小2長男の《お店屋さんごっこ》で気付いた「学び」と「お金の手触り」

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  • 育児・子育て

子育ては、思いも寄らないことの連続。子どもに向き合う保護者の数だけ、多彩なストーリーがあります。誰かの経験が、別の誰かの背中をそっと押すこともあるかもしれません。

今回は、小学2年生の長男が始めた「夕飯のお店屋さんごっこ」を通じての気付きについて、時本ひまりさま(ペンネーム)のエピソードをご本人がつづったnoteからご紹介します。

※以下、ご本人承諾のうえ、投稿内容をもとにご紹介いたします。

※写真はイメージです。

この記事のポイント

小2長男の開店宣言

「明日の夕飯は僕が作りたい! それでお店屋さんごっこをしよう!」

冬休みの最終日前夜、時本ひまりさんは、小学2年生の長男から突然の提案を受けました。

「日々、『今日の夕飯何にしようか?』と悩む私にとって非常に有難い申し出だったので『いいね!いいね!』と即反応した」

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

突如開店が決まった長男によるお店屋さん。開店準備が始まったのは開店当日の朝でした。

レシピ本を開きながら、家族が食べたいといった料理に次々と付せんを付けていく長男。お店屋さんの開店メニューが決まりました。

  • お好み焼き
  • 納豆うどん
  • 目玉焼き
  • ハムステーキ
  • 鮭定食

なかなか豊富なラインナップ。時本ひまりさんは「お好み焼きを分け合って食べる……で十分なのにな」と思いつつも、すべて作りたいという長男の思いをかなえるべく買い出しに出ました。

料理よりも先に取りかかったこと

食材を買いそろえ、いざ調理開始かと思いきや、なかなか動き出さない長男。声をかけると、まさかの展開が待ち構えていました。

「『そうだ!お店の準備をしなきゃ!!』と言って、段ボールで店構えを作り始めた。最初に取り掛かったのは『段ボールの店構え』だった(笑)
そこの上部に『目玉焼き』『お好み焼き』などのメニューを書いたヒラヒラした紙をセロテープで接着していた」

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

料理よりも先に始まったお店作り。「あの工作だけで時間が過ぎて、結局ご飯が作れないというオチでは……?」との心配をヨソに、無事に開店を迎えました。

「どの料理も1人~2人分しか作らず、時間差で食べるしかないというお店屋さん(笑)だけど、これと言ったトラブルもなくどの料理も上手にできていた」

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

これまでに長男がトライした料理といえば、冷凍うどんを解凍してトッピングを乗せる程度だったということを考えると、大躍進。

「すごいね! おいしいね!」
「いいレストランだね!」

との家族からの称賛に、長男は震えながら喜んでいたといいます。

悔しさからの再開店

大成功に思えたお店屋さんでしたが、翌朝になると長男は落ち込んだ様子を見せていたんだとか。

「『昨日、誰も目玉焼きを注文してくれなかった…』と寂しそうにつぶやきはじめた。
時間がなかったという事もあって注文しなかったけど、それがとても寂しかったらしい」

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

注文される喜びを感じた一方で、注文されなかったメニューがあることに悔しさを覚えた様子の長男。リベンジすべく、翌週再びお店屋さんを開くことになりました。

初回での注文状況を踏まえ、メニューを見直し。「お好み焼き」「目玉焼き」「ハムステーキ」で開店し、無事、すべてのメニューの注文を受けました。料理を口にする家族からの称賛の言葉も止まりません。気持ちが乗った長男は「毎週休みのどちらかは僕が作ろうか?」と、親にとってもうれしい提案をしてくれました。

アイデアが止まらない

※写真はイメージです。

2回の開店経験での気付きや学びをもとに、3回目の開店へのアイデアが次々と浮かぶ長男。

これまで壁に貼っていたメニューは、メニューブックに変更することに。「お店の名前も決めたら良いんじゃない?」との時本ひまりさんの言葉を受けて、張り切って作成。レストランのロゴやイラストにも工夫を凝らしました。

また、これまで提供していなかった新メニューも登場!

カレーライス 小 500円
カレーライス 中 1000円
カレーライス 大 1500円
おかわり無料

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

「おかわり無料」なら、カレーライス小500円を注文して何度もおかわりするのがいいのでは?との突っ込みは、楽しそうな長男を前にそっと胸にとどめます。

さらに長男は、紙コップとビー玉で「店員を呼ぶベル」も自作。お店屋さんのディテールにまでこだわり、心の底から満喫していました。

「やってみたい」があるからこそ

回を重ねるごとに、どんどん工夫が凝らされる「お店屋さん」。時本ひまりさんは、長男の姿に驚かされることも数多くあったんだとか。

それは、自分が嫌いなことや、苦手なことにも進んで、むしろ楽しそうに取り組んでいる姿だったといいます。

「メニューブックには、自らたくさんのメニューを書いていたけど、宿題や勉強で文字を書く事は面倒くさがって嫌いなのだ。

ついでに言えば、メニューブックに書かれたイラストも驚きだ。
宿題の絵日記等になると書くのを心底嫌がって取り組ませるのにいつも苦労している」

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

普段は気が乗らない文字もイラストも、自ら「やりたい」と思ったことのためなら、進んで取り組んでいた長男。時本ひまりさんは、その姿から「学び」の本質に触れたような気がしたといいます。

「『こうなりたい』というゴールがあり、そこに近づく為に工夫したりアイデアを出したり、努力ができる」

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

お互いの顔やリアクションが見えるからこそ感じられる「手触り」

長男の「お店屋さん」の工夫は、家族のリアクションをとおしても刺激されていました。

家族で「美味しいね」「良いお店だね」と言いながら食べていた時、長男はとても嬉しそうだった。

そして「次はこうする…」と、またアイデアを出していた。

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

お店のアイデアを練る。お店にお客さんが来る。料理やサービスを提供する。反応が返ってくる。料金の支払いを受ける。一連の流れの中で、自分の働きに対して、温かい言葉やリアクションがあったからこそ、さらによいサービスを提供したくなったのかもしれません。家の中で行われていた「お店屋さん」ですが、社会における経済活動を知らず知らず体感していました。

頑張ってご飯を作ってくれた人が見える。
頑張って作ったご飯を食べてくれた人が喜んでいる。

お互いの顔やリアクションが見える事が嬉しい。

私達は、頑張って美味しいご飯を作ってくれた人に対価としてお金を払う。

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

時本ひまりさんは、これが最近読んだ本で指摘されていた「手触り」だと気付いたといいます。

長男は自分が試行錯誤して働いた(=お店を開店した)からこそ、お客さん(=家族)が対価として喜んでお金を払ってくれたからこそ、働く人がいるからこそ成り立つお金の本質を実感できたのかもしれません。

最近では「省力化」「人手不足」もあり、注文や会計、食事の配膳まで機械が担う事があり、人と人の触れ合いや感謝の言葉を伝え合う瞬間も減っている。

働き手不足で、これから益々「人と人の繋がり」を感じる場面が減っていく。
これは致し方ない部分も多い。

だから、せめて家庭の中では「豊かな会話」「温かい会話」「喜びを伝えあう事」を大切にしたいと思う。

  • (時本ひまりさんの投稿より *一部編集)

●ご紹介した記事
「きみのお金は誰のため」の手触りとは、こういう事なのかもしれない。
https://note.com/sky_405/n/n07d73f0d6639

●元記事の著者プロフィール

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