イヤイヤ期はいつから始まる?対処法と乗り越えた先輩保護者の体験談

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イヤイヤ期はとても大変な時期です。子どもが成長している証とはいえ、心穏やかに過ごせないこともあるでしょう。今回は、そんなイヤイヤ期の特徴や対処法、いつから始まるのかなど、発達心理学が専門の東京都立大学 人文社会学部 教授の酒井厚先生監修のもとご紹介します。イヤイヤ期について正しく理解すれば、気持ちも少しラクになるかもしれません。

この記事のポイント

イヤイヤ期とは?いつから始まる?

イヤイヤ期は、その名の通りどんなことでも「イヤ!」と拒否し、保護者のかたの言葉を聞いてくれない時期のこと。ただこれは自我が芽生えてきた成長の証でもあり、子育ての過程で多くのかたが経験するもの。子どもの成長の後押しができるように、そして保護者のかたもなるべくストレスを溜めずに過ごせるように、上手に付き合っていくことが大切です。

イヤイヤ期はいつから始まりましたか?

イヤイヤ期が終わったのはいつごろでしたか?

イヤイヤ期は「1歳半~2歳くらい」のタイミングで始まる子どもが多いといわれています。ベネッセ教育情報が取ったアンケート※でも、1歳半~2歳まででイヤイヤ期が始まったと回答したかたが47%と半数近い結果に。ただ、正確な時期があるわけではなく、個人差も大きいです。あくまで目安と考えてください。
また、イヤイヤ期が収まった時期については2歳半~4歳までと幅がありました。

年齢別のイヤイヤ期の特徴

イヤイヤ期の特徴は、年齢によって異なるケースも。0歳、1歳、2歳、3~4歳のそれぞれのイヤイヤ期の特徴を見てみましょう。

0歳の場合

0歳の赤ちゃんであっても、自己主張の現れとしてイヤイヤ期に近い状態になる可能性があります。

言葉が話せないこの時期は、身振り手振りで一生懸命表現します。 離乳食を「べーっ」と出したり、やりたい遊びがうまくできなくて怒ったりするのは、自分の気持ちを表現しているということ。

ただこの頃は、まだ切り替えも早い時期。「食べたくないんだね」「うまくいかなかったね」と気持ちを言葉にしてあげて、落ち着くまで見守ってあげると良いでしょう。

1歳の場合

1歳を過ぎて自分で歩けるようになると、いろいろなことに興味が出てきて、できることも増えてくるでしょう。その分、思うようにいかないとかんしゃくを起こしてしまう場合もあります。やりたいことや好きなことがまだ表現できず、「イヤ!」という主張しかできない場合もあるでしょう。

1歳になっても、0歳の頃と対応は同じです。「これができなくてイヤだったんだね」というように、気持ちを受け入れて言葉にしてあげましょう。それだけでも落ち着く可能性があります。

2歳の場合

「魔の2歳児」ともいわれ、悩んでいる保護者のかたも多い年齢でしょう。「自分でやりたい」「やりたくない」といった自己主張が一段と強くなってくる時期。今までは他のことに興味をそらせて対処できていたのに、それも難しくなってきます。

2歳でも、基本的な対処法は今までと変わりません。あとは、気が済むまで思う存分やらせてあげましょう。その方が気持ちも早く落ち着く可能性があります。危険がない限りは、失敗しても間違えても子どもの経験になる、と思いできるだけ見守ってあげられるといいですね。

3~4歳の場合

3~4歳は自分でできることもぐんと増え、会話も上手になってきます。この時期に気を付けてほしいのは、親子の気持ちのすれ違いです。保護者のかたの「このくらいならできるはず」という思い込みが、子どものイヤイヤを加速させてしまう可能性も。

「できるのにどうしてやらないの?」というのは、保護者のかたの視点。まだまだ幼いお子さまにとっては難しいことも多いものです。その日の気分や体調によってもできることが違ってくるでしょう。子どもの目線に立ち、子どもの気持ちにできるだけ寄り添ってあげてください。求めることのハードルを上げ過ぎないことが大事です。

イヤイヤ期の子どもの行動3つ

イヤイヤ期には、具体的にどんな行動をするのでしょうか? あらかじめ理解しておけば、気持ちの準備もできるかもしれません。

いきなり癇癪(かんしゃく)を起こす

何か気に入らないことがあったときに、いきなりかんしゃくを起こす場合があります。これは主に0~2歳の子どもに多い行動。自分の気持ちをうまく言葉にできないため、かんしゃくという方法で気持ちを表現しているのです。

言葉で気持ちを伝えられるようになれば、かんしゃくも次第に減ってくる傾向にあります。

できないことでもやろうとする

自分でやりたい気持ちが強く、なんでもやろうとします。ただ、自分が想像したようにできず、イヤイヤを言ってしまうのです。初めてのことがうまくいかず、イライラした経験は大人でもあるでしょう。その気持ちと同じです。

子どもが試行錯誤しながらがんばっているときは、途中でやめさせずになるべく見守ってあげましょう。うまくできなくても、その体験は必ず成長や自信につながります。できたときには、一緒に喜んであげましょう。

すべてのことに「イヤ」と言う

保護者のかたが何を言っても「イヤ」と言うのは、まさにイヤイヤ期の特徴です。

何でもイヤというときは、子どもに任せて一旦離れてみるのもおすすめです。遠くからそっと見守っていると、いつの間にか自分でやっている場合もあります。イヤなことがあるのではなく、「イヤ」と言うことが目的になっているケースもあるため、あまり思いつめずに接してみてください。

イヤイヤ期の対処法7つ

続いて、イヤイヤ期に役立つ対処法を7つご紹介します。年齢やお子さまの性格によって、合う対処法は違うので、紹介する対処法を参考に、いくつか試し、自分に合った方法を見つけて、イヤイヤ期を乗り越えていきましょう。

細かいことはなるべく気にしない

イヤイヤ期をうまく乗り越えるためには、できるだけ細かいことは気にしないようできるといいですよね。危険がなければ、やりたいことを任せてやらせてみましょう。

お子さまも親も、失敗や間違いをたくさん経験して成長していきます。ですから、完璧を目指す必要はありません。なんでも「ダメ」と言っていると、保護者のかたもお子さまも疲れてしまいます。 「この時期は仕方ない」「これくらいはいい」と思うようにすると、気持ちがラクになるかもしれません。

時間と気持ちの余裕を持つ

気持ちにも時間にも余裕を持つと、親子ともにストレスなく過ごせるようになるでしょう。

時間がギリギリだと、子どもに「自分でやりたい!」と言われてもやらせてあげられません。もちろん、忙しい毎日で時間を作るのは大変でしょう。そんなときは、子育て以外のところでちょっとラクをしてみてください。掃除の回数を減らしたり市販のお惣菜を使ったりして、少しずつ時間を作ってみましょう。

また、気持ちの余裕も必要です。保護者のかた自身が、リフレッシュの時間を作ったり、ストレス発散方法を持っておいたりしましょう。気持ちに余裕が生まれれば、子どもを見守ることができ、イヤイヤ期も上手に乗り越えていけるはずです。

別の楽しいことに注意を向けてあげる

0~1歳頃であれば、別のことに注意を向けてあげても良いでしょう。おやつやおもちゃなど、楽しいアイテムを使ってみても良いですね。

これは、大きくなってからも使えるテクニックです。公園で遊んでいて「まだ遊びたい」「帰りたくない」と言ったときなどは、「おうちに帰ったらこれで遊ぼうか」「家まで競争して帰ろう」など、楽しいことを提案してみても良いでしょう。

ただし、どちらの場合も子どもの気持ちは一度受け止めてあげましょう。「ごまかす」のではなく「切り替える手助けをしてあげる」イメージです。ごまかすと逆にイヤイヤが強くなってしまうため、注意しましょう。

子どもの気持ちを尊重する

子どもの気持ちを尊重した関わり方は、イヤイヤ期だけでなくどの年齢でも大切です。大人と同じように、子どもにも自分なりの考えがあります。

子どもの気持ちを尊重してあげると、「自分のことをわかってくれた」と思えるようになります。そうすれば、別の場面でも話を聞いてくれるようになるでしょう。信頼し合える親子関係を築くためにも、子どもの気持ちを尊重することは忘れないようにしたいですね。

ただしこれは、子どもの要求をすべて受け入れるという意味ではありません。子どもの気持ちを理解してあげるという意味です。無理なこと、やってはいけないことは、しっかりと伝えてあげてください。理由を添えて、「パパ・ママはこう思うからこれをやめてほしいんだ」というIメッセージ(アイメッセージ)を意識していきましょう。ちなみにIメッセージとは、主語を自分にした伝え方のことです。

予定を事前に伝える

イヤイヤ期のお出かけは大変。生活がスムーズに進まない日もあるでしょう。そんなときにおすすめなのは、見通しを立ててあげることです。「今日は買い物に行くよ」「3時になったら帰るからね」「夕飯を食べたらお風呂に入るよ」など、予定している内容や時間を子どもに伝えてあげてください。予定がわかると子どもは安心し、気持ちの準備もできます。イヤイヤも出にくくなるかもしれません。

子どもの話をじっくり聞く

子どもの話は、最後までしっかり聞いてあげましょう。まだ言葉が少なかったり、ゆっくりだったりする場合も、しっかり待つことが大切です。

まだ生まれて数年の子どもたちですから、大人のようにスラスラ言葉が出てくるわけではありません。時間はかかって当然。忙しいなかではありますが、できるだけ子どもの言葉に耳を傾けてあげたいですね。

体調が悪くないか確認する

「ずっと機嫌が悪い」「何をしても泣き止まない」というときは、体調が悪くないか確認しましょう。イヤイヤ期であっても、「何かいつもと違う」と思ったことがあれば熱を測ったり、痛がっているところがないか確認したりし、必要であれば病院を受診しましょう。難しい時期だからこそ、体調を含めた本当の原因に気付けるようにしてあげてください。

先輩保護者が実践しているイヤイヤ期の対処法は?

子どもの意見を尊重する

かならず「どうしたいのか」を尋ねるようにしていました。可能な限り、子どもの意思を尊重しました。厳しいときは、理由も含めて説明して、納得して貰う努力をしました。
時間がないときや納得してもらえないときは強硬したこともあったが、後でキチンと謝り、次回は意に添えるよう配慮しました。
何度か繰り返して、自分の意見を聞いてもらえると理解してくれたら、衝突はしなくなりました。代わりに、その場その場の押さえきれない感情の溢れは、幼い子どもだし仕方ないと思っていたので、それをイヤイヤ期とは結びつけて考えませんでした。(北海道 お母ちゃんさん)

前向きになれるような声掛けをする

自分の気持ちに余裕がある時は『そうだねイヤだよね』と共感してから『でもやらなきゃいけないんだ。一緒にやろう』と促していました。子どもの気持ちをそらすために『よーいどん!競争だよ』とか『あっ!この葉っぱキレイ!』とか他の話題を出すのもやりました。
『ハミガキしたら、ピッカピカになって気持ちいいよ』とかやりたくなるようなことを言うなども。
子どもの気持ちが落ち着かなくてどうしようもない時は、しばらく好きなようにさせてほうっておくか、『お母さんもイヤだよ~』といっしょに泣くなどしていました。(大阪府 みそさん)

イライラしてはいけない、と思わない

イライラしてはダメ、怒ってはダメと思うとストレスです。お互いイライラして当たり前、の気持ちでいました。子どもはやりたいことが上手くできない、伝えられないイライラ。親は自分がやったほうが早いのにとイライラ。
時間があるときは、しょうがないなーと思って見ていました。付き合ってあげるだけではなく、時間がなくて付き合えないときはちゃんと話をすると分かってくれることも多かったです。(山形県 SAHOUINさん)

時間に余裕をもってグズりに備える

手を差し伸べる前に、必ず手を出してもいいか確認していました。嫌がったら、本人が頑張っているときは絶対に手を出さない。時間的余裕が無いと子どもに合わせられないので、30分から1時間の余裕を持って何でも行動しました。子どもが突然やりたいと言い出したり、グズっても時間的余裕があると心の余裕につながり、イライラしませんでした。
時間的余裕が無いときは、次のことを諦めたり、夫に協力してもらってフォローしてもらったりしました。(静岡県 きよみさん)

楽しんで取り組めるように工夫

朝の準備なら、一緒にしたり、母とどっちが早いか競争したり、『私(母)は上手にできたよ』とわざと自分を褒めてみたりしていたら、いつの間にか子どもも自分でし始めたので、自分でやり始めたら何も手は出さず見守っていました。
あとは、イヤイヤと言うとき私も子どものマネをして一緒にイヤイヤ言っていたら、次第に笑い始めて、その後もずっとまねしていたら、そのうち飽きたのかあんまり言わなくなっていました(ピノコさん)

本人に任せる部分は任せつつ、時には甘えさせる

何でも自分でやりたがったので、服などはなるべく本人に決めさせ自分で着替えさせました。こだわりが強く同じ服ばかり着たがった時期は、同じ柄の服を複数買いました。
それでもやる気なさそうにダラダラしている時は、甘えさせながら手伝うと、再び自分で動き出すことがわかり、どうやら本当は『手伝って』が言いたいけど言えてないタイミングでイヤイヤすることがわかりました。(広島県 かーかさん)

イヤイヤ期の子どもを怒ってしまった場合の対処法

いろんな対処法を試しても、うまくいかないことはあります。子育てに家事に仕事にと忙しいなかで、つい子どもを怒ってしまったという経験は、きっと誰もがあるはずです。

そんなときは、素直に謝りましょう。その後に、ぎゅーっと抱きしめてスキンシップをとったり、「大好きだよ」という気持ちを伝えたりしてあげてください。大人だって人間ですから、イライラしたり失敗したり間違えたりもします。ただ、それは悪いことではありません。子どもだけでなく、自分自身のうまくいかなかったこともしっかりと受け入れてあげましょう。そのうえで、次に進んでいきたいですね。

まとめ & 実践 TIPS

イヤイヤ期は、いつからいつまでと正確に決まっているわけではありません。ただ、いつか終わりは来ます。完璧を目指さず、「今はそういう時期」と割り切って過ごしてみると、少しラクになるかもしれません。
アンケートに回答いただいた保護者のかたからも、
「小さい内の子育ての苦労は日々に追われているせいか記憶に残っていないです。きっとその時はものすごくしんどかったはずだけど。気がついたら大きくなっていて、いろいろできるようになっていて……そんな感じなので、今はしんどいかもしれないけど、大丈夫だよ何とかなるよ、と今小さいお子さんをお持ちの方には伝えたいです。」
とのエールが。
「あの頃は大変だったんだよ」と笑って話せる日を楽しみに、お子さまの成長を見守っていきましょう。

※保護者のかたに関するアンケート
調査地域:全国
調査対象:小学生・中学生・高校生のお子さまをお持ちの保護者のかた
調査期間:2023年11月15日~11月23日
調査手法:WEBアンケートによるベネッセ調べ
有効回答数:396名
※小数点以下を四捨五入しているため、合計が100%にならないことがあります。

プロフィール


酒井 厚

東京都立大学 人文社会学部 教授
早稲田大学人間科学部、同大学人間科学研究科満期退学後、山梨大学教育人間科学部を経て、現在は東京都立大学人文社会学部教授。主著に『対人的信頼感の発達:児童期から青年期へ』(川島書店)、『ダニーディン 子どもの健康と発達に関する長期追跡研究-ニュージーランドの1000人・20年にわたる調査から-』(翻訳,明石書店)、『Interpersonal trust during childhood and adolescence』(共著,Cambridge University Press)などがある。

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