年の初めに考える「子育て」 第3回 親子の「共学」[高校合格言コラム]

親子の「共学」

前回は、お子さまに読んでほしい本のことについてお話ししました。今回は、親子の在り方についてお話をしたいと思います。

 今度は、ある男子校の校長先生から聞かされた話です。
「このところ、どんどん『共学化』が進んで困っている」と言うので、「先生のところは毎年大勢の受験生がいるから安泰ではないですか。なぜ共学化を検討するのですか?」と言いました。すると、「その共学化(男女の共学)ではなく、親が乗り出してきて、親子が一体となって学ぼうとする『共学化』に困っている」と言うのです。

 すると、私たちのやりとりを聞いていた、別のやはり男子校の校長先生も話しだしました。「校外学習の折に、少しでも自立させようと、葛西臨海公園で現地解散にして自分で家に帰るように計画した。ところが、母親たちが迎えに来ていて、外で一緒に食事をして帰るという親子が続出してしまった」と。
 学校が「自立させなければ」と考えている意図と、母親たちが取っている行動が真逆になっていると嘆くのです。

 大学の関係者からもこんな話を聞きます。「入学願書は今や母親が書いてくるのが普通。オープンキャンパスにも親子で来る。高校生と保護者とでは知りたいことが違うだろうからと、別々のルートを用意しても、一緒に回りたがって、こちらの意図は通じない」。

 大学受験の年齢になっても、親がこれほど関与しているのです。こうなるのは、小学生のころからずっと手をかけるような育て方をしてきたからにほかなりません。「やってあげること」を愛情と勘違いして、口を出し、手を出してきた結果が、先の高校生のような親子関係になってしまっているのです。

 そうならないためには、今から日々の細かなことも自分でやらせるようにすることが大切です。子育ての最終目標は「自分の力で生きられるようにすること」であることを、年の初めにいま一度肝に銘じていただきたいと切に思います。

 次回は、保護者のかたの「姿勢」についてお伝えします。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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