コミュニティの輪で島暮らしをより充実したものへ 直島の子育てや移住をサポートする「なおしまキッズポート」【直島アート便り】

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地方への移住に興味のある方が増えている昨今、瀬戸内の自然豊かでアートに触れられる島暮らしに魅力を感じる方も少なくないのではないでしょうか。しかし、いざ生活することを考えると、教育、医療、利便性など、心配事が多いのも事実です。
今回は、直島の子育て世代の方々が始めた取り組みについてご紹介します。

この記事のポイント

直島で暮らす上での課題とは?

一般社団法人キッズポートの代表を務める山岸さんは、2014年に子育て環境としての直島に魅力を感じ、東京から移住して来ました。

現在、小学生のお子さんを持つ山岸さんは、移住してから数年が経った頃、直島での充実した暮らしを送りながら、様々な理由で島を離れてしまう人も多いことを実感し始めます。

その中でも、子育てや教育に関する課題であれば、自分たちにもできることがあると考えたそうです。
具体的には、子供の保育時間、親の相談窓口、離島という物理的環境から生じる学習や体験の機会損失などが主な課題で、移住はもちろん、移住者の定住のためには、島の子育て環境の向上が必要と強く感じていましたし、それが町民のニーズとも重なると思った、と振り返ります。

このままでは、直島の人口減を加速させる要因の一つになってしまうのではという危惧感が、アクションを起こすきっかけになりました。

島というコミュニティだから行動できたこと

直島で暮らす上での課題解決に向け、山岸さんは子育て世帯の友人たちと課題を共有し、有志を集めて行政との意見交換を始めます。その時のことを、早い段階で行政との共通理解が持てたことで、よりスムーズに進められた、と本人は振り返ります。

たまたまお話する機会があったと言う、ベネッセアートサイト直島の代表・福武總一郎氏からの「子どもに関する課題解決には、ぜひ子育て世代の視点を活かして取り組んでほしい 」という言葉を励みに、山岸さんらは2020年3月に(一社)キッズポートを立ち上げ、2020年6月に「なおしまキッズポート」をオープンしました。

直島町総合福祉センター内にある「なおしまキッズポート」

子育てサービスだけでなくコミュニティを育てる

(一社)キッズポートでは、直島の子育て世代を支援するため、平日の夕方や土日祝日にも利用できる子育て支援拠点「なおしまキッズポート」を直島町総合福祉センター内で運営する他、土曜日の学童保育や外部機関と連携した教育活動を企画運営しています。

「なおしまキッズポート」では、子ども達に遊びを通して発見や学びを提供できるよう、毎月テーマを設け、個性豊かなスタッフの得意分野を活かして、工作、英語、子育て座談会など、毎月趣向を凝らしたプログラムを行っています。また、親同士で疑問や不安を相談できる座談会や、移住・定住を促進するための個別相談なども実施しています。

この幅広い活動を通じて、都会ではなかなか難しい、子育て世代が繋がり交流しながら楽しく助け合える環境づくり、自分らしい直島での暮らしを充実させていくためのコミュニティを形成する役割を担っているとも言えます。家族で直島に訪れた際には、直島の活気あるコミュニティの輪を体験してみてはいかがでしょうか。

2021年11月に行ったイベント「妖怪になろうワークショップ」

プロフィール



「ベネッセアートサイト直島」は、直島、豊島、犬島などを舞台に、株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動の総称です。訪れてくださる方が、各島でのアート作品との出合い、日本の原風景ともいえる瀬戸内の風景や地域の人々との触れ合いを通して、ベネッセグループの企業理念である「ベネッセ=よく生きる」とは何かについて考えてくださることを願っています。
https://benesse-artsite.jp/

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