親子の信頼関係を築くためのポイント4つ
4~5歳くらいのお子さまが、人間関係をうまく築いていけるかどうかの基礎となるもののひとつとして、親子間の信頼関係ができているかどうかということが重要になってきます。そうは言っても、ただ仲がいいということだけでは、信頼関係があるとは言い切れません。そこで、親子の良好な信頼関係を築くためのポイントを、いくつかご紹介しましょう。
信頼関係がないとどうなる?
親子間でしっかりとした信頼関係を築きたいとお考えの保護者は多いですよね。では、もしも信頼関係が築けていない場合、どうなるのでしょうか?
◆お子さまの悩みに気が付けない
日頃から保護者がお子さまを気にもかけず、表情をよく見たり、行動を見守ったりすることがなかったとしましょう。すると、異変に気が付くことができず、お子さまが悩んでいることを察知しづらくなります。そのような保護者の態度にお子さまは悩みを話すことができず、気づいた時には悪化していたという事態になりかねません。必ずしも、信頼関係を築くためにこと細かくお子さまにそのときの状況を尋ねる必要はありませんが、様子を把握しておくことは大切です。
◆お子さまが愛情不足に
保護者がいつも怒っている場合や、お子さまの発言に耳をかさずに保護者の気持ちを優先するなど信頼関係が築けていないと、お子さまが保護者に頼りたいときに甘えることができなくなってしまいます。
保護者に対し、「いつも話し合っている間柄ではないので、自分の気持ちなど分かるはずがない」と、お子さまは感じてしまうのです。保護者が一番の味方であるとお子さまが思っていれば、自分から頼ることができます。その安心感は、ほかの何ものにも代えがたいでしょう。保護者の愛情を感じられるかどうかは、お子さまが精神的な健康を保てるかどうかに影響します。
◆親子のコミュニケーションが希薄に
信頼関係の深さは、親子間のコミュニケーションにも関係します。お子さまが自分のことを保護者が理解しようとしてくれていると思えることが大切です。
しかし、保護者がいつも忙しそうにしており、顔もなかなか合わせない状況や会話できる時間を大切にしていないなど無関心な場合、コミュニケーションが希薄になってしまいます。このような家庭生活の中で、淋しい気持ちや孤独感を抱くことにより、特定の相手との関係性に過剰に依存する共依存という状況を招いてしまうことがあるかもしれません。
信頼関係を築くポイントは?
では、親子の信頼関係を築くためにできることを、ご紹介しましょう。
◆受け入れる
まず、ありのままのお子さまを受け止めることが大切です。些細な要求や話にもしっかり耳を傾け、応えてあげるように心がけましょう。
◆愛情を注ぐ
できる限り、保護者としてお子さまにしっかり愛情を注いであげましょう。ハグをするなどのスキンシップをしてもいいです。「かわいいね」「大好きよ」などの言葉で伝えても、かまいません。
元気がないときなどには、何か言おうとせずに、大好物のものを作って食べさせてあげるのもひとつの方法です。また、どんな些細なことでもいいので、褒めてあげましょう。気持ちが届けば、お子さまは喜んだ表情を保護者に見せるはずです。
◆共感する
お子さまの気持ちに寄り添ったり、共感したりすることも大切です。今どんな気持ちなのかな?と、お子さまの立場になったつもりで考えてみるのもいいでしょう。ものごとの結果よりも、「嬉しい」「悲しい」などのお子さまの感情を大事にすると、保護者に受け止めてもらえた安心感にお子さまは包まれます。
◆言葉で伝える
保護者の考えていることや行動する意味は、しっかり伝えなければお子さまは理解できません。「なんとなく分かるだろう」と思わずに、分かりやすい言葉で説明してあげるとよいでしょう。保護者の言動がお子さまの納得できるものならば、次第に保護者を信頼するようになります。
お子さまから何か質問されたら、「それはいい質問だね!」と褒めてあげ、親身になってその質問に答えてあげましょう。そうすることで、少しずつお互いに思っていることが話せる間柄になっていきます。
また、小さいときは自然と話をしてくれていたお子さまでも、思春期が近くなってくる小学校の高学年くらいから、会話をすることを嫌がることも出てくるかもしれません。そんな時は「いってらっしゃい。気をつけてね」と出かける前に一言声をかけるなど、気にかけている気持ちをさりげなく伝えるだけでも、お子さまは保護者の気持ちを感じとることができるでしょう。
さらに、時にはお子さまを一人の大人としてみることで、対等な気持ちで保護者の話をしてみることも大切です。「今日はお仕事でこんなことがあったんだけど、どう思う?」など、返事が返ってこないこともあるかもしれませんが、お子さまは親が見せた人間らしさに触れ、心を開くきっかけになるかもしれません。
こんな言葉はNG
反対に、お子さまに言ってはいけない言葉もあります。
◆信頼していない言葉
「あなたをこんな子に育てた覚えはない」「本当のことを言って」など、お子さまのことを信じていないということが伝わる言葉は言わないようにしましょう。ありのままのお子さまを受け止め、「今度はこうしてみようね」など、アドバイスすることやお子さまの言葉をそのまま信じてあげることが大切です。
◆皮肉な言葉
お子さまが失敗したり、うまくできなかったりしたとき、「だからダメなんだ」「ほらみなさいよ」など、意地悪に思える言葉をかけるのもよくありません。
「ここはよかったよ!」など褒めてあげられるポイントを探すと、お子さまの次への活力にもつながります。
◆否定する言葉
保護者の思い通りにならないことや保護者が期待した答えではないなどの場合でも、頭ごなしにお子さまのことを否定しないようにしましょう。お子さまは、保護者の思い通りにはいきません。お子さまらしい点や、素晴らしいと思える点をもっと伸ばせるように、できることをサポートしてあげることが重要です。
親子で一緒に楽しんで
お子さまが、学校生活や社会生活の中で安心感をもって楽しく過ごすために、しっかりした親子の信頼関係を築いておきたいものです。
信頼関係は短時間でつくれるものではありません。積み重ねがとても大切です。まずは良いことも悪いことも含め、さまざまな関わりの中で相手を認め、お互いに信頼できると思えるようになっていくことから始めてみてはいかがでしょうか。