『映画 えんとつ町のプペル』大ヒット中 キンコン西野さんに聞く「これからの子どもに必要な力とは?」

『映画 えんとつ町のプペル』が大ヒット上映中。原作・製作総指揮・脚本を手がけるお笑いコンビ「キングコング」西野亮廣さんは出す書籍が全てベストセラー、挑戦を続ける姿に支持が広がっています。そんな西野さんに、今子どもたちに必要な生き抜く力とは?を聞きました。

この記事のポイント

絵本としてスタートした『えんとつ町のプぺル』がついに映画化。物語には迷いながらも成長する少年ルビッチの姿、信じて見守る大人たちの姿が描かれ、子どもも大人も泣ける作品と大評判。原作者であり、製作総指揮・脚本も手がける西野亮廣氏は、クリエイターであり、クラウドファンディングなど新しい手法を活用するマーケターとしても常に注目を集めています。そんな西野氏に、前半ではこれからの子どもたちに必要な力とは? 後半では、そんな力を持つ子どもに育てるために親が必要なことについてお聞きしました。

コミュ力が絶対に必要

──早速ですが、先の読めないこれからの世の中で、大人になっていく子どもたちにはどんな力が必要だと思いますか?

西野 コミュニケーション力ですね。コミュニケーション能力が絶対に必要です。

──なぜでしょう?

西野 技術で差別化を図れていた時代はもう終わったからですね。みんな技術高いし、みんな歌うまいし、みんな料理もうまいしってなってきたら、選ばれる理由って「技術」じゃなくて「人」になっていくので。「あの人に仕事をお願いしたい」っていうのが一番の理由になるんです。さらに言うと、ちょっと皮肉なんですけど、出番が多い人が技術も上がっていくんです。技術で差別化が図れないとはいえ、技術の差は絶対出てくる。

そうなると、コミュ力が低い人、無愛想な人はつらくなってくるんです。だからコミュ力の重要性は安く見積もらない方がいいです。

──なるほど。コミュ力により実地を増やすと、技術力も上がる。

西野 おしゃべり上手になる必要はなくて、ただよく笑えばいいんです。そうするとその人に話しかけたいと思う人が増えるので、打席に立つ回数が増えて技術力が上がって、最終的におしゃべりも上手くなります。

勝てるところに連れて行ってあげる

──人と交わることで、知識も身に付いたりしそうですね。

西野 そうですね。いろんなとこに行ってゲラゲラ笑ってるやつは沢山話しかけられてるから、「なんでそんな詳しいの?」っていうくらい知識を持ってることが多いです。一方で、コミュ力が低い人は知識が増えないですね。自分の脳みそに情報を入れる時に自分一人分の労力しか使えないので、知識が増えづらい。コミュ力次第で、知識もむちゃくちゃ差が開きますね。

──技術を高めてから出て行くんじゃなくて、とりあえず人に会ったり話して笑ったりしたほうがいいということ?

西野 絶対そうです。あと、明るいやつは失敗しても許されるので。悲壮感出ちゃうと、失敗した時にもう全然許されなくなっちゃうから。色々挑戦しやすくなるので、「失敗しても許されるやつになっておく」というのは大事ですね。

──コミュニケーションが元々得意な子もいれば、苦手な子もいます。繊細でなかなか自分の殻を破れない場合はどうしたらいいでしょう。

西野 うーん、それって自分目線でしかなくて、目の前の人の事はどうだっていいっていう発想ですよね。考え方としては優しくないなって思います。だって「私、人見知りだから」って公表しちゃうと、目の前の相手が頑張らなきゃいけなくなるじゃないですか。コミュニケーションはやっぱり共同作業で、相手のことを考えたら、明るく振る舞ってあげたほうが相手も喋りやすくなるし優しいですよね。相手だって盛り上がらないリスクがある中、勇気を振り絞って喋ってくれているわけなので。

基本的に他者目線でものを考えたら、そういう結論に至らないはず。そこの優しさって、むちゃくちゃ大事だと思います。「他者目線を持つ」って、社会に出たら絶対必要じゃないですか。サービスって「お客さんは何をしたら喜んでくれるんだろう?」ということなので。

──親はどんな風に接したら、子どもの力を伸ばしてあげられるでしょうか?

西野 自分の常識を押し付けちゃうと、子どもは自分以下になっちゃうじゃないですか。それはやっちゃダメだなって思います。勝ち癖というか、「勝てるところに連れて行ってあげる」っていうのが一番大事かもしれないですね。僕もインターン生を教育する時、そいつが勝てそうなとこに配置します。苦手なことを我慢してやらせると萎縮しちゃうので、結果を出せそうなところにどんどん連れて行く。

「我慢を強いる」「忍耐だ」みたいなのは、良くないかもしれないですね。やっぱり「調子に乗る」って大事じゃないですか。調子に乗って気持ちよくなってどんどん勉強する、みたいなのが良いですよね。例えばその子がすっごい習字が嫌いなのにもかかわらず習字教室に通わせ続けるより、何にハマるかわからないから色々やらせてみて、めちゃくちゃハマるものがあったら、それを全力で後押しするとか。

その時に必要なのは親の勉強ですね。親が勉強してないとその選択肢がないので。

「知らないものを否定する」はやめよう

──「勉強」って、生きていくための知識を付けるということですか?

西野 大体、みんな勉強しないじゃないですか。大学を卒業したら基本的に勉強しない。それで、10年前とかの常識で子育てをしてしまう。

「勉強しない親」の子どもと「勉強してる親」の子どもって知識の量と選択肢の量が明らかにちがうので、わかりやすいですね。例えば、今クラウドファンディングを知らない親とか結構やばいと思います。そこは最低限知っておかないと。だから勉強しなきゃいけないのは親の方ですね。

新しいツールが世の中に出てきていても、親がそれを知らなかったら子供に渡せないじゃないですか。それは結構罪深いなあとは思いますね。やっぱり、子どもは守ってあげなきゃいけないので。

──「守る」ために、武器を与えるということでしょうか。

西野 そうですね。それこそコロナなんかは、わかりやすかったんですけど、「わが子が店をやっていて、コロナで営業にちょっと制限がかかってしまいました。でもこの店を守らなきゃいけない」ってなった時、わが子の選択肢の中にクラウドファンディングがあれば乗りきれたのに、親が「そんなもの良くない!」って否定してたら、その店は潰れるわけじゃないですか。つまり、親の知識不足と勉強不足が、子どもの未来を潰してしまう。それはやっちゃダメなので、親はやっぱり一生勉強し続けなきゃいけない。何歳になっても。今どんなものがあるのかっていうことは、ずっと勉強し続けないといけないですよね。

──『映画 えんとつ町のプペル』にも、これまでの常識を疑い、「上を見る」「信じる勇気」を教えてくれる親が描かれていますね。『えんとつ町のプペル』を通して、子どもたちに伝えたいことはなんですか?

西野 映画の重要なシーンで「あの黒い煙の向こう側を誰か見たのか。誰も見てないだろ、だったらまだわかんないじゃないか」っていうセリフがあるんですが、これは子どもたちに限らず日本中がそうだなって思います。みんな、知らないものを否定しすぎだと思うんです。それをしちゃうと、ほんとにもう自分たちがどんどんどんどん貧しくなっていって、自分たちがどんどん苦しめられちゃうので、そこには強い危機感があります。

すごいスピードで時代のルールが変わっていくので、今まで信じてたものが急に要らなくなったり、今まで知らなかったものが急に重要になったりする。もしかしたら昔は、知らないものを否定してても生きていけたかもしれませんが、今はそれをやってしまうと本当に食べていけなくなるので。「知らないものを否定する」というのは、やめたほうがいいですね。

インタビュー後半は、1月29日(金)配信予定です

『映画 えんとつ町のプペル』

「1.空を見上げてはいけない」「2.夢を信じてはいけない」「3.真実を知ってはいけない」
この3つのルールを持つ「えんとつ町」が舞台。星がない町で星の存在を信じる少年ルビッチと、ゴミから生まれたゴミ人間プペルの冒険のお話が、映画になりました。原作は世界を魅了した絵本『えんとつ町のプペル』。原作者であるキングコング西野亮廣が自ら製作総指揮・脚本を担当。アニメーション制作は『海獣の子供』『鉄コン筋クリート』制作のSTUDIO4℃、窪田正孝(プペル)、芦田愛奈(ルビッチ)ほか豪華キャストも集結。そこには主人公を信じて見守る親の姿も。「信じぬくことはできる?」「笑われても見上げることはできる?」もう一歩踏み出したい、すべての人へ贈る物語です。

公式サイト https://poupelle.com/

西野亮廣/にしの あきひろ

1980年兵庫県生まれ。芸人・絵本作家。お笑いコンビ「キングコング」として活躍するも、「活動の軸足をテレビから抜く」と決意。独学で絵を学び、2009年に絵本作家「にしのあきひろ」として『Dr.インクの星空キネマ』を発表した。
絵本『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』『えんとつ町のプペル』のほか、小説『グッド・コマーシャル』、ビジネス書『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新・魔法のコンパス』など著書、ベストセラー多数。
累計65万部の大ヒット絵本『えんとつ町のプペル』を原作とする『映画 えんとつ町のプペル』では脚本・制作総指揮を自ら務める。クラウドファンディングでの合計調達額は4億円を突破。オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」は会員数7万人を超え、国内最大。株式会社NISHINOのCCO(Chief Creative Officer)のほか、芸能活動の枠を越えてさまざまなビジネス、表現活動を展開中。

撮影/奥本昭久 執筆/樋口かおる

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