【専門家監修】小学校に必要な学費とは|小学校で主にかかる学費の内訳3選など紹介
- 子育て
小学校に必要な学費とは
教育費は、子どもひとりにつき大学まで考えると1,000万円かかるともいわれていますが、選ぶ学校や家庭の考えで大きく変わります。
小学校の場合、公立であれば授業料は無料ですが、授業料以外でかかる費用があります。私立の小学校になると、公立と比べ学費が何倍も高くなります。いずれにせよ、6年間の総額にすると大きな金額となります。
人生の3大資金のひとつといわれている学費および教育費について、文部科学省の令和3年度「子供の学習費調査」を参考にしながら、小学校でかかる費用を見ていきます。
あわせて、小学校の学費を援助してくれる制度についても紹介していきます。
公立の場合
文部科学省では、子どもの学校教育や学校外活動のために支出した1年間の経費の実態をとらえる「子供の学習費調査」を、平成6年度よりおおむね隔年で実施しています。
令和3年度の資料によると、公立小学校に通う児童の学費は1年間に平均で約35万3千円。ひと月で約3万円弱です。
これを小学校の6年間で考えると約211万円となり、おおよその公立小学校の学費および学校外活動費の合計がわかります。
私立の場合
続いて、私立小学校について見ていきます。
文部科学省の調査によると、私立小学校に通う児童の学費は1年間に平均で約166万7千円、ひと月約13万9千円です。6年間に換算すると、約1000万円となります。
小学校の学費は地域によって違う
公立小学校でも、地域によって学費が違うことはご存じでしょうか。ここでは、学費の地域差についてみていきたいと思います。
文部科学省の統計によると、人口規模別で地域ごとに公立小学校の学習費(学校教育費、給食費、学校外活動費を足したもの)を比較した場合、人口規模の大きい地域ほど支出額が高いという結果 になっています。
都市部ほど私立の中学校が多く進学塾の数も多いため、この結果にはうなずけますが、近年では地方でも中高一貫校が増えていますので、今後の数字の変化に注目したいところです。
小学校で主にかかる学費の内訳3項目
小学校に在籍している子どもを持つ親が1年間に支出した学費の内訳を見てみましょう。
公立小学校在籍の場合と、私立小学校在籍の場合の2つに分けて、文部科学省のデータに基づいて紹介します。
小学校で主にかかる学費の内訳1:学校での教育費
学校教育費とは、学費の総額を指します。
具体的な内容として、授業料をはじめ、PTA会費や学校納付金、修学旅行、遠足代、教材費などです。令和3年度のデータでは、私立小学校は公立小学校の約14.6倍 かかっています。
公立の場合
公立小学校の学校教育費は、学習費総額の約19%、6万5,974円です。
支出の内訳は、修学旅行や遠足などの費用、学校納付金、図書費・学用品などの学習教材費用などが含まれます。
私立の場合
私立小学校の学校教育費は、96万1,013円で支出の50%以上を占めています。
公立小学校と比べると、約14.6倍という驚きの数字が出ています。
公立小学校では授業料が無料で、私立小学校では有料なので金額に大きな差が出ます。その他にも学校納付金や図書費・学用品などの費用も公立小学校に比べて高く設定されています。
小学校で主にかかる学費の内訳2:学校外での活動費
学校外活動費とは、学校の外でかかる学費全般のことを指します。
具体的には学習塾や家庭教師の月謝、スポーツクラブや習い事の代金、さらに家庭での学習に使う机や参考書代なども含まれます。
公立の場合
公立小学校に通っている子どもを持つ親が支出した学校外活動費は、24万7,582円です。
学校では学ぶことのできない分野などを、それぞれの専門的なスクールに通わせています。
私立の場合
私立小学校の学校外活動費は、66万0,797円で、公立小学校の約2.7倍となっています。
公立の場合と理由は同じですが、子どもを私立の学校に通わせている家庭では比較的金銭面にゆとりのあることが多いです。そのため、通っている塾の数が多かったり家庭教師を雇っていたり、月謝が高い塾を選択していたりすることから学校外活動費も公立小学校より高くなっています。
小学校で主にかかる学費の内訳3:学年別の教育費
次に、学年ごとにかかる学習費総額の平均をみていきます。結論としては、公立、私立とも1年生の費用が高くなっています。
小学校入学時に必要なランドセルや文房具、制服や体育服、学習机などをそろえるためと推測できます。
2年生以降は、公立、私立とも学年が高くなるにつれて費用も上がっていきます。小学校高学年では、低学年時よりも学習塾に通う人が増えるためだと考えられます。
では、詳しい数字をみていきましょう。
公立の場合
公立小学校の学習費総額を学年別にみていきます。
第1学年37万9,539円、第2学年28万3,211円、第3学年31万5,794円、第4学年32万9,198円、第5学年38万774円、第6学年42万3,506円となっています。
金額が高いのは第6学年で、次に入学準備品の購入が必要な第1学年が多い結果となっています。これは第1学年は入学準備、第6学年では塾費用などがあるためでしょう。
私立の場合
私立小学校の学習費総額の学年別は、以下のようになっています。
第1学年213万6,449円、第2学年140万2,725円、第3学年151万9,595円、第4学年159万2,088円、第5学年168万3,972円、第6学年166万4,831円となっています。
公立の小学校と比べると、どの学年も数倍の費用になっています。第1学年と第6学年が高くなっている理由は公立と同様です。
しかし、私立の小学校は子どもたちが学ぶ環境としてより良くするために学校設備や運営に投資しているため公立の小学校より全体的に教育費が高くなっています。
小学校外で主にかかる費用3選
小学生は、学校以外でも費用がかかることがあります。主に、学習塾費、習い事費、学童保育費の3つです。
校外費用になるため絶対必要な経費ではありませんが、各家庭によって考え方は異なるため、かかる金額にもばらつきが生まれます。
それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
小学校外で主にかかる費用1:学習塾
ひとくくりに学習塾といっても中学受験をするための進学塾なのか、授業についていくための補習塾なのかによっても費用は異なるでしょう。
また、集団で授業を受けるのか個別指導塾なのかによっても金額は変わりますので、学習塾に通う意味を明確にしておくことが大切です。
中学受験用としてであれば早めから対策が必要な場合も多く、季節毎の特別講習費や模試代なども随時かかります。補習塾であれば、勉強が難しくなる高学年からの需要が増えやすく、いつから通い始めるのか子どもと話し合う必要があります。
学習塾は、毎月の授業料をはじめ入学金や諸経費、テキスト代、さらに夏期講習など特別講習の受講料などが追加される場合があるため、入塾する前に確認が必要です。
小学校外で主にかかる費用2:習い事
小学校におけるプログラミング教育や英語の授業、中学校でも武道やダンスの必修化が始まり、子どもたちを取り巻く教育環境が大きく変化しています。
体力作りのための水泳やダンスなどのスポーツ系、感受性を高めるピアノや図工などの芸術系、グローバル化に対応するための英会話など、習い事の種類は多岐にわたり、その月謝や習い事に関係する費用の負担も多くなっています。
習い事を増やしすぎて、将来かかる教育費をまかなえなくなっては大変ですので、子どものやる気や気持ちを尊重しつつも、習い事の数や有無を慎重に検討するとよいでしょう。
小学校外で主にかかる費用3:学童保育
共働き世帯やひとり親世帯であれば、子どもを学童保育に預ける場合もあるでしょう。
学童保育の費用は地域によっても異なりますが、月に2,000円~10,000円程 かかることが多いようです。年齢の近い兄弟や姉妹がいる場合、かかる金額も増えていきますのでお近くの学童保育施設に確認しましょう。
小学校での学費を援助する就学援助制度とは
さまざまな家庭の事情により、公立小学校であっても学費を払うことが難しいと感じている家庭は少なくありません。
義務教育である小学校は、授業料や教科書代は無料になりますが、その他の給食費や学用品費、通学費、クラブ活動費、修学旅行費、学校災害共済掛金などは自費で支払わなければなりません。
そこで、生活保護世帯と生活保護世帯に準ずる世帯には、就学支援制度があります。
自治体によって認定基準や受けられる支援は異なりますが、シングルマザーなどのひとり親世帯や、共働きであっても経済的に余裕がないかたへの支援を行っている自治体もあります。
住んでいる自治体のHPや広報誌、学校からの案内などを確認してみましょう。
準要保護者
準要保護者とは、生活保護世帯に準ずる程度に生活が苦しく、学費負担が困難な子どもを持つ保護者を指します。
準要保護者に対する就学援助については、各自治体に任せられていますので、自治体によって支援内容が異なることがあります。
また、就学費用の全額補助ではなく、就学に必要な経費の一部を援助する制度ですので、準要保護者に該当するのか、どのくらい援助してもらえるのかを確認することが大切です。
要保護者
要保護者とは、生活保護を受けている人のことを指します。
生活保護法第6条第2項に規定する要保護者の家庭は、就学援助を受けられ、学用品費、入学準備費、通学費、修学旅行費、校外活動費、学校給食費、クラブ活動費、児童会費、PTA会費、卒業アルバム代等など、就学費用に関するそのほとんどを援助してもらえます。
小学校での学費は早めに準備したほうがいいでしょう
ライフイベントの中でも大きな支出を占めるのが、子どもの教育費でしょう。
教育費といっても、どのような教育を受けさせたいのかによって、どれだけの資金が必要になるのかが変わってきます。ご家庭での教育方針を検討しながら、早めに準備を進めましょう。
参照元
参照:『○生活保護法』(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82048000&dataType=0&pageNo=1
参照:『子供の学習費調査-調査の概要』(文部科学省) https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/gaiyou/chousa/1268086.htm
参照:『結果の概要-令和3年度子供の学習費調査』(文部科学省) https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00001.html
参照:『就学援助制度について』(文部科学省) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/05010502/017.htm
参照:『令和3年度子供の学習費調査の結果について』(文部科学省) https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-000026656_1a.pdf
プロフィール
- 藤川太先生
- ファイナンシャルプランナー、家計の見直し相談センター生活デザイン株式会社代表取締役社長。
慶応義塾大学大学院理工学研究科修了後、自動車会社にて燃料電池自動車の研究開発に従事。1998年にファイナンシャル・プランナーとして独立。家計の個人相談の普及を目指し、2001年に「家計の見直し相談センター」を設立。『1億円貯める人のお金の習慣(PHP研究所) 』ほか著書多数。