中学生の子どもが先生への不満を口にしたら、共感するべき? それとも諌めるべき?

小学生の頃は先生のことを尊敬していたのに、中学生になったら先生への不満を口にするように……。こうした場合、保護者はどのように対応するべきでしょうか。私立の小中一貫校に長年勤務され、現在は作家・教育評論家として活躍されている中井 俊已(なかい としみ)先生に伺いました。

まずは子どもの気持ちを受け止めて

中学生になると子どもは思春期を迎え、保護者に反発し距離を置くようになります。また、保護者だけでなく、教師や学校など、大人社会全般にも批判的になったりするのもこの時期の特徴です。より客観的に周囲の人を観察できるようになるため、先生の人格や先生としての技量を比較したりもします。そのため、「A先生の教え方はわかりにくい」「前の担任の先生がよかった」といった先生への不満を口にする子も少なくありません。

そうした場合、まずは子どもの気持ちを受け止めてあげてほしいと思います。保護者に反抗して口もきかなくなる子が多い時期なのに、保護者に不満をぶつけているということは、何かを相談したいというサインかもしれません。先生の不満の陰に、勉強や部活、友人関係の悩みや不安が隠されていることがあります。

このようなときに、子どもの話が終わらないうちに、「あなたが勉強しないからいけないんでしょ」「そんなこと言うんじゃありません」などと子どもの言い分を否定するのはよくありません。こうした言葉がけでは、自分の気持ちを理解してもらえないと感じて、さらに保護者に反抗的な態度をとるようになってしまいます。

どうして嫌なのか理由を聞いてみる

子どもの気持ちを受け止めたら、次に「どういうところが嫌なの?」「何か嫌なことがあったの?」と、さりげなく聞いてみましょう。子どもの不満別に対応法をご紹介します。

◎「宿題が多くて、英語の先生が大嫌い」という場合
熱心な先生の指導に子どもが応えられないというパターンでは、子どもの気持ちは理解しつつも、「先生はそれだけ熱心なのよ」と先生のフォローをしてほしいと思います。また、保護者の経験談を話すのもいいと思います。例えば、「お母さんも、中学生のとき英語の先生がたくさん宿題を出すからニガテだったんだ。でも毎日宿題に取り組んでいたら英語のテストの点が上がって、英語が得意になったよ。厳しい先生のおかげだったと思う。だから、○○ちゃんも、もう少しがんばってみたら」と伝えてみるのです。そうした経験談を聞くと、自分もがんばって授業や部活を受けようかなという気持ちになれるかもしれません。

◎「A先生は好きだけど、B先生は嫌い」という場合
中学校は教科担任制なので、「国語の先生は好きだけど、社会の先生は嫌いだから勉強のやる気が出ない」という子もいると思います。その場合は、先生が嫌いだからという理由でその教科を勉強しないでいると損をするのは自分自身であることを、冷静に諭してあげましょう。先生を好きになるのが難しかったとしても、塾や家庭学習での勉強をがんばる、その教科が得意な友達に教えてもらうなどして、苦手教科を好きになれるような工夫ができるといいですね。

◎単に「B先生は合わない」「なんかB先生は嫌」という場合
人と人との関係には相性がありますから、苦手な先生がいるのは仕方がありません。その場合は、子どもの気持ちを受け入れつつも、「人との付き合いがうまくいかないことはあるよ。でも、社会に出ると苦手な相手を受け入れながら仕事をしなければならない場面もあるから、今からその練習をしておくことも大切だよ」など、社会人の先輩として多少の我慢も必要であることをアドバイスしてあげましょう。また、保護者が苦手な人と付き合う際にどのような工夫をしているか、体験談を話してあげるのもいいと思います。

子どもの前で先生の悪口はNG

子どもの気持ちに寄り添うあまり、子どもに同調して先生の悪口を言うのは避けたいですね。子どもによっては、保護者のひと言に影響を受け、「自分の先生はよくない」「あの先生はダメな先生」と思い込んでしまい、まじめに授業を受けられなくなるケースもあるかもしれません。それは、高校進学を控え、学習面でますます大事な時期を迎える子どもにとって大変損なことです。

もし、子どもと先生にトラブルが生じているようでしたら、担任の先生を通じて、事実関係やその意図を当事者の先生に確認してもらうとよいと思います。先生の意図を子どもが誤解しているだけかもしれません。もし、保護者が介入するのを嫌がるようでしたら、子どもが信頼している先生に相談するように言うとよいと思います。

プロフィール


中井俊已

私立小・中学校に23年間勤務後、作家・教育評論家として独立し、執筆・講演などで活躍中。『男の子って、どうしたら勉強するの?』『女の子って、勉強で人生が変わるんだ!』(学研)など著書多数。

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