「敬語」が使えない小学生が増加中!どうマスターさせる?【後編】

敬語には、「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」などがあります。一見複雑ですが、それぞれ意味があり、いったん身につけてしまえば、大人になっても忘れることはありません。お子さまに教える前に、保護者のかた自身も敬語のしくみを整理してみてください。


敬語の中でも子どもも使いこなしやすい「尊敬語」「美化語」

 これまで敬語は「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の3種類と教えられてきましたが、2007年の文部科学省・文化審議会が示した「敬語の指針」によって5種類になりました。「丁寧語」が「丁寧語」「美化語」、さらに謙譲語が「謙譲語I」「謙譲語II(丁重語)」と、それぞれ細かく分けられました。日常生活の中では意識する必要はありませんが、知識として知っておいてもよいかもしれません。

 

いろいろな種類のうち、普段の生活の中でよく使われ、子どもが最もわかりやすいのは丁寧語です。

 

【丁寧語のパターン】

◎『です』『でした』

例/「おいしかったです」「昨日は晴れでした」

 

◎『ます』『ました』

例/「そう思います」「○時に寝ました」

 

◎『ございます』『ございません』

例/「おはようございます」「こちらでございます」

 

丁寧語に関しては、特に教えなくても自然と身についているお子さまも多いでしょう。ただ、『ございます(ございません)』は、『です・ます』などよりも度合いが強い丁寧語で、状況によっては子どもが使うとおかしく聞こえる場合があるかもしれません。大人と子どもではふさわしい敬語は異なると考え、あくまで子どもらしさを失わない範囲で使うようにするといいでしょう。知識として知っておけば、保護者のかたが状況に応じて非常に丁寧な敬語を使い分けるのを見て、「こういうときに使うのか」と感覚的に理解するようになります。また、過剰に丁寧な表現を使うことが、かえって失礼となる場合があることも教えましょう。

 

次に、以前は丁寧語に含まれていた美化語について説明します。美化語についても自然と使っている子どもも多いでしょう。

 

【美化語のパターン】

◎「お」や「ご」をつける。

例/お正月、お世話、お手紙、ご本、お水、お野菜、お酒

 

「お」や「ご」をつける言い方は、「美化語」と呼ばれ、言葉を上品にする働きがあります。何にでもつければ丁寧になるわけではなく、「おサラダ」「おピアノ」「おマスク」といった表現がおかしいように、普通、外来語には使いません(ただし、「おトイレ」「おビール」などのように誤用が広まっているケースもあります)。また、「私のお洋服」のように、自分のことにもあまり用いません。子どもと一緒に身のまわりの言葉に「お」や「ご」をつけてみて、違和感がないかを話してみましょう。「ごはん」「おかず」などのように一体化しており、「お」や「ご」をとると意味が通じない単語があることにも気づくでしょう。

 

 

敬語の中でも多くのパターンがある「尊敬語」と「謙譲語」

 続いて、相手のことを敬う気持ちを表す尊敬語について説明します。尊敬語にはいくつものパターンがあります。大人はこれらのパターンを無意識に使っていますが、改めて整理しておくことで、お子さまに教える際に役立つはずです。

 

【尊敬語のパターン(1)】

◎尊敬を表す特別な言葉を使う

例/食べる・飲む⇒召し上がる、来る・行く⇒いらっしゃる、着る⇒お召しになる

 

【尊敬語のパターン(2)】

◎『お』『ご』などの接頭語、『さん』『様』などの接尾語をつける

例/お客、お考え、ご指導、ご出席

例/山田さん、高橋様、伊藤先生

 

【尊敬語のパターン(3)】

◎『お(ご)〜になる』

例/お歌いになる、お話しになる、ご利用になる、ご覧になる

 

【尊敬語のパターン(4)】

◎「れる・られる」をつける

例/お話される、書かれる、歩かれる

 

【尊敬語のパターン(5)】

◎「する」の尊敬語である『〜なさる』をつける

例/発表なさる、利用なさる、どうなさいますか

 

次に、大人でも使いこなすのが難しい「謙譲語」について説明します。謙譲語は、自分を控えめにすることによって相手への敬意を示す表現方法で、いくつかのパターンがあります。

 

【謙譲語のパターン(1)】

◎特別な謙譲語を使う

例/行く⇒参る、食べる⇒いただく、聞く⇒うかがう、言う⇒申す、いる⇒おる、見る⇒拝見する

 

【謙譲語のパターン(2)】

◎「お〜する」

例/お話する、ご連絡する、お聞きする、お借りする

 

尊敬語と謙譲語には、子どもが使うとやや大げさに聞こえる表現が含まれています。すべて理解して状況によって使い分けられるのがベストではありますが、小学生にはまだ難しいため、無理のない範囲で教えましょう。

 

目上の人との会話で、「拝見されましたか」「どちらに参りますか」などと、相手の行動に対して、つい謙譲語を使ってしまう誤用はよくあります。こうした誤りは、その都度、訂正するようにしましょう。

 

尊敬語や謙譲語はいくつものパターンがありますが、それぞれ敬意の度合いが異なります。たとえば、「れる・られる」はそれほど尊敬の度合いは高くなく、身近な相手に対しても使われます。たとえば、「先生がこられる」よりも、「先生がいらっしゃる」のほうが、尊敬の念が強く表れます。この辺りのニュアンスは、感覚的に理解する必要がありますので、実際に使用する場面で教えるようにしましょう。

 

 

「敬語」が使えない小学生が増加中!どうマスターさせる?【前編】はこちらから

 

 

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