一度は行ってみたい世界の美術館 スペイン・イタリア・ロシア・バチカン市国編

世界各国にあるたくさんの美術館。その中でも、一度は見てみたい有名な美術館をご紹介します。今回はスペイン、イタリア、ロシアにある美術館をご紹介します。どれもたくさんの観光客でにぎわい、街の中心的存在となっている美術館です。


プラド美術館

 スペインのマドリードにあるプラド美術館は、戦争により幾度も建設が中断されましたが1818年に完成、1868年に国有となりました。正面入口にはベラスケスの像、建物に向かって左端の門にはゴヤの像、右端の門にはムリーリョの像とスペインを代表する芸術家たちが迎えてくれます。この美術館の収蔵品が他のヨーロッパの美術館と異なるのは、盗品や略奪品がないこと。芸術を愛してきた16世紀以来のスペイン王家のコレクションが母体となっています。戦利品として財産没収することが当然だった戦争と植民地支配の時代にはこれは珍しいことでした。カルロス3世、4世のときに宮廷画家だったゴヤの作品は、油彩が119点、素描が400点以上と充実しており、《裸のマハ》を始め名作を多数見ることができます。

 

 

ウフィッツィ美術館


 ルネサンス美術が始まった街、イタリアのフィレンツェ。当時の華やかな文化を継承しているのがウフィッツィ美術館です。1560年、フィレンツェを支配していたメディチ家の当主コジモ1世が設計を命じ建てられました。所蔵作品もメディチ家の当主が集めてきたものが多く、レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロなど教科書でもおなじみの画家の作品が勢ぞろいしています。ボッティチェリの《ヴィーナスの誕生》の本物が見られるのもここ。華やかなルネサンス文化を存分に感じることができるでしょう。

 

 

エルミタージュ美術館


 モスクワに次ぐ、ロシア第二の都市サンクトペテルブルク。豪華絢爛な建物も超一級、広さも収蔵品の点数も世界最大級の美術館が、エルミタージュ美術館です。ロマノフ王家の中でも大帝と呼ばれるピョートル1世がサンクトペテルブルクに首都を置き、ロシア初の美術収集室「クンストカンマー」を設置したのがはじまりです。その後、歴代の皇帝たちが収蔵品を増やし、建物の改装、増築をして今のような規模になりました。先史時代から20世紀まで、あらゆるジャンルにわたる300万点のコレクション。展示室は400を越え、全室を回るとその距離なんと27kmにもなるといわれ、すべてを見て回るのはまず難しいでしょう。興味のある分野にポイントをしぼって見学するのがおすすめです。たとえば、ダ・ヴィンチやラファエロ、ルノワールやセザンヌ、モネやゴッホなどの作品も所蔵されているので、気になる画家の絵を見てみてはいかがでしょうか。

 

 

バチカン美術館


 イタリアのローマ市内にある小さな国、バチカン市国。人口800人ほどのこの国は、国としての歴史は浅いものの、ローマ教皇が統治し、カトリックの総本山として1700年の歴史を誇ります。バチカン市国は、それ自体が大きな美術館のようだといえるでしょう。芸術家たちの手によるサン・ピエトロ大聖堂の建築、装飾。街全体に芸術的要素がちりばめられています。大聖堂に隣接する宮殿の中には、24の美術館があり、「バチカン美術館」というのは、その総称になります。部屋数にして1400にもなるので1日や2日では巡ることができません。テーマや時間によって見学コースが用意されているので、それを利用するのがおすすめです。ラファエロの《アテナイの学堂》、ミケランジェロの《アダムの創造》など、社会や歴史、美術の教科書で見たことがある絵画もバチカン美術館に所蔵されています。

 

 ヨーロッパの国々では、19世紀までハプスブルグ家やブルボン家などの貴族の家系が美術作品の収集に熱心で、統治している王や皇帝は競って美術館を創設し、コレクションを国民に公開していきました。展示品は、他国民に自国の文化の優秀さを誇示できる「宝物」であると同時に、国家の存亡の危機には換金して財政を救う「国有財産」でもあります。美術品はこうして国家戦略をもって収集され研究され展示されたのです。ヨーロッパの歴史的な町並みと、豪華な美術館、見事な芸術作品の数々をぜひ、その目で見に行ってください。

 

 

プロフィール



美術評論家連盟会員。1978年から山梨県立美術館初代「ミレー番」学芸員を約10年勤め、以後東京純心女子大学、上智大学などで教鞭をとり2009年から府中市美術館館長、2015年4月から群馬県立近代美術館館長就任予定。主な著書に『印象派の名画はなぜこんなに面白いのか』(カドカワ)、『フランス美術鑑賞紀行1、2』(美術出版社)などがある。

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