まず1日だけ、子どもを叱る「ダメ!」を禁句にしてみよう!
「ダメ!」という言葉が口癖になっている保護者のかたは多いのではないでしょうか。望ましくない行動をひと言で止めることができる何とも便利な言葉ですが、使い方によっては弊害を伴うため注意が必要です。「ダメ!」と言いたくなったら、どのように言い換えるといいのでしょうか。
「ダメ!」だけではなく、禁止の理由を具体的に伝えよう
やってはいけない行動を止めるために叱ることは、しつけとして当然です。しかし、「ダメ!」という言葉が問題になりやすいのは、それだけでは子どもに禁止の理由が具体的に伝わらないからです。
例えば、子どもがお店の中で走り出したとしましょう。すかさず保護者のかたが「走っちゃダメ!」と叱ると、子どもは渋々走るのを止めました。しかし、年齢にもよりますが、この叱り方では、どうして走ってはいけないかがわかりません。言うまでもなく「お店の中で走るのがダメ」なのですが、子どもは「走るのがいつもダメなのかな」と受け取ってしまうかもしれません。そうすると、「どうして公園では走っていいのに、ここでは走ってはいけないのかな」と混乱してしまうでしょう。
ですから、「言わなくてもダメな理由はわかるだろう」などと思わずに、禁止の理由はきちんと言葉で伝えましょう。理由を伝える際も「危ないよ!」だけでは、なぜ危ないのかがわかりにくいので不十分です。「ちょっと待って。お店の中で走ると人や売り物にぶつかるから危ないよ」などと具体的に説明しましょう。「ダメ!」と禁止するだけでは、子どもは「自分」が叱られたと感じて、落ち込んでしまうかもしれません。一方、きちんと理由を説明してあげると、「行動」が叱られたことを理解します。
さらに、走りたいという欲求を満たしてあげるために、代替の案を出すとよいでしょう。例えば、「走りたいのなら、お買い物が終わったら公園に行って遊ぼうね」などと伝えると、がまんしやすくなるはずです。
「ダメ!」を言い換えて、肯定的なメッセージに
とはいえ、友だちをたたこうとしたり、ひとりで道路を走り出そうとしたり、すぐに行動を止めたい場合は、「ダメ!」という言葉で強く禁止するのは仕方のないことです。その場合でも直後に「どうしてダメなのか」「どうしてほしいのか」を具体的に教えることが肝心です。
急を要さない場合は、できるだけ「ダメ!」という言葉を使わないように意識するとよいでしょう。そうすると、子どもを否定することが減って、肯定的なメッセージが増えていくことに気づくはずです。例えば、次のような言い換えが考えられます。
≪おかずを残そうとしたとき≫
「食べなきゃダメ!」⇒「野菜を食べると力が出るよ。速く走れるようになるかもよ」
≪本を破ったとき≫
「破いちゃダメ!」⇒「本を大切にしてあげると、次も楽しく読めるよ」
≪友だちやきょうだいとケンカになったとき≫
「ケンカしちゃダメ!」⇒「どうしたら仲良くできるか考えてごらん。何がイヤだったか、お互いに話してみたら」
まず一日だけ意識して「ダメ!」を禁句にしてみよう
もちろん、禁止の理由や望ましい行動を伝えたからといって、すぐに行動が変わるとは限りません。同じことを繰り返し伝える必要があるでしょう。保護者のかたには根気強さが求められますが、そもそも子育てには即効性のある魔法の言葉なんてないのだと考えるべきではないでしょうか。
「ダメ!」が口癖になっている保護者のかたは、無意識のうちに口をついて出てしまうかもしれません。まず一日だけ意識して「ダメ!」を禁句にすることから始めてみてはいかがでしょうか。