入園前?それともいつ?赤ちゃんのおむつはずれ

 おむつはずれはママ・パパにとって大きな課題のひとつ。特に、幼稚園や保育園への入園を控えたわが子がいれば、「入園前までに済ませておくべきなの?」と気になることでしょう。

 ですが、その「入園前」を基準とするのは、実はちょっと危険な考え方。子どもの成長はそれぞれなのに、同じ年に生まれた子どもたちの成長を入園の4月でそろえなくてはならないのでしょうか? そのために子どもに無理をさせたり、親がイライラしてしまったりすることになるのなら、考え方自体を改める必要がありそうです。

 

 


おむつはずれを急ぐのは、大人たちのためだった

 その昔、おむつはずれは早ければ2歳ごろにも行われていました。これには時代的な背景があります。まず、紙おむつが普及していなかったため、布おむつがよく使われていたこと。布おむつにはたくさんのメリットもありますが、当時は「手間がかかる」という大きなデメリットばかり注目されていました。洗濯機も洗剤も、今ほど高性能ではありません。

 

 また、子どもの数も多かったため、下の子の面倒を見やすくするためにも、上の子のおむつはできるだけ早く外す、というのが通常でした。

 

 しかし、本来おむつはずれは子ども自身の体の発達。こころの準備が必要です。どうしてトイレでおしっこやうんちをするのか。どんな感覚になったらおしっこが出るのか。おしっこやうんちをトイレまで我慢する必要もあります。これらの準備は「成長」であり、急がせたからといって早まるものではありません。「できるようになった段階でこそ成功」するものなのです。もちろん、うながしてあげることや練習は必要ですが、そのペースも子ども一人ひとりによって異なります。

 

 

「おむつはずれができていなくてもいい」という幼稚園・保育園が多数

 現在、このような正しい理解が進み、多くの幼稚園や保育園が、おむつはずれができてない段階での入園を認めています。自宅でどのようにトイレトレーニングを進めたらよいかもアドバイスし、「園と家で連携する」ことで、子どもが無理なくひとりでトイレに行けるようにしていくのです。

 

 トイレに関する方針は、幼稚園・保育園の入園前説明などで必ずあると思います。しっかりと確認しておきましょう。入園までを「目標」に、子どもと一緒に頑張るのはとてもいいことです。

 

 「おむつがはずれていないと入園できない」という園の場合、それがどんな理念や考え方に基づいた条件であるのかも知る必要があります。場合によっては、おむつはずれ以外にも親子にとってのハードルがあるかもしれません。果たしてそのような園で子どもがのびのびと生活することができるだろうか? もう一度考えるいい機会になるかもしれません。

 

 

倉持鎮子

自身も6歳、10歳の子どもを育て、育児・食育・親子問題についての執筆を行うライター。医療・健康・体の不思議、子育て中にもできる美容などにも触れ、さまざまな面から「子どもとの生活」についてのライティング実績がある。講師業では、「脳と体を考える食育」についての情報を提供。

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