思春期でも話せる親子関係を築くには?目指すはわが子の“安全基地”

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お子さまの外での様子、気になりますよね。だからといって、何でもかんでも詮索するのは、「うるさいな」などと煙たがられる原因になるので要注意です。では、話せる親子関係を築くには?発達心理学、学校心理学の専門家であり、ベネッセの教育情報公式アプリの話題のコンテンツ「わが子の学習タイプ診断」の総合監修を務める渡辺弥生先生が、子どもとの上手なコミュニケーションのコツを伝授します!

この記事のポイント

話す前に聞きすぎていませんか?

「友達と仲良くやっているかしら」「先生とはうまくいっているのかな」などと気になるあまり、「最近は誰と仲がいいの?」「今日は先生とは何かしゃべった?」などと、根掘り葉掘り聞こうとしていませんか?しかも、お子さまの答えが「こうであって欲しい」という“期待”とズレていると、「えっ!?」という言葉や表情に出てしまったり…。
詮索されるとあまりしゃべりたくなくなってしまうのは、大人も子どもも同じです。おまけに、子どもは保護者のかたの反応に敏感。たとえ「友達とケンカしちゃったんだ」などと話したい日があっても、保護者のかたの“期待”を感じ取るうちに、それを裏切らないようにウソをついたり、「フツー」などと当たり障りのない返事をしたりするようになってしまうのです。

目指すは、わが子が安心して話せる存在

ではどうしたら、質問攻めにせずに、子どもから話してもらえるようになるのでしょうか?大事なのは、日ごろの積み重ね。いつでも話に耳を傾けて、安心して話せる“安全基地”になっておくということです。どういうことかというと、子どもだって外に出れば友達に気を遣い、授業でドキドキしながら意見を言い、思い通りにいかないこともいろいろとあるでしょう。それなのに帰宅してからもあれこれ聞かれたり、いちいち「えっ!?」なんて言われたりしたら、きっとあまり話す気になれませんよね。

誰でも、ネガティブな反応をする人よりも、うなずきながら聞いてくれる人に話をしたくなるものです。だからまず大事なのは、先回りして詮索するのではなく、話してくれた時に耳を傾けるということ。こちらから質問するにしても、「先生」「友達」といった人間関係が主語になると「心配しているんだな」と思わせてしまうので、「今日はどんな授業があったの?」「教室で動物は飼っているの?」といった楽しい話題を心がけ、そして、どんな話にも「そうなんだ」と共感してあげてください。
それを重ねるうちに、子どもにとって保護者のかたは「話を聞いてくれる存在」となり、安心して話してくれるようになると思います。

思春期の子には日常の中で思いを伝えて

小学校高学年ごろからあれこれとは話してくれなくなりますが、親に秘密を持つことは親離れの一歩であり、成長過程として当然のことです。すべて聞き出そうとせずに、やはり「何かあったらいつでも聞くよ」という距離感くらいがちょうどいいと思います。
そうはいえ、子どもはまだまだ視野が狭いところがあるものです。人間関係が複雑になっていく時期でもあるので、あれこれと心配が募るかもしれませんが、そこでとやかく言うのも煙たがられかねません。そこで、日ごろの会話の中でさりげなく、保護者のかたの考えかたなどを伝えておくのもいいでしょう。

例えば、テレビドラマを一緒に観ている時に、「お母さん(お父さん)はこの役のこういうところが好き」「この人はこういうところがあるね」なんて、さりげなくこちらの考えを伝えるのです。また、「この主人公は、このままだと5年後くらいにああなっちゃうんじゃないかな」なんて、時間の見通しや親の視野の広さを伝えたりするのもいいと思います。それが保護者のかたのメッセージとなり、子どもは徐々にいろいろな考えかたを身に着けたり、視野を広げたりしていくとともに、やはり「家族は安心なところ」「話ができる場所」になっていくはずです。

※コメントすると抽選でプレゼントが当たる「まなびの手帳 コメント投稿キャンペーン」は、2022年10月15日(土)23:59に終了しました。
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まとめ & 実践 TIPS

大人でも、話に共感してもらえると、うれしくなったり気持ちが落ち着いたりするもの。逆に話を聞く立場でも、ネガティブな反応をしてしまった時より、「そうだね」「いいね」と共感した時のほうが、会話がはずんだり気持ちが落ち着いたりしますよね。これを心理学で「ポジティブキャピタリゼーション」というのですが、前向きな会話はいい関係につながります。だからお子さまのどんな話にも「そうなんだ」とうなずき、共感する姿勢を大切にしてあげてください。
ちなみに、スマートフォンに充電が必要なように、人も、リラックスしてエネルギーが満たされた時にこそ力を出せます。そうして家族が安心して話せる“安全基地”であることは、じつはお子さまがまた外で前向きに挑戦していく大きな力の源になるのです。

プロフィール


渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学が専門で、子どもの社会性や感情の発達などについて研究し、対人関係のトラブルなどを予防する実践を学校で実施。著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か?—乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『感情の正体—発達心理学で気持ちをマネジメントする』(筑摩書房)、『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』(フォレスト出版)など多数。

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