妹に玩具を貸さない姉[教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】

三歳の長女が玩具で遊んでいると、一歳下の妹が興味を持って手を出し、取り合いになります。妹に言っても無理なので、長女に「貸してあげて」と言うのですが、「いや」の一点張り。それで、つい「お姉ちゃんでしょ。なんで貸してあげないの?」と叱ってしまいます。

ベストフードさん(年少 女子)

【親野先生のアドバイス】

拝読しました。
親としては、お姉ちゃんが妹に貸してくれれば助かりますよね。
それで、つい「お姉ちゃんでしょ。なんで貸してあげないの?」と叱りたくなるわけです。

でも、「お姉ちゃんでしょ」「お姉ちゃんなんだから」「お兄ちゃんでしょ」「お兄ちゃんなんだから」などの言葉は、子どもにとっては一番嫌な言葉であり、絶対に言わないほうがいいです。

こういう言葉でとがめられて、それで「妹に優しくしよう」と思う子はいません。

それどころか、「お姉ちゃんにしてなんて頼んだ覚えはない」「お姉ちゃんなんて損ばかり」「妹ばっかり得をしている」と感じるだけです。
そして、妹の存在を疎ましく感じるようになってしまいます。
ですから、「これはもう絶対に言わない」と決意してください。

これからは、お姉ちゃんにもっともっと共感してあげるといいと思います。
例えば玩具の取り合いのときに、「あなたも遊びたいのにね…。お姉ちゃんも大変だね」と言ってあげてください。

すると、子どもは「自分の気持ちがわかってもらえた」と感じて、安らかな気持ちになります。
それで、意外なほどすんなり貸してあげたりできるようになるものです。

もちろん、すぐにそうなるとは限りません。
「せっかく共感してあげたのに何も変わらない」といって、また叱るところに戻ることのないようにしてください。
共感に徹しながら待つことが大事です。
やがては変化が訪れますから。

この他にも、親が生活のいろいろな場面で「共感」を最優先していると、子どもの親に対する信頼感が大きく育っていきます。
それによって親子関係がよくなり、物事がうまく回り始めます。

大切なことをもう一度言います。
「叱るのをやめて、共感に徹してください」
北風で「叱る」のをやめて、「共感」の太陽であたためてあげるのです。
そうすれば、びっくりするほどの変化が生まれます。

そして、この「共感」は全ての人間関係をよくするマスターキーですから、夫婦間でも、おじいちゃん・おばあちゃんに対しても、職場の人間関係でも、常に最優先するといいと思います。

最後に付け足しです。
下の子が生まれると、上の子は「お姉ちゃん」「お兄ちゃん」と呼ばれることが多くなり、名前で呼ばれることが減ります。

このことを密かに寂しく思っている子はけっこう多いようなので、ぜひ、それまでと同じく名前で呼んであげてください。
心からの愛情を込めて名前を呼んであげれば、子どもはそれだけでもうれしいものです。

私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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