「たんぽぽ」というかわいい名前の由来は?
道端や荒れ地、草原、土手など、至るところに黄色のかわいい花を咲かせるたんぽぽは、日本中で見られるポピュラーな花です。成長するとふわふわの綿毛に変わるので、小さい頃にフーッとその綿毛を吹き飛ばして遊んだ人も多いのではないでしょうか。
さまざまな説がある「たんぽぽ」という名前の由来
たんぽぽというかわいらしい名前の由来は、諸説あります。一つは、種の冠毛(かんもう)が丸く集まっている様子が、綿を丸めて布などで包んだ「たんぽ」に似ていることから、「たんぽ穂」と名づけられたという説です。
他にも、田んぼのあぜ道などによく生えていることから、昔は「田菜」と呼ばれていて、その「たな」が「たん」に変化し、綿毛がほほけるという特徴を表す「ほほ」と結びついてたんぽぽになったという説もあります。
また、たんぽぽの茎の両端を細かく裂くと、反り返って鼓のような形になることから、別名として「鼓草(つつみぐさ)」と呼ばれていたり、鼓をたたいたときの「タンタン、ポンポン」という音がたんぽぽの名前の由来になったという説も。いずれにしても、昔から日本人の暮らしに溶け込んでいた花であることは確かですね。
ちなみに、漢字で「蒲公英」と表記するのは、たんぽぽを開花前に採って乾燥させた漢方を「蒲公英(ほうこうえい)」と呼ぶことから。
英語名の「ダンデライオン」は「ライオンの歯」という意味で、のこぎりのような独特の葉のギザギザを、荒々しいライオンの歯並びに例えたとされています。
セイヨウタンポポとカントウタンポポの違いとは?
たんぽぽは2000以上もの種類があるとされています。日本にはカントウタンポポなど、在来種が10種類ほどありましたが、明治時代にセイヨウタンポポの種子が持ち込まれたことをきっかけにどんどん繁殖し、今では都市近辺で見られるのはほとんどがセイヨウタンポポになりました。
花のすぐ真下の部分がペリッとめくれて反り返っているのがセイヨウタンポポ、めくれていないのがカントウタンポポなので、簡単に見分けがつくはずです。
セイヨウタンポポ
カントウタンポポ
食材としても使える、たんぽぽの利用法
現在ではあまり食用としては使われなくなりましたが、明治時代までは、若い葉を湯がいておひたしやごまあえにしたり、花を天ぷらにしたり、根できんぴらを作ったりと、たんぽぽは盛んに食べられていたそうです。また、根を刻んで乾燥させて煎(い)った、たんぽぽコーヒーを出している喫茶店などは現在でもあるでしょう。
たんぽぽが美しい今の季節、目だけでなく舌でも楽しんでみるのもいいかもしれませんね。