親の自己肯定感が子育てに影響する?! 自己肯定感が高い幸せなお母さんになるには?
- 育児・子育て
保護者が願うのは、子どもの幸せです。では、子どもが幸せでいるために、まずすべきことは何でしょうか。しっかりしたしつけ? 学力を伸ばす学習環境をととのえること? 健康な体づくりのための栄養管理? どれもきっと正解ですが、その前にとても大事なことがあります。それはお母さん自身が幸せで自己肯定感を高めていくことです。ニューヨークライフバランス研究所代表、松村亜里さんの書籍『お母さんの自己肯定感を高める本』より一部要約し、解説します。
自己肯定感は、絶対値の自分観。人と比べることでは生まれない
自己肯定感とは、その字のごとく自分を肯定すること。ただ、この言葉の理解には、少し注意が必要そうです。自己肯定感には2タイプあります。
【タイプ1】条件付きの自己肯定感
ひとつは条件付きの「I am very good」という感覚です。誰かの判断によって自分をよし(good)と認める感覚で、認めてくれる人がいなくなれば、「自己否定感」に転じてしまう、不安定な自己肯定感です。
【タイプ2】条件なしの自己肯定感
もうひとつが、条件なしに「I am good enough(私はこれで十分)」と思う感覚。他と比較した相対的なものではなく、絶対値として無条件に愛されている感覚、これが本物の自己肯定感といえます。
この条件なしの自己肯定感をもつということは、自分自身が幸せであることを意味します。本物の自己肯定感とは、無条件に愛されている感覚。誰に愛されるか、といえばほかでもない自分です。自分が大好きな自分でいる、自分はこれでいいと思えることが自己肯定感であり、それは何よりも幸せなことです。
幸せは伝染する! だから自分が幸せになれば、子どもも幸せになる
もうひとつ、大事なことがあります。「幸せ」は伝染していくということ。下記に示されたグラフはある研究によるもので、自分が幸せになると、その隣に住んでいる人も幸せ感は3割増しになるというデータです。さらに、家族だったら? 親子だったら? それこそ何倍もの幸せが生まれるはずです。自分自身が幸せでいることは、お母さん自身がいつも願っている「子どもの幸せ」にも直結しているということなのです。
「お母さんの自己肯定感を高める本」WAVE出版より
自己犠牲は、自分の気持ちをすさんだものにする
著者であるニューヨークライフバランス研究所の松村亜里さんもかつては幸せを感じることなく心がすさんでいた時期があるといいます。
それは、夫が学業のために海外赴任することになり、それまでの自分の仕事を辞めたときのこと。「夫のしたいことを支えることが大切だ!」と感じたからこそ専業主婦になった松村さんですが、自分たちの生活のみならず、夫の学費も子どもの教育費もかかり、経済的にも負担は大きかったそう。
「ゆっくり休めるベッドも購入できず、子どもたちとギューギューになって寝る日々だった。」という状況の中で心がすさんでいった松村さんは、「自分を犠牲にしたくない」という気持ちに気づきました。夫や家族の幸せよりも、自分の幸せの優先順位をうんと低く設定し、そのために心がどんどんすさんでいった結果、いつもイライラしているお母さんになってしまい、家族の笑顔も減ってしまったのだそうです。
自分さえがまんすればいい、と自分を犠牲にしていたと同時に、「自分が幸せになっていいと思っていない自分」にも気づいたそうです。
自分は幸せになっていいんだ!と思うことから始まる
ほんとうは、誰だって「幸せでいたい、幸せになりたい」と思っているはず。なのに、「お母さん」たちは、どうしても自分の幸せを後回しにしてしまいがち。子どもの幸せをまず願い、それが自分の幸せであるべきだと、思いこんでしまうのでしょう。
■何かに没頭している状態をつくりだそう
では、自分の幸せを実感するには、どんなことをしたらいいのでしょうか。
時間を忘れて何かに没頭している状態を、心理学用語で「フロー」と呼びますが、このフローが起こっているとき、人は幸せを感じます。没頭する対象は、スポーツや趣味でもいいし、掃除や片づけでもフローは起こります。
ところが、このフローを起こすようなことに、お母さんたちは罪悪感を持っていることがある、と松村さんは言います。掃除が終わったら、食器洗いが終わったら、子どもや夫の世話を済ませたら、やっと自分がやりたいことをやってもいい。でも、先に好きなことをやってはいけないような気がする、そんな風に無意識に自分を縛っているのかもしれません。
そこに気づいて、自分がしたいことを先にやってみると、エネルギーがぐんと高まって、なりたい自分でいられるようになる、というのが、ポジティブ心理学の考え方。朝、早起きして好きなことを思いっきりやって満足しきってから、家族のための家事を始めるというように、自分自身の幸せを優先することで、子どもも夫も幸せになるのです。
■自分の夢中を再発見するワークをしてみよう
幸せは、どこか遠くにあるのではなくて、今自分の心の中にちゃんとあるはずです。そういったものを認識するためにも自分が夢中になってきたものを洗い出してみるのがおすすめです。
「お母さんの自己肯定感を高める本」WAVE出版より
セルフ・コンパッションで、自分の気持ちに気づいて幸せになる
まず自分が幸せでいてもいい、と自分の気持ちに気づくプロセスとして、セルフ・コンパッションがあります。セルフ・コンパッションとは自分への思いやりです。
- 1 自分の中のどんな感情も認める
- 2 自分はひとりじゃない、人とつながっている、と感じる
- 3 自分への優しさを行動で示す
というプロセスで行います。具体的には、「自分が誰かに掛けてほしい言葉」を書き出してみます。子ども、夫、周りの人から、自分はどんな言葉を掛けてほしいのか、を考えてみると、「自分はこうなりたかったんだ」と思ったり、「自分はこのままでいいんだな」ということも発見できるというわけです。
幸せだと感じる方法は、人によって違うかもしれません。でも、それを「自分が好きなことをしていていいんだ」と、自分に許可を出さなかったら、幸せにはならないのです。自分が今していることを「このままでいい」と思うことが自己肯定感。幸せを実感する時間を増やせば増やすほど、きっと自己肯定感も高まるのです。
まとめ & 実践 TIPS
最後に、著者の松村亜里さんからのメッセージをお届けします。
「今、子育てをがんばっているお母さんたちへの応援メッセージとして、一番お伝えしたいのは、子どもの幸せを願うなら、まずはママが幸せになること、笑顔になることが大切だということです。私自身も子どもが小さい頃、2年くらいワンオペで、自分を犠牲にして、子どもたちのためだけに頑張っていました。そんなときは、いつもいらいらして、子どもたちにきつくあたってしまうことが止められませんでした。でも、自分を満たすことが大切と知り、シフトすると、子どもたちに優しくなれるようになりました。子どもたちはママが大好きで、ママが笑っていてくれるのが一番嬉しい。ママは幸せだと余裕ができて、『こういう関わりがしたいのにできない』ということが減って、子どもたちがのびのびと育っていきます。
幸せなママが増え、幸せな子どもが増え、幸せな人が増えますように願っています。」
ニューヨークライフバランス研究所 松村亜里
https://lifebalanceny.org/
今回は「お母さんの自己肯定感を高める本」から一部ご紹介しました。本書ではお母さんが幸せになる14の行動習慣も紹介されています。気になる方はぜひ読んでみてください。
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