子どもが自分で「選択する」ために必要な関わり方 [やる気を引き出すコーチング]

先日、卒業後の進路相談にのっていた高校生から、「大学に進学しようと思います」との報告を受けました。非常に衝撃的でした。「まさか、そんな選択に落ち着くとは!」と意外でした。と言うのは、2ヶ月程前に、話を聴いていた段階では、「進学するつもりはまったくない」と言っていたからです。「専門学校や大学に行ってもしたいことがない。就職するつもりもない。普通の人が選ぶ一般的な人生は歩みたくないので、卒業後はしばらくバイトをして考える」という考えでした。

それはそれで、なかなかチャレンジングな選択で、進路の一つだとは思うのですが、やはり、親御さんの理解は得られず、家庭内で衝突が続き、私が相談にのることになりました。そんな彼が、最初は頑として受け入れなかった「大学進学」という選択を自分でしたのです。いったい何があったのでしょうか?

■子どもを急かさない、子どもと闘わない

結論から言うと、何があったのかは結局「わからない」のです。
私がしたことは、彼の気持ちをただ受けとりながら聴いたことぐらいです。「海外で働くのもいいかなと思って」といった言葉に対して、「海外で働くことでどんな人生を送りたいの?」などの質問を、私のほうから返していた程度です。それに対して、明確な返答があるわけではありませんでしたが、ただ、その答えられない状況も否定せず、そのまま受けとめていました。

親御さんのほうもこれまでの関わり方を見直し、「早く進路を決めなさい!」と急かしたり、「そんないい加減なことを許せるわけがないでしょう!」と対決したりせず、見守る姿勢を保ちました。どんな選択をしたとしても、最終的に、この子が自分の力で考え、生きていけるようサポートしていこうと腹をくくることにしたのです。
そして2ヶ月後、彼から出てきたのが、両親も望んでいた「大学進学」という衝撃と安堵が入り混じる結論でした。実は、このようなことは、子どもと接していると、よく起きることです。半年間、学校に行かなかったお子さんに、急かすこと、説得することを親御さんがやめた時、突然、「学校に言ってみる」と言い出す事例がありました。

■「タイミングは必ず来る!」と信じる

実際、子どもの内側で何が起きているのかはこちらにはわかりません。「何がきっかけだったの?」と質問をしても、子ども自身にも答えられないことも多いです。それでも、気持ちを受けとり見守っていると、子どもが自分で考え、決めて、行動を起こす時が来るのです。
つい1週間前まで、「志望校が決められない。どこにも行く気がしないから、受験勉強もやる気になれない」と言っていた中学生が、急に「行ってみたいところが見つかった。調べてみたら、もう少しがんばれば、自分でも入れるかもしれないとわかったので、がんばってみる」と言い出したります。そんな場面に何度も出会うと、「こちらが焦ることは何もない。子どもの決断する力を信じたらいい」と実感します。

進路選択などの場合、1ヶ月、2ヶ月が待てないこともよくあります。受験日が決まっていると、「早く考えなさい」、「迷っている暇はないよ」と急かしてしまいます。子どもの中では、余計に焦りと反発が生まれます。自分の気持ちと向き合う間を与えられないので、安易にあきらめたり、自暴自棄になったりします。
1〜2ヶ月、決断が遅れたからと言って、人生どう変わるのでしょう?たとえ、1年、2年遅れたとしても、その間に、自分の気持ちと真摯に向き合い、自分で結論を出す体験ができたとしたら、それは、その子のこれから先の長い人生を支える「生きる力」となります。

どの子どもにも、各々のタイミングがあります。それを信じて見守り、向こうから相談された時こそ、「いつでも味方だよ」という姿勢で話を聴く、そんな大人のスタンスが、子どもの「選択する力」を引き出すのではないでしょうか。

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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