幼児の家庭で自粛期間に実感したのは「人とのつながりの大切さ」と「子どもの成長」-ベネッセ調査結果より-

新型コロナウイルス感染症の蔓延防止により、ご自宅で親子で過ごす時間が増えたかたも多かった5月。家族以外の人と直接会う機会が少なくなったことは、幼児のいるご家庭にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所で実施した調査から見えたのは、コロナ禍で改めて浮かび上がった、子育てを通した人とのつながりの大切さと、自粛期間中に見えたお子さまの変化でした。

ベネッセ教育総合研究所は、新型コロナウイルス感染症の流行とそれに伴う幼児のいるご家庭の生活環境の変化などについて、2020 年 5 月 22 日から24 日に調査(※)を実施。
調査のポイントについて、ベネッセ教育総合研究所研究員がお話しします。

※ 調査時期は、全国で緊急事態宣言が解除された 5 月 25 日の直前にあたります。1 歳から6 歳の就学前の幼児をもつ母親 1,030 名の調査結果。

この記事のポイント

コロナ前より「人とのつながりを大切にしたい」保護者のかたが8割以上に

新型コロナウイルス感染症の流行を経験することで、保護者のかたの気持ちにどのような変化があったのでしょうか。調査結果の一部をご紹介します。

まず、コロナ前からの変化についてたずねたところ、「人とのつながりを大切にしたい」と思うようになった人が8割以上(「とてもそうである」37.7%、「まあそうである」45.0%の合計)にのぼるという結果になりました。

外出自粛によって家庭外とのつながりが断たれた生活。お子さまが園に通えない、親子ともに地域の人との関わりを失うなど、不安や孤立が生じやすかった状況の中で、人との支え合いやつながりの大切さを見直した保護者のかたが少なくないようです。

図1コロナ前より人とのつながりを大切にしたい人が8割以上

人とのつながりの感覚が子育てに与える影響とは?

人とのつながりは、子育てに向き合う気持ちに関連します。今回の調査では、コロナ禍の子育てについて、保護者のかたの約7割は「楽しい」という気持ちと「子どもがうまく育っているか不安になる」という気持ちの両面を感じていることがわかりました。

こうした気持ちと子育てを通した人とのつながりとの関連を調べました。その結果、子育てについて気軽に話したり、相談したりするつながりが比較的少ない保護者のかたでも約5割のかたは子育てを「楽しい」と感じているものの、つながりの多い保護者のかたでは約8割にのぼりました。また、つながりの多い保護者のかたのほうが「子どもがうまく育っているか不安になる」ことが少ないこともわかりました。

自分の困りごとやつらさを言葉にして、それを誰かに受け止めてもらうことで不安が和らいだり、気分転換になったり見方が変わったりすることは、多くのかたが経験していることではないでしょうか。

平時であっても重要な、子育てに関わる人とのつながり。コロナ禍において改めて実感したという声は、自由回答からも見られます。
「以前はひとりでなんとかしようと思うことが多かったのですが、誰かの協力がなければ子育ては成り立たないのだということがよくわかりました」や「子育て支援センターなどで他のお母さんや子どもたちと交流できることがどれほど貴重な時間だったかと、行けなくなって改めて感じました」などのコメントがありました。

図2人とのつながりと子育てに向き合う気持ち

コロナ禍が「子どもの成長」を実感できる貴重な機会に

続いて、「コロナ流行に伴う生活変化の影響で、対象のお子さまに以下のような言動の変化はみられますか。」という質問の結果をご紹介します。

3〜5歳のお子さまをもつ保護者のかたからは、「いら立っている様子が増えた」が約5割、「泣くことが増えた」が約3割といったお子さまの不安定な様子を伝える回答がありました。
一方で、「成長を感じる様子が増えた」と回答する1〜2歳児と3〜5歳児の保護者のかたがもっとも多く7割程度にのぼりました。さらに、「楽しそうに過ごす様子が増えた」が約6割、「周囲の人に優しく接する様子が増えた」が約4割と、子どもたちの前向きな変化を感じた保護者のかたも半数前後いることがわかりました。

図3コロナ流行前と比較した子どもの様子

自由記述においても、お子さまとふれあう時間が増えたことについてポジティブな意見が見られました。
「子どもは私たちと一緒に長い時間いられて楽しんでいる様子です。家族との関係性を再認識するよい機会になりました」「忙しく過ごしていたときはちゃんと子どもの話も聞けていなかったなと反省。見守る時間をとったことで、こんなこともできるんだと新たな発見をすることができました」など、家庭で過ごす時間が増えたことがこれからの子育てを考える機会になったこともわかりました。

お子さまの成長などのいい変化が見られた背景には、保護者のかたがお子さまの感染予防や生活リズムの維持に努め、楽しく過ごせるように工夫するなど、さまざまな生活上の配慮があったことが考えられます。

本調査監修の筑波大学教授の安藤智子先生からは、「大人が支え合い、自分を守ってくれる体験は、お子さんの心の財産になると思います。困難なことは起こり得るし、大人も困ることがあるけれど、助け合い、試行錯誤して対処できるのだという肯定的な体験です。保護者のみなさんに、『本当によくやっておられますね!』とエールを送りたいと思います」というコメントをいただきました。

誰もが経験したことのない未曾有の事態に対して、大人が協力し合って対応している姿は、お子さまがこれから生きる上でのモデルとなり、大きな学びの機会になっているはずです。

まとめ & 実践 TIPS

本調査から、幼児の保護者のコロナ禍での様子の一部をご紹介しました。3密を避けるコロナ禍だからこそ、子育てにおける人とのつながりを意識してもつことが重要であり、それがあることで前向きにお子さまと向き合えることを改めて確認しました。


また、コロナ禍の自粛期間は子どもたちにマイナスの影響だけではなく、成長の機会やいきいきと過ごすゆとりある時間をもたらしたこともわかりました。これまで意識しなかった日常のありがたさや、気づかなかったお子さまの成長や子育ての喜びに気がついたという保護者のかたの声も聞かれました。


コロナ禍をきっかけに、家族や親子でのよりよい過ごし方や、子育てを支えてくれる人とのつながりをどう保つかなどを改めて考えてみてもいいですね。

プロフィール

ベネッセ教育総合研究所

株式会社ベネッセコーポレーションの教育、調査、研究機関です。子ども、保護者、先生、学校などを対象に、教育に関連する調査、研究を行い、その研究成果や調査報告書、各種データを無償で公開しています。

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