国語のテストや、算数の計算が遅いので困っています[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

国語は好きで読解も得意なわりには、問題を解くのが遅いです。また、慎重派のせいか、算数の計算も遅くて困っています。

相談者:小5女子(神経質・弱気なタイプ)のお母さま





【回答】

スピードを上げるための工夫と、自分のタイプにあった勉強方法を。


■国語の答案はすべて埋めるのが原則

国語は問題を解くのが遅く、算数も計算が遅いとのことですが、今のうちに改善しておく必要があります。4年生くらいまでならそれでもよいと思いますが、5年生の後半くらいから、いろいろな問題点が出てくる可能性があるからです。

まず、国語ですが、問題文が長文化してきて内容的にも難度が増してきます。問題文を読むのに時間がかかり問題が最後まで解けないとか、選択肢問題は一応手を付けているのに、吟味する時間が足りないという状態になるかもしれません。あるいは、時間があれば解ける記述問題を、白紙に近い状態で出さざるを得なくなることも考えられます。一般的に、国語の問題は正解・不正解はともかくとして、解答欄はすべて埋めて出すのが原則です。試験場でやり切れなかった問題が、家でやると答えられるというようなことがあれば、それは時間の不足を意味します。問題文を読むスピードが遅いとか、記述問題で書いたり消したりして時間をむだにしていないかなどを再確認すべきでしょう。


■計算の遅さはいろいろな問題を生む

算数でもいろいろな問題が生じます。たしかに、間違えてしまうくらいなら無理に暗算するのは考えものです。しかし、現実問題としてテストには時間制限があります。慎重に計算し過ぎて、できた問題なのに手が付けられなかったでは残念すぎます。少なくとも「できる問題は全部手を付けた」というくらいにはスピードアップしたいものです。

さらに、計算が遅いことは、テストだけではなく日々の算数の勉強にも大いに影響してきます。ご存知のように、算数や数学はこなした問題量と成績が比例します。すなわち、より多くの問題を解いたお子さまのほうが、よりよい点数や偏差値をとる可能性が高いのです。5年生、6年生になるとますます時間が厳しくなりますから、じっくり算数の問題を解いている時間もなかなかとれなくなってきます。効率よく問題数をこなしていくためには、少なくとも平均的な計算力や計算スピードを身に付ける必要があります。


■集中力とさまざまな試行錯誤が大切

問題を解くのが遅いのは、神経質で弱気なタイプという性格からきているかもしれません。こうした性格の人は完全主義的な傾向が強く、すべてをきっちりやりたい意欲もあるし、勤勉なこともあって時間が十分ある場合は成果をあげます。しかし、時間が足りない場合は一つのことにこだわって、適切な時間配分ができなくなる可能性があります。さらに極端な場合、できないところにフタをして無視してしまうこともあるのです。こうしたお子さまがスピードアップするためには、どうしたらよいでしょうか。速く、しかも正確に行うという、相反することがらを同時に満足するにはやはり集中力が必要になるでしょう。また、どうしたらスピードをあげられるかを常に考え、さまざまな試行錯誤を繰り返す姿勢も大切だと思います。


■神経質で弱気なタイプの勉強方法

最後に、神経質で弱気なタイプのこれからの勉強方法についてお話しします。6年生になると、特に2学期以降は本当に時間が足りないと感じるようになります。あれこれやらなくてはいけないのにやる時間がないのです。こうした時期を乗り越えるためにいちばん心がけたいことは「やるべきこと」をリストアップし、さらに「『何(…)を(……)やらない(………)か(…)』を決める」ことです。これがなかなか難しいのですが、「これは捨てる」「あれはやらない」と思いきらないと、最終的にはパニックになってしまいます。

それでは、何をやるべきでしょうか? それは、自分が不得意にしている科目、単元、分野です。しかも、時間の割に得点や偏差値が上がりそうなところがよいでしょう。さらに、その中でも志望校に頻出なものがベストです。そうした「おいしいところ」から先にやり始めるというのが、効率のよい勉強方法なのですが、神経質なタイプがあまり好まないかもしれません。しかし、おいしいところから食べていかないと時間的な余裕はないのです。

さらに、もう一つ。やるべきことが決まったら、一つのものに集中しないで、ある程度少しずつ手をつけるほうがよいでしょう。神経質な完全主義者はしっかりやりたいという気持ちが強いので、一つのものに集中して時間をかけたがります。そのため、それが完成した時には、他にやるべきものをやる時間がなかったということになりかねません。もしその時に、ある程度、同時並行で学習を進めていれば、「なにを」「いつまでに」「どのくらい」やるべきかがわかります。そして、もし全部が終わらないと判断すれば、計画を再度練り直すことが可能になるのです。

今回は、神経質で弱気なタイプお子さまの勉強方法についても述べてきましたが、神経質なタイプは基本的にまじめでコツコツと勉強する勤勉な人が多く、受験勉強には向いています。これまで述べた落とし穴に注意すれば、努力が報われる可能性は高いと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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