増える小学生の校内暴力 いじめ事件は減少へ

小学校の校内暴力事件は年々増加を続けています。全国の警察が2014(平成26)年間に扱った校内暴力事件のうち、小学校における暴力事件や補導された小学生数がいずれも過去最多となったことが警察庁のまとめでわかりました。一方、警察が2014(平成26)年に扱ったいじめに起因する事件は大きく減っているものの、いじめによる犯罪では小学生を含む28人が児童買春・児童ポルノ禁止法違反で検挙・補導されています。

警察庁の「少年非行情勢(外部のPDFにリンク)」によると、2014(平成26)年に全国の警察が扱った校内暴力事件(対教師暴力、生徒間暴力、施設・備品損壊)は1,320件(前年比13.3%減)、検挙・補導された児童生徒は1,545人(同12.8%減)と前年よりも減少しています。学校種別に見ると、小学校が57件(同1.8%増)、補導77人(同10.0%増)、中学校が1,175件(同13.3%減)、検挙・補導1,338人(同14.7%減)、高校が88件(同21.4%減)、検挙130人(同1.5%減)となっています。

校内暴力は前年まで増加傾向を示しており、特に中学校で深刻な問題です。しかし、2014(平成26)年は中学校と高校が前年より減少したにもかかわらず、小学校では3年連続の増加となって事件数・補導者数共に過去最多を更新しました。
また、校内暴力のうち対教師暴力だけを見ると、小学校が23件(同76.9%増)、補導24人(同60.0%増)、中学校が678件(同11.8%減)、検挙・補導690人(同11.4%減)、高校が10件(同42.9%増)、検挙10人(同100.0%増)となっており、小学校のほうが高校よりも事件数と検挙・補導者数が多くなっています。対教師暴力は、もはや高校よりも小学校のほうが深刻といえるのかもしれません。

小学校の校内暴力の増加については、「いじめ防止対策推進法」の制定により暴力など犯罪行為について積極的な警察との連携が打ち出され、中学校や高校に比べてこれまで警察と関わりが少なかった小学校が、次第に連携を取り始めたことなどが背景にあると思われます。

一方、2014(平成26)年に警察が扱ったいじめに起因する事件(いじめの仕返しを含む)は、前年より145件減の265件、検挙・補導者は小学生が19人減の69人、中学生が226人減の301人、高校生が23人減の86人の計456人(前年より268人減)でした。警察は「いじめ防止対策推進法」の制定に伴い2013(平成25)年からいじめの定義をより広くしたため、以前とは単純に比較できませんが、事件数と検挙・補導者数は前年より減ったものの、ここ10年間では2番目に高い数値となっています。
いじめに起因する事件の検挙・補導者を犯罪別に見ると、傷害161人、暴行142人、暴力行為34人に次いで、児童買春・児童ポルノ禁止法違反が28人(小1人、中26人、高1人)となっているのが注目されます。内容としては被害者を裸にしてスマートフォン(スマホ)などで撮影し、そのままインターネット上にアップするなどの行為が多いようです。さらに、検挙・補導された28人のうち20人が女子で占められています。簡単に写真や動画などをネットにアップできるスマホの普及により、いじめの内容も変化していることがうかがえます。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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