国際学力調査「TIMSS」で何がわかるのか

代表的な国際学力調査の一つ「国際数学・理科教育動向調査」(TIMSS)の2007(平成19)年調査の結果が、先頃発表されました。一昨年はもう一つの代表的国際調査「生徒の学習到達度調査」(PISA)が発表され大きな話題になりましたが、今回のTIMSSはそれほどでもなかったようです。いったいTIMSSは何を目的にした調査で、結果からどういうことがわかるのでしょうか。

国際学力調査「TIMSS」で何がわかるのか


TIMSSは、オランダ・アムステルダムに本部を置く国際教育到達度評価学会(IEA)という団体が、4年に一度実施しています。日本では小・中学校に当たる学校で、学んだことがどれだけ身に付いているかを、国際的な尺度で測ろうというものです。
これに対してPISAは、経済協力開発機構(OECD、本部フランス・パリ)という、経済問題を扱う先進国中心の国際機関が、3年に一度実施しています。小・中学校を卒業した段階で、社会で役立つ力がどれだけ身に付いているかを調べ、各国の経済発展につながるような教育政策を検討する材料にしてもらおうというものです。そのため調査分野は「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」(リテラシーは活用能力)というふうに、学校で学ぶ教科とは必ずしも一致していません。

ですから、日本で問題になっているような「学力」が上がったか下がったか、ということについては、PISAよりもTIMSSのほうがより直接的に調べることができる、と言ってよいでしょう。
なお、PISAはOECDが実施しているという性格上、先進諸国のほとんどが参加しているのに対して、TIMSSはそうとは限りません。たとえば、今回のTIMSSでは参加国・地域数が前回(2003<平成15>年調査)の41から59に増えたのですが、新規参加国にはドイツ、デンマーク、オーストリアなどのOECD加盟国もあります。また、カナダはいくつかの州だけが参加しているためそもそも参加国数にカウントされていませんし、PISAで注目されたフィンランドは最初から参加していません。

学力調査というと、どうしても順位が上がったか下がったか、トップクラスに位置しているかどうか、といったことばかりに注目が集まってしまいがちです。とりわけ2003(平成15)年はPISAとTIMSSが同時に実施されたため、結果が発表された2004(同16)年末には、両方とも「学力低下」の証拠と受けとめられたきらいがあります。しかし、あくまで参加した国や地域の中での相対的な位置であることに、注意をしておく必要があるでしょう。
なおTIMSSの調査学年は、日本では小学4年生と中学2年生です。中2と言えば4年前の小4ですから、4年ごとの調査によって、経年比較だけでなく、同じ学年が小学校から中学校に上がった時の変化も調べることができるようになっています。

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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