反抗期ってなに?

 「反抗期」とは、一般的に「子どもが人の意見や指示に反抗することが増える時期」を意味しています。よくいわれる反抗期は人生において一度ではなく、二度。幼少期の反抗期を「第一反抗期」、思春期の反抗期を「第二反抗期」と呼びます。そもそも、「反抗期」とは何なのでしょうか。子どもの心の中に、なにが起こっているのでしょうか。

 

思春期の反抗期は、「親」に対する反抗だけではない

 思春期に入ってから迎える子どもの「反抗期」。以前は素直に話を聞いてくれていたのに、なかなか耳を貸さなくなったり、誰かの意見や指示に対して抵抗するようになったり…。あるいは、口数が減る、自分の部屋にこもりがちになる、などといった行動も見られるでしょう。そもそもこの「反抗期」とは、一体「誰」に対する反抗があってのものなのでしょうか?

 

 どうしても一緒に暮らす「保護者」に対するものと受け止めがちですが、子どもたちは「今までと考え方が変わってきたから」こそ、態度を変え、反応を変えているのです。保護者だけでなく、学校の先生、友達、好きな人、嫌いな人についての考え方も変化しています。そう考えれば、大切な成長過程を歩んでいることにまちがいありません。

 

 その中で「自分が受け止めにくいと思ういろいろなもの」に対し、拒否反応を示したり、違和感を覚えて抵抗したりするようになります。保護者は最も子どもの近くにいて、接してきた人です。よって子どもの抵抗をダイレクトに受け止めてしまうのです。

 

 

子どもと親との戦いだと思ってはいけない

 だからこそ、反抗期を「子どもと親との戦いである」と考えるのは大きなまちがいです。子どもの中で葛藤(かっとう)があり、その結果、自分の気を静めるために親に八つ当たりをし、汚い言葉を選んで口にしてしまうこともありますが、心の奥底での愛情は変化していません。親を「試す」ことで愛情を確認したり、自分との距離を推し量ろうとしたりするのは、やはり自分自身が親や家族を愛していて、さらに親や家族に愛されたいからなのです。反抗期は自立の第一歩で悪いことではなく、自立性・主体性・自発性を育てるいい機会だととらえてみてはいかがでしょうか。

 

 そのようにしてもがく子どものために、親ができるのはどういったことなのか…。その答えも、答えが出るタイミングも、人それぞれ。慌てずにじっくり考えていきましょう。

プロフィール



平岡亜紀:公認心理師、産業カウンセラー、研修講師
NPO法人ひさし総合教育研究所 理事
特定非営利活動法人自立支援ネット我孫子 心理師
スクールカウンセラーとして長きに渡り学生・親・教員の相談に従事。心療内科、福祉施設のほか、企業でのキャリア開発、メンタルヘルス対策など多様な人たちが抱える問題にも応じている。

倉持鎮子:自身も7歳、11歳の子どもを育て、育児・食育・親子問題についての執筆を行うライター。医療・健康・体の不思議、子育て中にもできる美容などにも触れ、さまざまな面から「子どもとの生活」についてのライティング実績がある。講師業では、「脳と体を考える食育」についての情報を提供。

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