一度は行ってみたい世界の美術館 芸術の都パリ編

世界にはたくさんの美術館があります。その中でも、芸術の都と言われるパリには、古今東西の芸術作品がたくさん集まり、ルーヴル美術館をはじめとする歴史のある美術館が多数建てられました。今回は、フランスを代表する三つの美術館を紹介します。

ルーヴル美術館

 

 世界一入館者数が多い美術館として知られるルーヴル美術館。ここは、もともと宮殿で、王室の宝物や王の絵画を陳列していたのがはじまりでした。美術館として一般公開されるようになったのは、フランス革命以後のこと。ナポレオンが獲得してきた戦利品を公開してどんどん面積が拡張され、コレクションも増え、今のような世界最大級の美術館となりました。古代文明から19世紀前半の絵画まで膨大なコレクションが所蔵されており、じっくりと見て回るには2〜3日は必要でしょう。レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》をはじめ、《ミロのヴィーナス》《サモトラケのニケ》などの古代ギリシャ彫刻、ドラクロワ《民衆を導く自由の女神》など誰もが知っている有名な作品を見ることができます。

 

 

オルセー美術館

 

 1986年に開館したオルセー美術館。1900年のパリ万国博覧会を記念した旧国鉄オルセー駅を改装して作られた建物は、天窓から入る自然光が美しく、1階中央通路では暖かな自然光の中で作品を鑑賞することができます。ルーヴル美術館とセーヌ川の対岸に位置しており、二つの美術館の美しい外観を眺めながら湖畔(こはん)を散策するのもおすすめです。19世紀中頃から20世紀はじめまでの作品が充実しており、マネ、モネ、ルノワールなどの印象派の画家の作品から、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホといった印象派以後の画家たちの作品まで名画の数々を堪能することができます。

 

 

パリ国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)

 

 古い石造りの町並みが残るレ・アル地区にある、鉄骨とガラスでできた異様な建物「ジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センター」。その中にパリ国立近代美術館はあります。ここは、めまぐるしく芸術運動が起こった20世紀美術の全体像を知るのにぴったりの美術館。大胆で自由な色彩表現が特徴のフォービズム、三次元のものを解体し分析して二次元で描いたキュビズム、日常を越えた不思議な世界を描くシュルレアリスム、パリに集まった外国人独自の憂愁の世界を表現するエコールド・パリなどの流れを感じながら、マティス、ピカソ、ミロなどの巨匠の作品を堪能することができます。

 

 

 人類の宝とも言える芸術作品が集まるパリ。教科書などで見る名画や素晴らしい彫刻の数々を間近で見ることができます。ぜひ、パリに行ったら美術館巡りをしてみてください。

プロフィール



美術評論家連盟会員。1978年から山梨県立美術館初代「ミレー番」学芸員を約10年勤め、以後東京純心女子大学、上智大学などで教鞭をとり2009年から府中市美術館館長、2015年4月から群馬県立近代美術館館長就任予定。主な著書に『印象派の名画はなぜこんなに面白いのか』(カドカワ)、『フランス美術鑑賞紀行1、2』(美術出版社)などがある。

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