主体的に考え行動する体験が子どもの自己肯定感を高める?[やる気を引き出すコーチング]

先日、講演先で出会った高校1年生のお子さんを持つKさんから、こんなお話を聴きました。
「今年から高校に入学する娘のお祝いを兼ねて、春休みに家族で旅行に行ったんです。今回は娘の意見を聞いてみようと思って、『どこに行きたい?』って聞いたら、『東京!』と。
『東京のどこ?』と聞くと、どうやら、テレビか何かで見た雑貨屋さんやカフェに行ってみたいと言うのですが、私たちにはどうやって行くのかもよくわかりません。それに、せっかく旅行に行くのに、お店巡りだけでいいのかなと、もっと楽しいところがあるのではないかと、行き先を決める段階でけんかになってしまいました。
『どこに行きたい?って聞くから、行きたいところを言ったのに!』
『でもどうやって行くのか、お母さんたちにはわからないから、あなたが行きたいんだったら、自分で勝手に調べなさい!』っと、こんな状態になってしまいました」

■本当にやりたいことには子どもは本気になる

「うちの娘は一人ではどこにも行けない子だったんです。
ピアノ教室でも、塾でも、最初は一緒について行って、『ここで左に曲がってね』とか、『ここのバス停で降りてね』と教えるですが、慣れるまでに時間がかかるようで、よく道に迷っては、『もう行きたくない』と泣いていました。
だから今回も、結局どうやって行ったらいいかわからないから、そのうちあきらめるだろうなと思っていたのです。

ところが、本当に行きたかったんでしょうね。インターネットで、お店の住所や行き方を自分で調べ始めたんです。そこまでするのであれば、親も娘に任せて見守ることにしました。
当日、実際に東京に着いてみると、人も多く、地下鉄の乗り方も難しく、かなり戸惑ったようです。つい、『こっちじゃないの?』と口を出しそうになりましたが、あえて見守りました。娘も自分が行きたいと言った手前、親には頼ろうとせず、わからないことは、自分から駅員さんに質問していました。そんな姿を見るのも新鮮で頼もしかったです。

実際に、念願のお店に着いた時の娘は、とても嬉しそうで、お目当てのものも買えて、大満足だったようです。本気になると、自分でなんとかするものなんだと思いましたし、満足度も高いんですね!」

■自分でやり遂げた体験こそ自信につながる

「帰ってきてから、『東京に連れて行ってくれてありがとう!今まで一番楽しい旅行だった』とまで言われました。
嬉しいようながっかりしたような複雑な気分でしたよ。だって、今まで良かれと思って、がんばって連れて行った海外旅行よりも楽しかった」と言われたら、ちょっと残念ですよね。

でも、あれから娘がまた成長したと感じました。新しい学年に上がる時は、いつも、不安でおどおどしていましたが、高校には、最初から自信に満ちた様子で毎日元気に通っています。

今日、石川さんの講演を聴いていて、思ったんですよね。これまで、子どもに主体的に考えさせているつもりで、結局、親が敷いたレールの上だけで選択させていたに過ぎなかったなって。
「自分でやりたい」と思ったことは、どんなに面倒なことでも、自分で考えてやり通すのだなって。その体験が本当の自己肯定感を育む!ということが今回よくわかりました」

Kさんのお話こそ、子どもが主体的に考え行動することの効果を十分に教えていただける興味深い事例でした。ただ「ほめる」だけでは、子どものやる気や自己肯定感は育まれません。
本当にやりたいことのために、主体的に動き、それによって得た達成感は、どんな体験よりも効果が高いのです。見守る側にも少し忍耐が必要かもしれませんが、手や口を出さず、子どもが本当にやりたいことを自分の力で成し遂げる体験を見守ってみませんか。

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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