イヤイヤ期の子どもの気持ち
ダダをこねても、泣いて騒いでも、それほど時間がかからずにご機嫌になっていたのに、あるときから一度「イヤー!」となったが最後、手をかえ品をかえなだめてみても、なかなかおさまらない。それが2〜3歳児の「イヤイヤ期」です。
ほとんどのおうちの人が「これがウワサのイヤイヤ期か」と体験するものなので、「私だけ?」と悩むことはありません。イヤイヤ期を体験したおうちの人の声をいくつか紹介しますね。
「何するにも『やだぁ?!!』。朝、起きて着替えるのもご飯を食べるのも歯をみがくのもお風呂に入るのも、全て『やだぁ?!!』の連呼です」
「手を貸すと『やめて』と大泣き!! 何でもできると言いたいらしい...。とりあえず自分でさせているけど、時間はかかるしトンチンカンなこともします」
どうして「イヤイヤ」するの?
幼稚園教諭を長く務め、乳幼児教育研究所講師である浅野ななみ先生は、2〜3歳児は「感情・思考・表現」がつくられていく「自己形成期」だから、「イヤ!」「自分で!」が強くなるのだと解説します。
つまり、イヤイヤ期は成長の証(あかし)なんですね。
自分が中心だった時期から、だんだんと他者の存在に気づき始め、人との関わり合いが増えていきます。その中で、自分と他者との違いを感じたり、ぶつかり合ったりする経験をしながら、"自分"を"自分"と意識するようになっていくのです。
「自分」ができる時期だからこそ、小さな"できた"を積み重ねることがとても大切です。
とはいえ、できないことがたくさんある年齢です。「自分で!」と言い張っても「それは無理よ」ということが多いでしょう。そんなときは、部分的にチャレンジさせてあげたり、お子さまの"できる"レベルに合わせたりしてみましょう。
また、ほめてもらえることで、自信につながっていきます。多少間違っていても、失敗しても、少しだけでもできている部分をほめてあげることで、次もやってみようという意欲につながっていくのです。
ボタンを留めたり、靴をはいたり、まだ自分ではできないのに、「自分でー!」とやりたがることってよくありますよね。おうちの人が急いでいるときに限ってそうなることも多く、「いい加減にしてー!」とイライラしてしまいがちですが、「自分でやりたい」という欲求は成長の原動力です。
できるだけ時間に余裕をもつように心がけたり、どうしても時間がないときは、「時間がないのー。ごめんねー」とパパっとおうちの人がやってしまっていいでしょう。
避けたいのは、「できないくせにどうしてやりたがるの!?」といった、お子さまの欲求自体を否定する言葉。「自分でやりたい」という気持ちがいけないことだと感じてしまいます。