食事の時間になっても遊びに夢中な子。けじめがつかなくて困る。[教えて!親野先生]
- 育児・子育て
遊びに熱中してけじめがつかないお子さまに困っているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。夢中になることは大切であるとはいえ、食事やお風呂の時間になっても遊び続けている様子に「生活リズムをつけられなくなるのでは?」と心配になることもあるかもしれません。
遊びに夢中になっている子どもにどう接していけばよいのでしょうか。教育評論家の親野智可等先生に伺いました。
【質問】遊びに夢中で食事の時間になっても中断できない小1男子。どうすればけじめをつけられる?
ブロックや鉄道模型など、好きなことに熱中するのはよいのですが、けじめがつかなくて困ります。食事の時間になって「食べてからまたやればいいでしょ」と言っても、無視してやり続けます。先日も、結局、叱って食べさせることになってしまいました。(きなこさん:小学1年生男子)
親野先生からのアドバイス
拝読しました。
確かに、食事のときは遊びを中断して食事をしてほしいと思いますよね。
それでないと、片づかないし、生活リズムがこわれるし、親にも都合があるし、そのあとがいろいろずれ込んで寝る時間も遅くなるし……。
実は脳科学や教育心理学の研究では、こういう遊びの中断は非常にもったいないことだとわかっています。
熱中している時間は、脳のスペックが上がっている
食事のことも片づけのことも忘れて、一心不乱に遊ぶ時間は子どもにとってとても大切な時間です。
このように熱中しているとき、脳の中でドーパミンという幸せホルモンが出て幸福感が味わえます。
しかも、このドーパミンは意欲、やる気、集中力、理解力、記憶力、思考力を高める働きもあります。
これは脳のスペックが上がるということであり、いわゆる地頭が良くなるわけで、学校の勉強をするときにも大いに役立ちます。
遊びに熱中することで、非認知能力も高まる
また、遊びに夢中になっているときに非認知能力が伸びることもわかっています。
たとえば、目標や課題を自分で設定する力、粘り強く努力する力(グリッド)、忍耐力、試行錯誤する力、工夫する力、行動力、臨機応変な対応力、感情コントロール力、コミュニケーション力、思いやり、協調性などです。
そして、この非認知能力こそが、社会的な成功や人生の幸福度を上げる重要な要素だということが明らかになっています。
つまり、非認知能力が高い子は、勉強、課題、仕事などに対して意欲的に取り組めるようになり、結果的に学力や収入が高くなるのです。
ちなみに、今をときめく筑波大学准教授・落合陽一さんも、自分の子どもが何かに熱中しているときは一切止めないそうです。
叱るのではなく、言い方を工夫してソフトランディングを
実際問題として「そうは言ってももう待てない」とか「もう食べないと、このあとがいろいろずれ込んで寝る時間も遅くなる。明日○○があるのに……」などという場合もあると思います。
そういうときも、いきなり子どもを叱って遊びをやめさせるのは避けるべきです。
せっかく幸せな気持ちでいたのが台無しになってしまいますし、無理解で強圧的な親に対する反発心や不信感が出てくる可能性もあります。
また、食事に対するネガティブな感情をもってしまう可能性もあります。
ですから、まずはほめてあげるとよいと思います。
たとえば、「たくさん遊んだね。楽しかったね」「上手に作れたね」などのようにです。
「これ、どうやって作ったの?」と遊びのことを聞いて、話をさせてあげるとよいでしょう。
とにかく、子どもの話を共感的に聞いたりほめたりしてあげて、そのあとで「じゃあ、一緒に片づけて、あなたの大好きな○○を食べよう」などと言うようにしましょう。
このように言い方を工夫して、ソフトランディングさせてあげるとよいと思います。
私ができる範囲で、精いっぱいご提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。
- 育児・子育て