柔軟性は、「固執しない」「他のやり方を試してみる」ことで育める!ボーク重子さんに聞く!これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方 ~Lesson10 柔軟性

ライフコーチのボーク重子さんに、子どもの「非認知能力」の育み方について、連載でお伺いしています。第10回の今回は、ひとつの正解や従来のやり方に固執せずに、いろいろな見方ができるようになる力、「柔軟性」についてのお話です。

この記事のポイント

【保護者のかたのお悩み】
Q. 子どもが授業中に答えを間違い、友達に笑われたことから「間違うのが恐い」と自分から手を挙げて答えたり、人の前で意見を言ったりすることができなくなってしまいました。どうすれば、自信を取り戻すことができますか?

「間違うことが恥ずかしい」という前提からリフレーム(再構築)する

ボークさん: 自信を取り戻すというよりも、お子さんに他の考え方を提案してみてはどうでしょうか。「間違う→笑われる→恥ずかしい」という前提を変えてあげるのです。
間違ったら笑う人がいる。でもそれは笑う人の問題であり、それが恥ずかしいという考え方もできるけれど、笑う人がおかしいという考え方もできます。別の見方があることを伝えることで、考え方をリフレーム(再構築)するのです。
また、間違えたことよりも「やったこと」にフォーカスを変えるというのもひとつの手です。「間違える」ということは、やった人にしかできないことですから、取り組んだこと自体を肯定してあげましょう。そうすることで、自信をなくしたり、間違わないことしかやらなくなったりということが防げます。時間がかかる作業ですが、家族みんなで協力してやることで、少しずつ思考のクセが変わっていきます。

コロナ禍で試された「柔軟性」。これからは状況の変化を「乗りこなせる」力が必要

「柔軟性」をインターネットで検索すると、体の柔軟性の話についてはたくさんヒットしますが、「思考の柔軟性」については、キーワードに「思考」を入れないと、うまく検索ができません。それはつまり、思考の柔軟性は、あまりまだ重要視されていないということかもしれません。しかし、変化が激しい今の時代、柔軟性がなければ生き抜くことはできないでしょう。
コロナ禍でも、明暗を分けたもののひとつに「柔軟性」があります。

ワシントンD.C.のレストランを見ても、いち早くテイクアウトのメニューを充実させた店、いち早く配達の準備を整えた店は生き残っています。
反対に、ずっと状況が変わるのを待っていた店は、残念ながら多くが潰れてしまいました。
それはつまり、状況に合わせた変化を乗り越える、もっと言えば、ビジネスチャンスとして乗りこなす力、つまり柔軟性があったかということが、重要だったのだと思います。

「固執しない」「違ったやり方を試す」ことで、柔軟性は育める

柔軟性とは、

Step1 今までのやり方に固執しない
Step2 違ったやり方に挑戦する


この2ステップができるかに、かかっています。

たとえば車の運転をしている時、いつもの道が「工事中」になっているとします。
柔軟性がなければ、工事が終わるまでずっと待ってしまうかもしれません。これは従来のやり方に固執してしまい、「この道しかない」と思い込んでいるからです。「今のやり方ではダメなんだ」と、従来のやり方、考え方を捨てることができた時に初めて、「じゃあどうすればいいのか」と考えることができ、他の道を探すことができるようになります。

柔軟性がない人は、想定外のことが起きた時に対応ができません。
でも人生は、想定外で溢れていますし、物事がトントン拍子に進むことのほうが稀なもの。
また、「違う意見を受け入れられない」「自分の意見だけが正しい」という人は、一般的に人の意見が聞けずに、我を通してしまう傾向にあり、そうなると良好な人間関係が築きづらく、社会生活を営むことが困難になってしまいます。

親は意識して、子どもの正解をひとつに決めない

いつも「〇〇すべき」「△△してはいけない」と親に言われている子どもは、柔軟性が育ちにくいと言えるでしょう。なぜなら、正解が「それだけ」だと思いこんでしまうからです。
ですから親は子どもに、「ひとつの正解を押し付けない」ということが、とても重要です。
大人になると、自分がやってきて正解(あるいは不正解)だったと思う道ができているので、子どもにもその正解を押し付けてしまいがちです。たとえば「絶対〇〇だ」と言い切って子どもに話すことはありませんか。コーチングの観点でいえば、研究結果などを言う時以外は、なるべく言い切り言葉は使いません
たとえば「絶対大丈夫」という言葉は、「きっと大丈夫」と置き換えます。
それは、「絶対」という言葉を使うことで、正解がひとつになってしまうからです。
ぜひおうちのかたが意識して、柔軟な声かけを心がけてみてください。

最初に肯定するだけで、心の開き方は変わる

「でも」「だって」と自分の意見に固執してしまうお子さんの場合は、まずはいったんその意見を肯定してあげることをおすすめします。
たとえば子どもが「絶対にこれがいい!」と言った時に、「そうなんだね」と、まずはその主張を認めてあげます。大人でも子どもでも、頭から否定されては、嫌ですよね。
「それはダメ!」
「なんでお母さんの言うことが聞けないの?」
と頭から否定してしまうと、攻撃されているような気持ちになり、「でも」「だって」と自分の意見に固執してしまうのです。
柔軟になるためには、「安心・安全を感じる」ことが重要です。そうすることで、心に余裕が生まれ、他の人の話も受け入れやすくなります。

他にも柔軟性を高めるポイントは3つあります。

1つ目は、日常生活の中で、小さいころから「選択肢が複数ある」という経験を積むことです。
「今日の洋服はこれ」
「この番組はダメ」
「雨の日にしか長靴は履いてはいけない」……など、禁止事項やひとつしか選択肢がない環境で育っていると、他の見方や考え方が受け入れにくくなってしまいます。

2つ目には、クリティカル・シンキングを鍛えることです。
「これしか方法がないのか」といつも考えるクセをつけることで、思考が柔軟になります。

3つ目は、認知能力である「情報(知識)」も高めていくことです。違うやり方を探すにしても、情報(知識)がないと、他のやり方を見つけることは難しいからです。

自分のやり方に固執せずに、また自分の考えだけが正しいと思わずに、時には捨てることができる。そして、違うやり方を受け入れたり考えたりできるようになるためには、認知能力(知識)と非認知能力、どちらも高めていくことが大事です。

まとめ & 実践 TIPS

子どもに「〇〇すべき」「△△はダメ」「□□が絶対いいよ」と、親は自分の経験からつい言ってしまいがちですが、こういった言い方をすると、子どもが「正解はそれだけ、ひとつだけ」だと思いこみ、自分の考えに固執したり、他のやり方を受け入れ難くなったりと、柔軟性を育みにくくなることが分かりました。子どもの柔軟性を高めるために、「親の正解を押し付けない」ということが大事なようです。

非認知能力について、もっと詳しく読みたいかたはこちら
子どもを幸せにする非認知能力の育み方

プロフィール

ボーク重子

ボーク重子

ICF会員ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。米ワシントンDC在住。30歳の誕生日を前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強で訪れた南仏の語学学校で、米国人である現在の夫と出会う。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上でオバマ元大統領(当時は上院議員)とともに、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在は、全米・日本各地で《非認知能力を育む子育て》《新しい時代のキャリア構築》についてコーチングと講演会を開催している。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など shigekobork.com 東京FMラジオ局のAuDee (Iphoneアプリ)、マイスタジオにて「ピンクdeワオ:自己肯定感コーチング」毎週月曜日から金曜日朝6時配信中。

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