親野先生に聞いた!子どもの「夏休みストレス」をどう解消する?〜感情コントロールのヒント〜
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暑くて長い夏休み。初めは休みが嬉しくてしかたなかった子も、自由な時間を持て余したり、課題が思うように進まなかったり、学校のある日常とペースの違う毎日に徐々に疲れを感じているかもしれません。なんだか気分がスッキリしない、ちょっとしたことでイライラしてしまう、そんなときにおすすめの発散方法を教育評論家の親野智可等先生にうかがいました。
イライラは「ぶつける」前にじょうずに「出す」
今年の夏休みは、遠出できず、イベントも控えるなど、おうちで過ごす時間が増えています。家の中はのんびりできる半面、気持ちを発散する機会が減って知らず知らずのうちにストレスがたまっていることも。無意識にためこんだモヤモヤやイライラが負担になって、夏休みを楽しめないとかわいそうですし、ふとしたきっかけで爆発してしまうかもしれません。じょうずに気持ちの発散ができるように工夫しましょう。
モヤモヤやイライラは、ため込まず、上手に「出す」ことが大切です。気持ちを表に出すことは、それ自体が悪いことではありません。感情に振り回され、それを人にぶつけるのが、いけないことなのです。たまった気持ちを純粋に表に「出す」方法を知っていれば、ためこんでキレたりすることなく、いずれは早めに察知して自分で対処できるようになっていきます。
子どもは自分の感情を意識したり、それをコントロールする経験が少なく、方法も知りません。親子でできる発散方法をいくつか紹介しますので、ぜひお子さんと試してみてください。
感情をコントロールする力につながる発散法
まず試してほしいのが「笑いヨガ」。楽しくなくても大きく口を開け、大声で「アッハッハッハッハ!」と笑います。最初は照れるかもしれませんが、思い切り声を出すと、本当に楽しくなってきます。大人が大きな声を出せば子どももつられて声を出しやすくなるので、ぜひ一度、照れを捨てて挑戦してみてください。「えーんえんえん」などの泣きヨガ、「もー!もー!もー!」といった怒りヨガ、とにかく大声を出すわめきヨガなど、応用して、気持ちが出しやすいものから試してみてもいいですね。
たまった気持ちを力に込めて出す方法もあります。例えば「もーいやだ!」と言いながら強く地団駄を踏むと、スッと気持ちが軽くなります。下の階の人などに迷惑にならないように時間や場所を選んで、ドン!ドン!ドン!と力を込めて踏みつけて。クッションを思い切り叩くのもいいですね。濃い鉛筆やクレヨンなどで画用紙を力いっぱい塗りつぶしたり、油ねんどに握力や体重をかけてぎゅーっと押し潰すといったアクションも、ストレス発散に。準備しておけば、子どもが自分に必要なときにすぐできます。
さらに、親子で言い合いになりそうな場面では、「犬語のケンカ」もおすすめです。言いたいことをそのまま言葉にするのではなく、「ワンワンワン! ウーワンワン!」と意味不明な犬語で吐き出します。相手を責める言葉をぶつけると、次第にエスカレートして言いすぎたり、止まらなくなったりすることがありますが、犬語ならお互い必要以上に傷つけることがありませんし、思わずクスッと笑ってしまうこともあります。言いたいことは落ち着いてから、気持ちを整理して穏やかな会話や手紙で伝えれば相手への配慮もできるでしょう。
大人にも効果あり! クールダウンの方法も見つけておく
表に出すだけでなく、湧き上がる感情を鎮める方法も見つけておくといいですね。大きな声やアクションをつけるのが難しいときにも役立ちます。
深い深呼吸がそのひとつ。大きく息を吸い込み、ゆっくり吐き出す。シンプルですが、呼吸することに意識を集中して深呼吸を続けていると次第に気持ちが落ち着いてきます。また、優しく体をなでてもらうと気持ちが楽になってきますが、自分で自分にふれることでも効果があります。腕や脚、顔などを、ゆっくりとソフトになでるのがポイントです。
毎日暑く、先も長い夏休み。おうちのかたにも、昼食の準備や提出課題への気苦労があり、ストレスがたまっているかもしれません。自分自身のイライラやモヤモヤにも目を向けて、感情を発散しましょう。おうちのかたが「あ、イライラしそう」と言って大きな声を出したり深呼吸したりする姿は、子どもにも「なるほど、あんなふうにすればいいのか」と気付かせます。
自分の感情を抑え込んだり無視したりするのではなく、上手に発散し、鎮める力は、思春期を乗り越えていくときにもたすけになります。親子で過ごす時間の長い夏休みを利用して、ぜひ試してくださいね。
まとめ & 実践 TIPS
自分のモヤモヤやイライラに気づき、自分に合った方法で発散できるようになるのは、自分の感情をコントロールする方法を獲得するということ。まずは「ネガティブな気持ちも出していいんだよ」というメッセージを伝えましょう。発散することに抵抗を感じる場合もあるので、面白い遊びを試すような感覚で誘ってみてください!
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