所変われば育て方も変わる? 発見! 世界の子育て 保護者の子どもへの関わり方(1)~イギリスの場合

楽しいことも、悩みや気がかりも多い「子育て」「教育」。このコーナーでは、日本とはちょっと違う、ほかの国の子育て事情をご紹介します。さまざまな方法や考え方を知ることで、子育てに対しての気持ちが少し楽になったり、自分に合った方法にアレンジしたり……。
日本の、そしてご自身の子育て・教育を見つめ直してみませんか。

子どもを公園に連れて行き、友達と仲よく遊び始めて安心していたら、いつの間にかけんかを始めていて険悪なムード……という場面、経験したことはありませんか? そんな時、あなたならどうしますか?

ロンドン在住の友人Aさん(日本人)は幼稚園児の男の子のお母さん。ある日、お子さまが友達とのけんかでけがをしてしまったことがありました。子ども同士のけんかや、そのけんかでけがをしてしまうことも、ままあることではありますが、Aさんが驚いたのはその友達のお母さんの対応。子どもたちのそばにいて、Aさんのお子さまがけがをする場面も見ていたのに、けがをさせた自分の子どもを叱らなかったそうです。また、Aさんは「そのお母さんは『子ども同士のけんかは子どもの問題』と言って謝ることもなかった」と憤慨しながら話してくれました。

私は「欧米では子どものころから自主性が特に尊重されているので、けんかにも大人は一切介入しないのかな」とも思いましたが、それでもやはりけがをさせるところまで放っておいたり、叱らなかったりするのは何がどう違うのだろう……と思い、イギリス人の知人に意見を求めました。彼女いわく「昔のイギリスの親はそんなことはなかった。最近はこういう非常識な親が増えてきたような気がする」とのこと。彼女の話からすると、保護者のかかわり方についての考え方には日本もイギリスも大きな違いはなく、個人的な問題だったようです。

一方で、彼女は「でも日本人の子どもはおとなしい子が多いから、嫌な時に嫌と言えない場面も多いんじゃない? 嫌と言われなければわからない子どももいるから、ちゃんと伝えることが大切」とも。なるほど、いろいろな人種や国籍の人が集まっているロンドンでは、大人だけではなく子どもも自分の気持ちや考えをはっきり示すことが求められるんだな、と感じました。

とはいえ、子ども同士ではなかなか思いがうまく伝え合えず、Aさんのお子さまたちのようにどちらかがけがをしたり気まずいままだったり、ということも。そんな時は保護者などそばにいる大人が、それぞれの子どもが言いたいことを言葉で伝えられるようにサポートしてあげられるとよいと思います。大人に助けられながらであっても、言葉で伝えられた、わかり合えたという経験を重ねるなかで、子どもは自信をつけていくと思います。

けんかは、そもそも意見の違う相手との関わり方を学び、葛藤を乗り越える経験をする機会でもありますよね。お互いがうまく自分の考えを相手に伝えることが大切で、それをしない段階で大人が強引に解決してしまうと、子どもには言いたいことを言えない不満も残るし、子ども自身で工夫や苦労をして葛藤を乗り越える機会を奪ってしまうことになりかねません。保護者にとってもなかなか難しい場面ですが、身近なお手本としては園や学校の先生方の子どもへの関わり方は、プロの技として参考になりそうですね。


プロフィール



大学卒業後、約25年間、(株)ベネッセコーポレーションに勤務。ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)で子育て・教育に関する調査研究等を担当し、2012(平成24)年12月退職。現在は夫、娘と3人でロンドン在住。

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