「保健室登校」は、不登校よりもつらい?! 自宅にも教室にもいられない時の「居場所」とは[不登校との付き合い方(14)]

教室には入ることができず、保健室に通う「保健室登校」。保護者としては、たとえ保健室だったとしても学校に通ってさえくれたら、と思うかもしれませんが、実際に子どもにとって、保健室登校とはどういう状態なのでしょうか。不登校新聞編集長の石井志昂さんに伺いました。

この記事のポイント

「保健室登校」は、家にも学校にも居場所がなく、不登校よりもつらい状況

保健室登校は、学校に関する調査などでは「別室登校」とも呼ばれます。子どものうちの4%程度いるといわれ、現在中学生が約321万人なので約13万人、不登校と同じくらいの数が保健室登校しているといわれています。

保健室でも学校に行っていればいいのではと思う人もいるかもしれませんが、たくさん取材してきた中でいえば、これはつらいケースが多いです。

ほんとうは自宅で休みたいのに、家からも「学校へ行ってこい、怠けるな」と言われ、教室にも居場所がない。だから保健室に来るわけです。苦しい例では、保健室にいても、休み時間になるといじめる人が笑いに来たりします。中に入ってはこないまでも、保健室の壁をバンバンたたいて威嚇してくることもあるそうです。いじめを受けている側としてはつらい状況で、生きた心地がしないと言います。

実は保健室にもずっといられるわけではなく、20分以内というルールがある場合も。だけど家にも帰れず廊下にいる、といったこともあります。自宅のホームと、教室のホームルーム、両方を奪われた「ホームレス」ともいえる状態なのです。

保健室が居場所になるケースもある

一方で、保健室が居場所になった、というケースもあります。そういう場合、保健室の先生との相性がよかったということが多いです。保健室に3年間通い続けたある人は、保健室の先生の様子をずっと観察していたと言います。保健室にケガしてやってきて、いつまでも泣いている生徒に「いつまでも泣いているんじゃない」と叱ったり、ケンカして保健室に来た生徒たちにそのままずっとケンカさせておいたり。生徒だけでなく先生も、人間関係のことで相談しにきたりする、そんな様子を見ているのは面白かった、と話しています。

実は不登校の子をずっと保健室に置いておくのは、制度上むずかしいことだと、あとからわかり、自分のことをがんばって助けてくれていたんだな、と卒業してからわかった、という話も聞きました。

ほかにも、とてもいい先生でなんでも相談に乗ってくれたという経験があって、保健室の先生になったという人もいます。

大事なのは「居場所」で、それが救いになります。子どもの居場所は人によって作られます。その子を受け入れる環境と気持ちがあれば、保健室であれ家庭であれ、居場所にはなります。

保健室登校も出席扱いにできる、けれどそれがベストではない

ところで、保健室登校は出席扱いになるのかどうか、気になるところだと思います。これは校長先生の方針によるので学校によって違いますが、ほとんどは出席扱いになります。

今、出欠席については考え方が幅広くなっていて、スクールカウンセラーに会いにいくだけで出席になる場合もあるし、とにかく学校に行って校門にタッチするだけでもいい場合もあります。

また、もしICT学習ができる環境であれば、そことの連携を深めて出席扱いにすることもできます。(※文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」、「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指 導要録上の出欠の取扱いについて」参照)

ただ、出席日数によって進学できなくなったり、高校受験の資格に影響したりといった問題は、残念なことにまだまだあります。単純に出席日数で決めるべきことではないと、私は思います。学校に行きたくない、というのは、「私は学校で学びたくない」という気持ちのあらわれ。学校の安全配慮がなされていなくて、その生徒はいじめを受けているという場合もありますから。それだけで欠席とするのは問題だと思います。

新型コロナをきっかけに、「学校に通う」ということの考え方も変わってほしいと思いますが、従来通りという考え方は根強く、「出席神話」はなかなか覆されません。それでも、どこで勉強していても、「出席」となるような仕組みを期待しています。

まとめ & 実践 TIPS

教室には入れないけれど、保健室登校ならできるというのは、実は家にも教室にも居場所がない、子どもにとってはとてもつらい状況です。ただ、保健室という場所があって、受け入れてくれる先生がいて救われた、という子どももいます。今、保健室でも学校へ行けばいいという考え方ではなく、どうやって子どもが安心して安全に学べるかを考えていくことへとシフトする時代を迎えています。

資料
「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm

義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて
https://www.mext.go.jp/content/1422155_001.pdf

プロフィール

石井志昂

石井志昂

『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、400名以上の取材を行っている。

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