大げさなくらいがちょうどいい 生きる力をほめて養うイギリスの子育て
子どもが自分を好きになり、自信を持つためには、保護者などからよいところをほめられることが重要といわれる。しかし日々の生活では、子どもの長所よりも短所に目がいってしまいがち。海外ではどのように子どもをほめて育てるのか、イギリスでの子育て経験もある沓澤糸氏が紹介する。
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夫の仕事の都合で住んだロンドンで、日本文化を教えるために訪れた小学校でのことです。小学1年生のクラスでしたが、子どもたちは教室に入ってくると、何も指示されなくても前から順に座りました。すると先生は「あなたたちは素晴らしいわ!」と、少し大げさなほどほめていました。子どもたちは得意満面。日常的な事柄でほめられることは、大人が思う以上に子どもにとって自信になるのかもしれないと考えさせられました。
大人の私ですら、ロンドンではよくほめられました。語学学校では「積極的でとてもいいよ」というように、とにかく多彩な言葉でほめてくれます。そのうえで、「○○を練習するともっとよくなる」と具体的に欠点を指摘してくれるのです。
また、これは10年以上前ですが、仕事でアメリカの小学校に行った時のこと。1人の子どもが台の上に立っていて、ほかの子どもたちは順番に、立っている子どもの素晴らしいところを紹介していました。「Star of Today(今日のスター)」という活動で、立っていたのはその日が誕生日の生徒。友達のよい面を見つける目を養い、言葉で伝える力を身に付けるための活動だそうです。人をほめるためには相手の長所に敏感に気付くことが大切。それを子どものころから訓練していることに驚きました。
子どもをほめることは、時として甘やかしではないかと言われることもあります。しかし、できて当たり前のことも含め、子どものさまざまな場面をとらえてほめる、認める言葉をかけると、それが生きるエネルギーとして蓄積され、自信や、苦しい時の心の支えになるのではないかと感じます。
出典:所変われば育て方も変わる? 発見! 世界の子育て 日本と違う? 子どものほめ方・叱り方 -ベネッセ教育情報サイト