不登校の児童生徒が6年ぶりに増加 「中1ギャップ」も原因の一つ?
文部科学省の2014(平成26)年度「学校基本調査」(速報)によれば、最近5年間減少傾向にあった小中学校の不登校が、13(同25)年度は増加に転じた。中学校では不登校の生徒数が増加し、小学校では全児童に占める不登校児の割合が過去最高水準となっている。なぜこうした状況に至ったのか。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。
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文科省は、「病気」と「経済的理由」以外の原因で「年間30日以上」の長期欠席をした児童生徒を「不登校」と定義しています。13(同25)年度中に不登校だった小中学校の児童生徒は11万9,617人(前年度比6,928人増)で、全児童生徒数に占める割合は1.17%(同0.08ポイント増)。小中学生の86人に1人が不登校という計算です。最近の小中学校の不登校の割合は、07(同19)年度の1.20%をピークに5年連続で減少していましたが、それが6年ぶりに増加に転じたことになります。
小学校と中学校の両方で不登校が増加し、特に中学校での増加幅が大きいのが特徴です。中学校では40人学級の場合、クラスに1人は不登校の生徒がいる計算になります。また、小学校の全児童数に占める不登校の割合は、これまで最高だった00~02(同12~14)年度の0.36%に並んで過去最高の水準に戻りました。
不登校の増加について教育関係者などの間では、いじめ自殺事件や体罰自殺事件などが相次いだことにより、子どもの安全のため不登校を容認する保護者が増えたことが原因の一つ、と見る向きもあるようです。
また、中学校での不登校の増加では、小学校から中学校進学時の急激な変化になじめない「中1ギャップ」なども原因として指摘されており、今後、学制改革の一環として検討されている「小中一貫教育学校」(仮称)の創設などの議論に大きな影響を及ぼすことも予想されます。
出典:不登校児童生徒が6年ぶり増加 懸念される今後の動向 -ベネッセ教育情報サイト