子どもの自立心の芽生えと上手な子離れ【後編】

児童期の子どもは、体や環境の変化に伴い心にも変化が生じ、自立心を芽生えさせ始めます。前回に引き続き、児童期に見られる自立心の芽生えと、保護者の子離れについて、目白大学人間学部教授の小野寺敦子先生に教えていただきます。



自立心を上手に育てるには?

子どもに自立心が芽生え始めると、これまでと違った反抗的な態度をとることがあります。そんな時は、家庭内で話し合う、学校に聞いてみるなどして、子どもの気持ちを理解するよう心がけてください。

子どもの反抗的な態度に対しては、その場で強く注意するのではなく、少し時間をおくなど、保護者が感情的にならないことが大切です。直接話すのではなく、メールを活用することもおすすめです。メールであれば、子どもも聞き入れやすくなると思います。また普段から声をかけ、コミュニケーションをとることも大事です。「いつもあなたの味方よ」と、常に味方でいることを伝え、何かあったら相談できる関係をつくるよう心がけてください。

上手に自立心を育てるには、保護者のほめ方も重要です。「○○ができているね」など、子どものよい部分を具体的に示しながらほめてください。「自立」とは、「自己主張」ができるということです。子どものよい点を具体的に示すことで、自尊心が育ち、自分に自信を持つことができます。それによって、上手に自己主張ができるようになるのです。また具体的に示すことは、保護者がちゃんと見てくれているという安心感や信頼感を与え、絆を深めることもできます。この「保護者との絆」という戻れる場所を持つことで、子どもは安心して自立できるのです。



上手に子離れするには?

子どもに自立心が芽生えると、「ああしたい」「これをやりたい」など、これまでとは違う行動をしようとする場合もあります。そんな時、子どもをまだ手もとに置いておきたいという気持から、「あなたにはまだ早いわよ」などと拒絶する保護者もいます。しかし、これでは子どもの自立の足を引っ張ることになります。子どもの自立心を上手に育てるためにも、子どもに自立心が芽生え始めたなと思ったら、保護者自身の生き方を見直してみてください。

皆さんの人生は、子育てだけの人生ではありません。いま過ごしている自分の生活を見つめ直して、子どもたちと一緒に成長していけるような、自分の世界を持つことも考えてみてください。保護者が家庭とは別の社会でがんばっている姿を見せることは、自立を意識し始めている子どものよい刺激になりますし、よい励みにもなります。また保護者が別の社会と接点を持つことで、子どもを少し離れた視点で見ることができるようになります。それによって保護者に余裕が生まれ、子どものことをより理解しやすくなると思います。

子どもの反抗的な態度に嘆くのではなく、少しずつ自分と対等になってくる子どもの成長を喜び、子どもと一緒に自分も成長することを楽しんでください。そうすれば、上手に子離れができると思います。


プロフィール


小野寺敦子

目白大学人間学部教授。心理学博士。専門は発達心理学、人格心理学。親についての問題やポジティブ心理学などを研究。著書に『手にとるように発達心理学がわかる本』『メゲない人のポジティブ心理学』など。2児の母。

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