気になる子どもたちのお小遣い事情
子どもたちのお小遣いをいくらに設定し、どのようなルールを決めるのか、なかなか他の家庭の事情はわからないものです。「みんなどうしているの?」と気になる方も多いでしょう。
そこで、東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」から、お小遣いについての気になる調査結果をご紹介します。
お小遣いの金額、決めている?
みなさんは、お子さんのお小遣いの金額を決めていますか?まずは、子どもたちのお小遣い事情をみてみましょう。
【図1】は、お子さんに渡すお小遣いの金額を決めている家庭の割合です。小学1年生は1割台ですが、学年が上がるにつれて割合が徐々に増え、高校生では6割強の家庭が金額を「決めている」と答えています。
子どものお小遣いはいくら?
子どもにねだられることもあり、お小遣いをいくら渡すのが適切なのか悩む保護者の方も少なくないかもしれませんね。各学年の保護者が渡しているお小遣いの月額を【図2】に示していますので、ぜひご覧ください。
学年別にみると、小学1年生は、お小遣いをもらっていない子どもが半数以上です。また、小学5年生では0円~500円未満が約半数ですが、小学6年生になると500円〜1000円未満が約4割になります。
さらに、平均月額をみると、小学生から中学生、中学生から高校生に変わる段階で金額が大幅にアップしていることがわかります。これは、子どもが日常的に必要とするものが、学校段階が上がるにつれて増えるからだと思われます。
基本的に学年が上がるにつれて、お小遣いも増える傾向にありますが、高校生になると、もらっている金額にバラツキがみられます。これは、お小遣いの使いみちが家庭によって異なることや、子どもがアルバイトをしているかどうかなどが関係していると思われます。
住んでいる地域や家庭の世帯収入によって子どもたちのお小遣いに差はあるの?
大都市の子どもたちはお金を使う場所が多いので、お小遣いを多くもらっているのではないか、そんなふうに思ってもおかしくありません。しかし、調査結果をみると、大都市(東京23区・政令指定都市)と他の地域とで平均月額に差があったのは高校生だけ(約500円)で、小中学生では差はみられませんでした(【図3】)。また、世帯年収による差も、高校生で若干みられる程度でした。
子どものお小遣いのルール
お小遣いを渡すのであれば、適切な使い方をしてほしいものですよね。そこで、家庭で「お金の使い方」の約束やルールがあるかどうかをみてみると(【図4】)、「ある」の割合が高いのは小学5年生~中学1年生でした(6割弱)。小学校低学年のうちはお小遣いの金額が少ないため、改めてルールを設定する必要はないのかもしれません。また、高校生ぐらいになると、子ども自身で、ある程度、お金の管理ができているということが予測できます。
なお、「お金の使い方」のルールが「ある」と回答した家庭では、どの学年でも8割以上の子どもがルールを「守っている」(よく+まあ)ことも同調査でわかりました。
お小遣いを渡すことは、子どもにとってどういう意味があるのでしょう。
お小遣いを使うことを通して、子どもに金銭感覚を身につけてほしいと考えられている保護者の方も多いと思います。また、お金の使いみちがさまざまあるなかで、買うものを自分で吟味して決めたり、ほしいものを買うためにお金を管理したりする経験は、子どもの金銭的自立の第一歩となるはずです。
お子さんと一緒に、お小遣いを何に使うか、どのように使うか、どのように管理するかの約束やルールを話し合ってみてはいかがでしょう。そして、ときには、お子さんにお金の使い方について意思決定する経験をさせてみてもよいですね。
<調査データ>
東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究
「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」(2015年7~8月実施)
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=4848