小学生に「敬語」はどう教える?【前編】
大人でも正確に使うことが難しい敬語。それだけに正しく使えると、相手からの評価は高まり、人間関係を円滑にすることに役立ちます。日常生活の中でくり返し使うことが上達への道ですので、礼儀やマナーと同様に、家庭でしっかりと教えましょう。
敬語は日常的にくり返し使うことで自然と身につく!
日本の社会でコミュニケーションを円滑にするためには、「敬語」を正しく使えることが欠かせません。ところが最近は、正しい敬語が使えない社会人の増加が問題視されるようになり、小学校でも、先生などの目上の人に対して友達感覚で接して適切な言葉遣いができない子どもが目につきます。敬語が使えなくても、小さいうちは「子どもだから」と、大目に見てもらえるかもしれませんが、中学生や高校生になれば、「失礼だ」「常識がない」などとマイナスの評価を受けてしまいかねません。入試の面接試験などでも、正しい敬語を使えるかどうかは評価ポイントのひとつとなります。
小学校では学校生活を通して丁寧な話し方を学び、5・6年生になると国語で敬語を学習します。しかし、言葉はくり返し使わなければ身につけることができません。とっさの場面で正しい敬語が使えるようになるためには、日頃から日常生活の中でも意識して敬語を使うことが大切ですので、マナーや礼儀と同様に、家庭でしっかりと教えてあげましょう。お子さまが敬語を使うべき場面で使わなかったり、誤った使い方をしたりしたときに、その都度、教えるようにすると、しだいに自分の言葉として身についていきます。
ここで紹介する敬語表現の中には、小学生には難しいものも含まれています。だからこそ、保護者が正しく敬語を用いることは、子どもに敬語表現を身につけさせる第一歩です。この機会に、ご自身の言葉遣いも見直してみてください。
敬語を使うべき「状況」を教えることも大切
お子さまに対して敬語について指導する際に意外と難しいのは、敬語を使うべき場面を教えることです。敬語を使うべきかどうかは、状況や相手との関係性によって異なるためです。学校の先生や見知らぬ大人に対しては、敬語を使うべきという考えが大半でしょうが、たとえば、親戚や友達の親など、普段から親密な付き合いがある相手に対して常に丁寧な敬語を使うと距離感のようなものを感じさせてしまう場合もあります。また、どの程度の敬語を使うべきかも、状況によって異なります。そのように敬語はケースバイケースの要素が強いことを伝え、適宜、正しい使い方を教えるようにしましょう。
敬語の前にあいさつ言葉や気持ちを伝える言葉を大切に
敬語を使う目的は、相手を尊重する気持ちを示して人間関係を円滑にすることです。とはいえ、人間関係を支える要素は言葉遣いだけではありませんから、たとえ完璧な敬語を使ったとしても、きちんとあいさつをしなかったり、表情や態度が伴っていなかったりしたら、相手を敬う気持ちは伝わりません。そこで、敬語を学ぶ前の基本として、あいさつ言葉に加え、感謝や謝罪、ねぎらいなどの気持ちをきちんと言葉で伝えられているかを見直しましょう。家族などの親密な間柄では照れくささがあって、つい「言葉にしなくても伝わる」と考えてしまいがちですが、「親しき仲にも礼儀あり」の言葉どおり、人間関係をつなぐのは言葉です。次のような言葉の大切さについて、お子さまと改めて話し合ってみてはいかがでしょうか。
◎あいさつ言葉
「おはようございます」「おやすみなさい」「こんにちは」「こんばんは」「さようなら」
◎感謝を表す言葉
「ありがとうございます」「いただきます」
◎謝罪の言葉
「ごめんなさい」「申し訳ありません」