非認知能力を鍛える遊びを親子で楽しもう!環境づくりのコツもご紹介

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「非認知能力」という言葉をご存知ですか? 日本だけでなく世界でも注目されている言葉で、その名の通り、認知できない能力のことを指します。ただ、どのように鍛えたらよいのか、何に気をつけたらよいのか、わからないかたも多いでしょう。そこで今回は、非認知能力を鍛える遊びをたくさんご紹介します。難しいことはありません、ぜひ試してみてください。

この記事のポイント

非認知能力とは「感情や心の能力」のこと

認知能力と非認知能力の違い

テストの点数や順位、何かを完成させたという結果は「認知能力」と呼ばれるものです。これは数値化できるもので、非常にわかりやすい能力ですよね。

対する「非認知能力」は、数値化できない内面の能力。感情や心の能力といってもよいでしょう。たとえば「テストで100点を取った」という結果は認知能力ですが、そこまでに集中したり粘り強く取り組んだりしてきた過程は非認知能力といえます。

非認知能力は生きる力の土台になるもの

非認知能力にはさまざまなものがあります。具体的には「自己肯定感」「夢中力」「忍耐力」「想像力」「コミュニケーション能力」「協調性」などです。どれも数値で表すことのできない能力ですよね。

この非認知能力は、数値化できる認知能力を発揮するためにも必要なもの。つまり、生きるうえでの土台となるものです。幸せに、豊かに、自分の人生を生きていくために、非認知能力が必要になります。

ただし、非認知能力は100点を目指すものではありません。そもそも数値化できない能力であり、「こうなったら合格」というものではないのです。子どもたちの非認知能力を鍛えるためには、誰かと比べたり評価したりせず、今ある姿を認めていくことが大切。そうすることで、自然と育っていきます。

非認知能力を鍛えるための環境づくりのコツ

非認知能力を鍛えるためには、子どもが安心して自分の気持ちや考えを表現できるようにすることが大切です。そのための環境と、保護者の関わり方のコツをご紹介します。

安心感を与えてあげる

子どもが安心して成長していくためには安心感が必要です。「いつでもそばにいるよ」「何かあったら助けるからね」と、保護者のかたが常にお子さまの味方であるということを伝えていきましょう。「大好きだよ」と愛情を表現していくことも大切です。

このとき大事なのは、言葉と視線です。思っているだけでは伝わりませんから、どんどん言葉にしましょう。また、忙しい中ではありますが、なるべくスマホを置いてお子さまの顔を見てあげたいですね。

安全面に配慮する

思い切り好きなことをするには、安全面での配慮が必要です。ただしこれは、先回りして子どもの行動を制限するのとは違います。子どもが思い切り動いても大丈夫なように、場所や物の配置を考えてあげるということです。

難しいことではありません。おそらく、子育てにおいて多くのかたが自然に行っていることでしょう。刃物を子どもの手の届かないところに置く、道ではなく公園で遊ぶといったことです。あらかじめ安全に配慮してあげれば「それはダメ」と止めることも減ります。そうすれば、親子ともにストレスなく思い切り好きなことができるでしょう。

時間に余裕を持つ

好きなことを思い切りやらせてあげるには、時間が必要です。毎日決まったスケジュールで動くのではなく、子どもが夢中になっているときは時間を調整してあげられる柔軟さを持ちましょう。忙しい毎日ですから、余裕がないこともあると思います。その場合も、せめて日曜日だけは時間に縛られないようにするなど、どこかでゆったりとした時間を作っていきたいですね。

また、学習面を考える上でも、塾や習い事ばかりで遊びや余暇の時間がないことはおすすめしません。認知能力を高めるためには、非認知能力が必要だからです。スケジュールを詰め込み過ぎず、自由な時間も確保できるようにしていきましょう。

子どもが自主的に選べる環境をつくる

子どもが自分で考えて選ぶという機会も大切です。たとえば遊び。「このおもちゃで遊ぼう」「こっちが面白いよ」と大人が決めて与えてしまうと、自分で考えたり想像したりする力が育ちにくくなります。遊びは子どもが主役です。できるだけ子どもの「やりたい」を優先してあげてください。

また、服や夕飯の献立などを子どもに決めさせるという方法もよいでしょう。さまざまな場面で、子どもに選択してもらう機会を作ってあげてください。大事なのは、子どもが決めたものは否定せず受け入れてあげるということです。もし困るときは、「ママはこっちが好きだな」というI(アイ)メッセージで意見を伝えるようにしましょう。

否定的な言葉を減らす

「ダメ」「そうじゃない」「やめて」といった否定的な言葉は、なるべく減らしましょう。否定的な言葉が増えると、自己肯定感が下がったり、自信がなくなったりします。言っている保護者のかたも、あまり良い気持ちではないはずです。

注意するときや困ったことがあるときは、肯定文に変えてみましょう。「ダメ→こっちの方がいい」「やめて→こっちをやってほしい」といった感じです。同じ内容でも肯定文に変えるだけで、気持ちに変化が出てきます。

お手伝いをたくさんお願いする

お手伝いをすると、貢献感や自信、協調性などが高まります。小さなことでよいですから、お子さまにたくさんお手伝いをお願いしてみましょう。食器を並べてもらう、料理のレシピを読んでもらう、洗濯物をたたんでもらう、ティッシュを取ってもらうなど、何でもOKです。

お手伝いをしてもらったら、必ず「ありがとう」と言いましょう。お手伝いの結果に対してではなく、やってくれたこと自体にお礼を言うのがポイントです。その積み重ねが、非認知能力を高めてくれます。

大事なのは一緒に楽しむこと!非認知能力を鍛える遊び6選

非認知能力は、遊びの中でも鍛えられます。特別な道具を用意する必要はありません。昔からある、保護者のかたもよく知っている遊びばかりです。

ごっこ遊び

おままごとやヒーローごっこなどのごっこ遊びは、非認知能力を鍛えるのに特におすすめの遊びです。想像力、コミュニケーション能力、社会性など、さまざまな能力が育ちます。ごっこ遊びに特別な道具は必要ありません。積み木や紙、段ボール箱など、身近にあるものを使えばOK。何かに見立てて遊ぶことで、想像力が育ちます。

電話をする真似やご飯を食べる真似だけでも、立派なごっこ遊びです。保護者のかたは、無理に何かをさせようとしたり、誘導したりしなくて大丈夫。お子さまの要望に応えながら、言葉や身振りをたくさん加えて一緒に遊びを楽しみましょう。

積み木遊び

積み木は、創造力・想像力だけでなく、忍耐力や集中力、夢中力などが身に付く遊びです。かわいいデザインのものやカラフルなものもありますが、おすすめなのは色がないシンプルな積み木。想像すればどんなものにも見立てられ、遊びが広がります。年齢を選ばず長く遊べる点もメリットです。

また、誰かと一緒に遊ぶことでコミュニケーション能力や協調性も育ちます。親子で協力して1つのものを作り上げるのもよいですね。1人で集中して遊んでいるときは見守り、一緒に遊ぶときは保護者のかたも思い切り楽しみましょう。

公園遊び(遊具を使った遊び)

公園の遊具にはそれぞれに特性があり、さまざまな力が身に付きます。たとえば、すべり台ではスピードを調整するための自制力が、鉄棒で逆上がりをするためには忍耐力が必要。新しい遊具にチャレンジすることで、自信や自己肯定感も育っていくはずです。友達と交代しながら遊べば、社会性も身に付いていくでしょう。

また、安全面に配慮しながら、失敗したり悩んだりする経験もさせてあげましょう。そうすることで、「ここはこうした方がうまくいく」「ここは気を付けて登ろう」と学び、次に活かせるようになります。

自然遊び(水や草花、砂や泥を使った遊び)

常に変化する自然は、おもちゃにはない刺激があります。視覚、聴覚、触覚といった五感を使って、体もたくさん動かして遊びましょう。自然界には、足りないものがたくさんあります。それを補うためには、想像力や創造力が必要。不便だからこそ生まれる発想もあるでしょう。

特別なところに出かける必要はありません。道端の草花、砂場、水遊び、虫の観察など、家の周りや公園でも自然に触れ合うことはできます。散歩をしながら、風を感じたり空を見上げたりするだけでもOKです。遊ぶときは着替えを用意したりして、思い切り遊べるようにしてあげましょう。

絵本の読み聞かせ

絵本は想像力を広げてくれるものです。テレビや動画と違って静止画である絵本は、その間の動きを自分で補って想像する必要があります。どんな想像をするかは、人それぞれ違ってOK。子どもならではの発想を、ぜひ受け止めてあげてください。

また、絵本は現実にはない体験ができるアイテムでもあります。好奇心を刺激し、新しい興味につながる可能性もあるでしょう。言葉やひらがなの習得といった認知能力を意欲的に身に付けていくきっかけにもなります。乳幼児期だけでなく、小学生になっても続けていきたいですね。

「鬼」がいる遊び

集団遊びは、社会性や協調性、コミュニケーション能力が鍛えられます。幼児教育においても大事にされており、保育園や幼稚園でたくさん経験できる遊びです。その中でもおすすめなのは、昔からある「鬼」という役割が登場する遊び。

「おにごっこ」は、逃げたり追いかけたりするための忍耐力、相手の動きを予想する想像力が必要。「だるまさんがころんだ」は、動きを止めるための自制力が必要になります。負けた悔しさを受け止め、次はがんばろうと前を向くために、気持ちをコントロールする力も育っていくはずです。

無理強いはしないで!子どものやりたい気持ちを大切に

非認知能力を鍛える遊びは楽しいものばかり。ただその中にも、好き嫌いや得意苦手があります。ですから、子どもが嫌がる遊びは強要しないようにしましょう。提案することはOKですが、やるかやらないかは子どもに決めさせてあげてください。

「遊び」ですから、楽しいことが大前提です。苦痛であったら意味がありません。遊びは、子どもがやりたいことや興味のあることを優先しましょう。同じことばかりでも、夢中になって遊べば非認知能力は鍛えられていきます。

「鍛えるために遊ぶ」のではなく、「楽しく遊んだ結果鍛えられるもの」と考えると良いかもしれませんね。

まとめ & 実践 TIPS

非認知能力は、子どもが自分らしくのびのびと成長していくためのもの。そのためには、子どもとしっかり向き合い、愛情を伝え、「そのままのあなたでいいんだよ」と認めてあげることが大切です。遊びでも生活でもその気持ちを忘れずにいれば、子どもの非認知能力は自然と育っていくでしょう。

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