指導力が不足している教員に対する取り組みについて

最近、学校や教員に対する信頼を揺るがす事件が続いています。とても残念なことです。特定の事件についてはマスコミを通じて報道されていますが、たとえば、全国で指導力不足と認定される教員がどの程度いるのかは、ご存じのかたは少ないのではないでしょうか。9月26日に文部科学省が指導力不足教員の認定者数等について調査結果を発表しています。今回は、この調査結果をご覧いただきながら、学校教育について考えてみたいと思います。

指導力不足教員の認定数
教員は各自治体が採用していて、直接の人事管理は文部科学省がしているわけではありません。ですから、指導力が不足しているという認定も各教育委員会が行っています。その状況を文部科学省が47都道府県と15指定都市に対して調査した結果が【表1】です。

平成17年度における指導力不足教員の認定者は506名となっています(ちなみに全国の小中高の教員数は平成16年で約107万人です)。内訳は、指導力不足であると認定を受けた教員のうち、平成17年度に研修を受けた者が342名、平成18年度から研修を受ける者が144名です。研修を受けることなく、いきなり、依願退職や休職といったケースは稀であることがわかります。

【表1 平成17年度の指導力不足教員の認定状況】

【図1】は、指導力不足と認定された教員の数と、そのうち退職などをした者の数の推移を示しています。どちらの数も平成13年度から増えていることがわかります。これは指導力不足の教員が増えたというよりも、指導力不足教員に対する取り組みが、しっかり行われるようになったことの現れのように思います。

【図1 指導力不足教員と、そのうち退職等した者の推移】


学校や教員の力を向上させるために

指導力不足教員の認定や認定する判定者の構成(多くの場合は教員委員会関係者と医師、弁護士、保護者などで構成)や基準などはそれぞれの教育委員会で設定されています。
文部科学省は、今回調査した目的を発表のなかで以下のように述べています。

学校教育の成否は、学校教育の直接の担い手である教員の資質能力に負うところが大きいことから、教員として適格な人材を確保することは重要な課題である。このような中、児童生徒との適切な関係を築くことができないなどの指導力が不足している教員の存在は、児童生徒に大きな影響を与えるのみならず、保護者等の公立学校への信頼を大きく損なうものである。本調査は、各教育委員会におけるこのような人事管理システムのより一層の運用を促進するために、とりまとめたものである。(要約)

文部科学省が意図するように、教員の資質能力が向上することを期待したいところです。
最近、明らかになった個別の事件や問題については、適正に対処されることが必要と思いますが、その一方、全体を向上させていくことが課題となります。教員が各自治体で採用されていることからもわかるように、文部科学省(国)がすべてを統括管理することは無理があります。それぞれの地域、学校の主体的な取り組みが重要となってきます。
日本の学校教育の質は、直接的には、文部科学省、教育委員会、学校が関わる問題ですが、その結果は子ども、そして社会に跳ね返ってきます。教育に関わっている者、私たちやこのレポートを読まれている保護者のかたが、それぞれの立場から学校を応援していくことが求められていると思います。

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