お手伝いをまったくしない中1の息子[うちの子、どう接したらいいの?]

今週の相談「お手伝いをまったくしない中1の息子」


お手伝いをまったくしない中1の息子[うちの子、どう接したらいいの?]


相談者
性別:男子
相談者:母
学年:中1

相談
小さい時はお手伝いをしていました。新聞をとってくる、食事の前後に食卓をふく、自分の使った食器は流しに持っていく……などなどです。それが小6くらいからまったくやらなくなりました。「うぜー」と言ったきり、自分の部屋のベッドにひっくり返っています。部屋の掃除もしないので、いつも私がやっています。男の子でも家事ができるように、と考えていたのでどうしたらよいでしょう。食べて寝てテレビを見てゲームをしてくつろいでいる息子のそばで親がなんでもかんでも家事をやる、というのはなんだかおかしい気がするのです。

福谷先生のアドバイス
多くの男子は中1ぐらいになると「普通」や「良いこと」や「まじめ」という言葉に対して小学校のころにはなかった違和感を感じるようになります。
お手伝いをしていたころの自分が嫌になり、子どもなりに「変わりたい」「大人になりたい」
「かっこ良くなりたい」「目立ちたい」……などと思い始めます。大人目線からすれば、良い行いは良いことだから胸をはって継続することは「カッコイイ」と思うのですが、それが
理解できないのが思春期でもあるのです。
息子さんの場合は、そういうことだととらえてください。

とは言っても現状を長く維持することは良い発達とは言えません。

「大人になりたがっている」という気持ちを受け止めて、中学生でも「かっこ良く家事を手伝う」方向に向けることが大切です。
つまり、「子どものしつけとしての家事、手伝い」から「中学生として、家族の一員としての家事分担」へのシフトチェンジをおすすめします。
じつはこれは、手伝う内容が以前と同じでも本人(子ども)にとってはまったく違う意味を持ちます。具体的にどういったことなのか、ご説明しましょう。

・「お願い」から「依頼」へ
中学生になると多くの男の子は親に対して口数が減ってきます。これは悪いことではなく、親には多くを語らなくても自分をわかってくれている、という保険のうえの行動なのです。小学生のころは何でも言葉で話して理解、行動してきたのですが中学生になると言葉のキャッチボールだけではうまくいかないことが増えます。
たとえば、今までは「お願い、○○して」という言葉だけで済んでいたかもしれませんが、これからは「○○だから母にはできない……今週末までに○○して……」「明日になったら忘れてしまうかもしれないから、冷蔵庫の扉に内容と期日を書いた紙を貼っておく」など理由や背景もきちんと説明します。そうやって大人扱いをするのが一つの方法です。

・「ありがとう」から「中学生らしい報酬」へ
小学生のころには任せられなかった家事も任せてみましょう(もちろん、家族のフォローは必要です)。
たとえば高い場所や掃除の難しい換気扇などです。他人の大人に対してであれば、報酬としてお金や何かを支払いますが、この場合は家族ですから、日頃あまり食べない食事を食べに行くのはどうでしょう。
そのような行動の中に中学生を参加させることも一つの方法です。

プロフィール



臨床心理士。臨床心理士コラボオフィス目黒理事 。二松學舎大学附属高等学校スクールカウンセラー。著書に『男の子の上手な育て方』。ご自身は、中学生のお父さま。

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