小児科医が教える! アレルギーを撃退する「掃除法」【実践編】

「アトピーやぜんそくなどのアレルギー疾患を防ぐためには、掃除はできるだけたくさんやったほうがいい」と思っている保護者のかたは多いと思います。アレルギーを撃退するには「回数」よりも「質」が重要のようです。前回に続き、今回は、小児科医であり、3人のお子さまを持つ母親でもある池谷優子先生が実践している掃除法について伺いました。



ハウスダストを撃退するお掃除法

(1)掃除のタイミングは朝起きてすぐ、もしくは帰宅直後

アレルギーにとって一番の敵は、部屋のホコリです。目に見える大きなホコリ以外に、部屋の中には、小さなホコリが常に漂っています。浮遊しているホコリは、人がいないときや人の動きがないときにゆっくり降りてきます。浮遊しているホコリが落ちきったところで掃除できれば、効率よくホコリを処理することができます。ですから、「朝起きてすぐ」、もしくは「帰宅直後」が、掃除の狙いどきです。



(2)高いところから低いところへ!

ホコリは上から下に落ちてくる性質があります。順番を誤って下から掃除をしたり、床掃除に必死になっていたりすると、一見きれいになったようでも、部屋の上部のホコリは除けず、知らないうちにホコリだらけになります。掃除をするときは、電球の傘、窓のさん、棚や机の上など、高いところから低いところへの拭き掃除がスタートです。



(3)いきなり掃除機NG! まずモップがけを!

掃除のとき、いきなり掃除機をかける人は意外と多いのではないでしょうか? ホコリが積もった状態で掃除機をかけると、掃除機の排気でホコリをまき散らす結果になってしまいます。まず、モップがけを行いましょう。モップがけといっても、面倒な水拭きの必要はありません。市販の付け替え用のモップやワイパー、乾いた布で簡単に床の表面をぬぐえばOKです。



(4)必ず換気を行い、空気の流れを作りホコリを追い出そう!

掃除機をかける際に必ず行ってほしいのが換気です。排気のきれいな掃除機の選択、紙パックの交換も大事ですが、掃除の間は想像以上にホコリが舞い上がり、下手をすれば掃除前よりあとのほうが、空気中のホコリが増えてしまうこともあります。できれば、窓を2か所以上開けて空気の通り道を作るのが理想的です。



ダニの温床、布団は天日干しのあとに掃除機を!

基本の掃除法とともにぜひ実践していただきたいのが布団の天日干しです。体温で温かく、髪の毛やフケなどの栄養分もある布団は、ダニにとっては快適な環境です。ダニを繁殖させないためには、できるだけ日光に当てて、布団を乾燥させることが大切です。午前10時から午後2~3時までが布団の干しどきですが、この時間帯を逃すと外気の湿気を吸ってしまい、逆効果になるので注意が必要です。絶対にやってはいけないのは、布団をバンバンとたたくことです。ダニやその死骸がたたけばたたくほど粉砕されて細かくなり、より舞い上がりやすく、体に吸収されやすくなってしまいます。
天日干しできない場合は、布団乾燥機を利用するとよいでしょう。
天日干しのあとには、掃除機をかけましょう。布団用のノズルが市販されていますので、1平方メートルあたり20秒くらいかけて、丁寧に吸い取りましょう。最近ではもっと便利な布団専用の掃除機もありますので、こちらを利用するのもよいと思います。



【保護者へのメッセージ】

育児、家事や仕事と毎日が障害物競走のような生活をされているお母さん。掃除だけに時間を割くのは難しいですよね。しかし、ポイントを押さえた効率のいい掃除法を実践することはきっとできるはずです。ご家族が健康で幸せな毎日を送れるよう、ぜひ少しずつでもいいので実践してほしいですね。


プロフィール


池谷優子

医療法人社団池谷医院医師。小児科専門医。医学博士。自身も3人の子どもの母親という立場から、子育て経験を生かした診療やアドバイスを行っている。著書『アレルギーを撃退する「おそうじ」マニュアル』(マキノ出版)。

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