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子どもの病気・トラブル

2023/12/21

【医師監修】刺し身やイクラなどの生魚・海鮮は何歳から食べられる?

刺し身などの生魚は何歳から食べられる?

「離乳食は完了したものの、生魚はいつから食べさせてもいい?」とお悩みのかたもいらっしゃるのではないでしょうか。家族でお刺し身やおすしを楽しみたいと思いつつも、消化機能が未発達の小さな子どもは食中毒のリスクも高いのではないかと心配にもなるでしょう。

生魚を食べるのに適切な年齢や食べさせ方、魚の種類ごとの注意点について、東京医科大学教授で小児科がご専門の山中岳先生監修のもと解説します。

監修者


子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患のお子さまの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。

生魚を食べ始めていい適切な年齢とは

生魚を食べ始めるのに医学的に推奨された年齢はありませんが、消化機能が上がってくる3歳以降が目安になるでしょう。
1歳半ごろに離乳食が完了すると「これで大人と同じものが食べられる」とひと安心してしまうこともあるかもしれませんが、生魚は寄生虫や細菌感染による食中毒のリスクもあるため注意が必要です。
年齢を目安に食べさせるというよりは、次のような観点からお子さまの消化機能の発達状況を見て食べ始めの判断をするのがよいでしょう。
生魚を食べ始める際のチェックポイント
なお、内閣府食品安全委員会が紹介しているフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)による「水産物を食べることについて勧告及び提言」では次のように示されています(※1)
妊婦及び3歳未満の子供並びに高齢者や免疫が低下している者については、生魚や加熱不十分な魚及びくん製は食べないこと。生や加熱不十分な貝類は食べないこと。加熱調理済みのむき身で販売されている甲殻類は食べないこと(甲殻類は消費者自らが加熱調理すること)。
消化器官が大人同様に発達するのは、12歳ごろと言われています。生魚は無理に早くから食べさせる必要はありませんが、日本では普段でもお祝いごとの際でもお刺し身やおすしを食べることが多いもの。大事をとりすぎて、食事を楽しめないという事態も避けてあげたいですね。お子さまの消化機能の発達状況や体調をよく見て、食べさせ始める時期を検討してみてください。

生魚を食べ始める時の注意点と食べさせ方

生魚を食べさせる場合、特に注意すべきなのは食中毒(細菌やノロウイルス、アニサキスなどの寄生虫によるもの)を防ぐための衛生面とアレルギーです。次の点に注意していきましょう。
調理上の注意点
● 食材を扱う際は、手洗いをしっかり行う
● 新鮮なものを与える
● 購入した場合は、すぐに冷蔵保存する
● 清潔な調理器具や食器を使う
● 常温で放置しておかない
● 冷凍した刺し身を食べる
生魚は痛みやすいものです。調理には細心の注意を払いましょう。細菌の繁殖などを防ぐために、清潔に扱うことが基本。お店でいただく場合も、衛生管理がしっかりした信頼できるお店を選ぶようにしてください。
アニサキスは、青魚以外もサケ、イカなどに寄生します。新鮮な魚を選ぶことはもちろんですが、冷凍(-20℃で24時間以上)された刺し身を解凍して食べることも対策になります。
食べさせ方
● 体調のよい元気な時に食べさせる
疲れている時や、体調のすぐれない時は免疫力が低下しているため、食中毒などのリスクも高まってしまいます。
● 新鮮なものを少しずつ食べさせる
離乳食の時と同様「少し食べさせて様子を見る」というのが基本です。仮にアレルギーがあった場合も、少量であれば大事に至るリスクを減らせます。また、一度にたくさん食べると消化不良を起こして下痢や嘔吐(おうと)を引き起こすことも。まずは1種類ずつ食べ進めていくようにしましょう。
● 食べやすいサイズにカットする
イカやタコなど大人でもかみ切りづらいものです。うまくかめずにのどに詰まってしまうことなどを避けるためにも、お子さまが食べやすいサイズにカットしてあげましょう。
● 万が一に備え、日中病院の開いている時間に食べさせる
初めて食べる生魚でアレルギーを起こしたり、体調不良を引き起こしたりすることもあるかもしれません。万が一の場合に、すぐに医療機関にかかれるよう、初めて食べさせる場合は、平日の午前中にするとよいでしょう。
生魚を食べ進める順番
● 白身魚から始め、マグロなどの赤身、サバなどの青魚へと進めていく。
青魚はじんましんなどを起こす可能性も高いため特に注意が必要です。小学校入学以降にしたほうが安心でしょう。 ● 食中毒を起こしやすい生の貝類は、避けておいたほうがベター。

マグロ、サーモンなどの生魚の種類別の注意点

生魚の種類別の注意点は次のとおりです。基本的には、食べさせ始めるのは3歳以降がよいと思われますが、魚によって適齢期が異なる場合も解説します。
マグロ
● トロなどは脂質が多いため、消化器官に負担がかかるため要注意。赤身を食べさせるようにする
サーモン
● 脂が多いため、食べすぎないように注意
● 生のサーモンでなく、スモークサーモンなどを与える場合は塩分が多いため注意。少量にとどめておく
イクラ
● しょうゆ漬けや塩漬けなど塩分が多いものが多いため注意。しょうゆなどはつけないほうがよい
タコ・イカ
● 身が硬く、かみづらいため、ある程度硬い食べ物を食べられるようになってから食べさせる
● 食べやすい大きさにカットする。かみ切れずにのどに詰まらせたり、かまずに飲み込んでしまうことを防ぐ
● 食べづらい場合は、筋を切るのもよい
えびやカニなどの甲殻類
● 甲殻類は特にアレルギーの可能性があるため要注意。特に注意して、少量ずつ与える
貝類
● 生の貝類は、カキなどに代表されるように特にノロウイルスなどの食中毒の原因となりやすい。子どものうちに無理に食べさせる必要はない

まとめ

お刺し身など生魚が食べられるようになると、食生活がとても豊かになります。とはいえ、消化機能が十分に発達しきっていない子どもには注意も必要。「何歳からなら大丈夫」とひとくくりで言えるものではないため、お子さまの発達具合や体質、食事の様子などを見て少しずつ生魚デビューをしていけるといいですね。必ず食べさせなければいけないものでもないため、お子さまが嫌がる場合は無理に食べさせる必要はありません。楽しく、食べられるものの幅を広げていきましょう。
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