反抗期の子どもに伝えるべきこと・伝えてもムダなこと
- 育児・子育て
何を言っても素直に聞かない、へ理屈やふてくされた態度にこちらもイライラ。反抗期だと思ってなるべく子どもを尊重しようとするけれど、すべて許すのも違うと思うし、どうすればいいのかわからなくなる……と、戸惑う保護者のかたは少なくないでしょう。
反抗期を乗りきるために必要な線びきやコミュニケーションの方法について、教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。
この記事のポイント
親の「諦め」が必要な時期がある
子どもが急に反抗的になってきた、態度が悪い、親を無視することがある……など、反抗期の子どもの様子には多くの保護者のかたが経験する「あるある」がいっぱいです。
中学校時代を中心とした思春期だけでなく、小学生でも中間反抗期などといわれる反抗期があります。
成長の過程だから、いずれ落ち着くだろうとわかっていても、向き合っていくのはなかなか大変です。
でも、自我は自分にとっての権威(指示や命令)を否定することで形成されていくものであり、子どもにとっては、実は言われたことの内容よりも、否定することに意味があるのです。
また、思春期には体内のホルモンバランスが崩れ、脳の扁桃体(へんとうたい)が活発になって怒りに対して敏感になり、対して客観的な判断力は低下気味になるという研究報告が出ています。
親にしてみれば理不尽なことですが、子ども自身もコントロールできていないと理解してあげてください。
「育て方が悪かった、うちの子は本当にダメだ」などと悪く考えないようにしましょう。この時期を乗り越え自我をしっかり成長させることで、子どもは精神的に自立した大人になります。
できれば「きたきた、反抗期!」「順調に成長している」というくらいの姿勢で受け止められたら理想的です。
伝えてもムダなことは割りきる
たとえば「食事のときに肘をついちゃダメ!」「言葉づかいが悪い」など、確かに言いたくなる気持ちはわかりますが、反抗期の時期に細かいしつけは無理なので言わないほうが得策です。
子どもは内容ではなく指示や命令に反抗してくるので、いくら言ってもこじれるだけです。
今は発達段階的に言葉を素直に受け止められる状態になっていないので、その奥の親の思いや、なぜそれが必要なのかまでは考えられません。否定的な言葉が増えると親子共にストレスですし、余計に反抗的になってしまう悪循環に陥ります。
特に気を付けたいのが、家庭全体の雰囲気が居心地の悪いものになってしまう状況です。家の居心地が悪くなると、子どもは糸の切れた凧(たこ)のように外に居場所を求めたり、大人の目がないネット空間や駅前にたむろしたりするようになり、悪い誘惑や社会のリスクにさらされてしまうのです。
それでもめげずに伝えるべき言葉
もちろん、否定的だとしても絶対に言わなければいけないこともあります。
誰かの人権を侵害してしまうようなこと、反社会的な行動や危険なことをしている時には、ダメなものはダメという指導が必要です。
実は、このようなことはいけないことだと子ども自身もわかっていて、親がそれについて注意してくれなくなると「自分のことはもうどうでもいいのか」と思ってしまうのです。
どうしてもダメなことは、強要や命令にならないように、人生の先輩として「あなたにとってよくないことだよ」と落ち着いて伝えましょう。
また、子どもが何か言ってきた時には「でもね」よりも「そうか、なるほど」とまず共感を。
この機会に言いたいことを言っておきたいという気持ちにもなりますが、「初めは共感。言いたいことは最後に少し」この順番と加減がとても大事です。
そして、どんなに反抗的で親を拒否しているように見える子どもでも、コミュニケーションがなくなってしまえば心が寂しくなるということも忘れないようにしてください。
「おはよう、いい天気だよ」「おかえり、大変だったね」「あなたの好きな目玉焼きだよ」そんな心地よい声かけを続けましょう。
いつも見守っていること、気にかけていることが伝わる言葉かけ。
たとえ子どもが表面的にはよい反応をしてくれなくても、心の中では親の愛情を感じているということもありますので。
まとめ & 実践 TIPS
反抗期の子どもは本当にデリケートで、子ども自身も揺れる気持ちを持て余しているようです。
本当に伝えなければいけないこと以外は、「今は言ってもムダ」と諦めて、心地よい声かけを続けましょう。少し時間がかかるかもしれませんが、互いに試行錯誤をしながら過ごした時間は、きっと親子の絆を深めるはずです。
<親野智可能等先生の書籍紹介>
『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社 2023/7/10発行)
親野 智可等 (著), ぴよとと なつき (イラスト)
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