者同士が文章を打ち込んで会話する、「チャット型」と呼ばれるコミュニティーサイトでの被害です。「チャット型」は出会い系サイト規制法の適用外で、年齢確認などの事業者による規制も甘いといわれており、子どもを狙った犯罪者などがそこに目を付けたようです。このほか、「チャット型」ほどではありませんが、一般的な「複数交流型」のコミュニティーサイトでも、子どもが被害者になる犯罪が増加しています。これらの結果からいえることは、ネット絡みの子どもを狙った犯罪は一般的なコミュニティーサイトで起こっており、ごく普通の子どもでも、何かのはずみで犯罪に巻き込まれる可能性があるということです。

犯罪者の多くは、巧妙に子どもたちの心の隙を狙って誘いをかけてきます。子どもを犯罪から守るためには、スマホにフィルタリングをかけさせるのはもちろんのこと、アドレスやIDを他人に知らせる危険性を理解させ、呼び出しには絶対に応じないなど、スマホ利用のルールを家庭できちんと話し合っておく必要があるでしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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