所変われば育て方も変わる? 発見! 世界の子育て 海外「ママ友」事情(1)~「ママ友」作り、はじめの一歩!

楽しいことも、悩みや気がかりも多い「子育て」「教育」。このコーナーでは、日本とはちょっと違う、ほかの国の子育て事情をご紹介します。さまざまな方法や考え方を知ることで、子育てに対しての気持ちが少し楽になったり、自分に合った方法にアレンジしたり……。
日本の、そしてご自身の子育て・教育を見つめ直してみませんか。

もうかなり昔になってしまいましたが、今は高校生の娘を私が出産した十数年前は、ちょうど「公園デビュー」という言葉がはやり始めた時期でした。当時住んでいた町には同年代の友人などいなかった私は、今でいう「ママ友」をどうやったら作れるんだろう……と、とても不安になり、忙しい仕事の合間を縫って出産前は両親学級、出産後は保健所の離乳食講習会などに参加したものでした。努力のかいあって(?)、同い年の赤ちゃんを持つ近所の友人もできて、孤独な育児になることもなく精神的にずいぶん助けられました。

ところで、両親学級などの「ママ友」作りの場、海外ではどうなのでしょう? そして、「ママ友」との付き合い方は日本と違うの? そこで、ロンドンで子育て中の友人数名にママ友事情を聞いてみました(もちろん、ロンドンといっても住んでいる地域や学校などによって事情は違うと思いますので、その点はあらかじめご了解ください)。

今回は特に出産前と赤ちゃんの時期のママ友との出会いについて見てみましょう。
イギリスでも病院主催で両親学級があります。イギリスにはNHS(National Health Service)と呼ばれる国営の医療保険制度があり、NHSの病院での出産や出産前の検診は無料。当然、両親学級も無料です。自宅から割と近い病院を選ぶ場合が多いため、この両親学級で「ママ友」を見つけるかたも多いそうです。日本の自治体・保健所が主催してくれる両親学級とほぼ同じような仕組みなんですね。ただ、NHSは登録さえ済ませていれば誰でも無料で利用でき、さらにロンドンは移民などが非常に多い場所であることから、両親学級に参加する人たちの国籍や人種などは本当にさまざまだそうです。

これとは別に、NCT(National Childbirth Trust)というチャリティー団体が主催する両親学級があるそうで、こちらは有料とのこと。ただし、住んでいる場所や出産予定日などがより近い親同士の少人数のグループで実施してくれるようで、その後の子育てを考えるとNHS以上に近い「ママ友」と出会えるのかもしれません。日本も最近は子育て支援のNPOなどが増えてきましたが、ここまで大がかりな団体が実施する両親学級は聞いたことがありません。ですが、こういう近い「ママ友」と出会える場があると、より助かりますね。

また、ロンドンと日本との違いということで言えば、両親学級への夫婦そろっての参加率が挙げられるそうです。日本も、私が子育てしたころに比べると「イクメン」が話題になるなど、夫の育児への参加率も上がっているのかもしれませんが、ロンドンの友人が参加した両親学級は8割方、夫婦で参加していたとのこと。「ママ友」だけではなく、夫婦・家族ぐるみでお付き合いができる仲間が増えるのもよいですね。

プロフィール



大学卒業後、約25年間、(株)ベネッセコーポレーションに勤務。ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)で子育て・教育に関する調査研究等を担当し、2012(平成24)年12月退職。現在は夫、娘と3人でロンドン在住。

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