片付けって楽しいね! 片付けの3ステップ実践編「選ぶ」
お子さまの片付けに関して「子どもの物は、子どもが自分で片付けてほしい」と考えている保護者のかたは多いようです。ただ、実際に子どもに片付けをさせるとなると、「何を片付ければよいのか」「どこから片付ければよいのか」「親はどこまで手伝うべきか」などの声も聞かれます。
そこで、ライフオーガナイザーとして片付けと収納のアドバイスを行い、子どもの片付け方に関する書籍などで活躍中の鈴木尚子先生に、保護者のかたからの相談にお答えいただきます。また、子どもにとって片付けやすい収納方法や、片付けを続けるためのコツをご紹介します。
片付けの最初のステップ「選ぶ」
片付けには「選ぶ」「しまう」「続ける」の3つのステップがあります。最初のステップは「選ぶ」ことです。
片付けを始める前に注意したい点があります。「さあ片付けよう」という時、片付け方についていろいろ調べ、「うちにはこの収納グッズがない」と購入してしまう保護者のかたが少なからずいらっしゃいます。しかし、その前にまず、自分の持ち物の全体量を知ることが大切です。
たとえばお子さまを含めた家族みんなの洋服を出して、全体量を把握してください。収納スペースは無限ではありませんから、快適に生活するためには、限られたスペースに必要な物だけが収められているほうがよいのです。必要ではない物がたくさんあるために、家の中に物があふれ、必要な物がどこにあるのかわからなかったり、必要な物がきちんとしまわれていなかったり、しまいにくかったりと、うまく片付かないというご家庭には、そういう状況が多いのです。
物の量の把握は、まず何か1種類を選んで始めましょう。お子さまの物なら、おもちゃや洋服がよいでしょう。時間や体力も考えて、引き出しひとつであってもかまいません。全部出して、「必要な物」「必要でない物」に分けてください。この時は、必要な物を選ぶことにだけ集中し、選び終わったらもとの位置に戻すだけでかまいません。この時「どう収めるか」まで考えてしまうと、片付けが難しくなってしまいます。
物を選ぶ前にお子さまと共有しておくこと
物を選ぶ前に、お子さまには「収納スペースに入るだけの量しか持てない」ことを伝えておきましょう。「収納スペースの把握」とそこに入れる「物量の把握」は、お子さまだけではなく、大人が片付けをする時にも必要なポイントです。片付かない理由に、大人と子どもの違いはありません。もし片付かない理由が「物の量」である場合、その原因は、大人、つまりおもちゃや洋服を与えている保護者のかたがつくっているということです。
おもちゃを一度全部出してみることは、「この量だとしまえるはずがない」「こんなに量があるからいつも床に置いていたんだ」など、保護者のかたにとっても発見があります。物が多いことだけが片付かない理由ではありませんが、大きな要素です。こうしたことから「必要な物」と「必要でない物」を分けることは大切なのです。
物を選ぶ時の合言葉と注意点
お子さまと物を選ぶ時には、「ここに入るだけ」を合言葉にするとよいでしょう。
また、選ぶ作業をする時に保護者のかたが加わると、「これは高価だから」「おじいちゃんが買ってくれたから」とお子さまとは別の思惑が入ってしまいます。なるべく口出しをせず、お子さまの判断に任せるようにしましょう。
お子さまが「いらない」と判断しても、保護者のかたが「どうしてもこれは処分できない」という時もあるでしょう。その場合には、お子さまではなく保護者のかたが別の場所で管理・保管するようにしてください。この方法なら、お子さまも納得してくれるはずです。お子さまの持ち物は、お子さま自身で管理することが、自分で片付けられるようになるコツです。また、このことはお子さまの責任感を育てることにもつながるでしょう。
必要な物を選んだあとは、選ばれた物の中から、「仲間同士」、たとえばお絵かきのセット、習い事の道具など、使う時に一緒にあったほうがよい物を選びます。こうしておくと、「クレヨンはあるのに画用紙がない」ということがなくなります。
「選ぶ」を実践
5歳と3歳の2人の男の子がいるご家庭で、「選ぶ」を実践していただきました。おもちゃを全部出してみると「想像しているより多かったです」と保護者のかた。これを「好き・好きではない」を基準にお子さまたちが分けます。この時、保護者のかたはお子さまの気持ちを尊重し、お手伝いに徹します。
その結果、「好きではないおもちゃ」には普段遊んでいない物が選ばれました。「好きなおもちゃ」に選ばれた物は、「電車の仲間」「ミニカーの仲間」「たたかいごっこの仲間」など。お子さまと相談しながら、さらに仲間同士に分けました。
「いらない(好きではない)」とされたおもちゃを見て、「このおもちゃはあんなに好きだったのに」「このおもちゃはどうしてもほしいと言っていたのに」などと思うところがあるかもしれません。しかし、ここで、保護者のかたには「どんな物が処分対象になったのか」をよく見ていただきたいと思います。こうした物の処分は胸が痛みますが、大切なのはここから学ぶことです。なぜ、まだ使えるのにいらない物になってしまったのでしょうか。たとえばレストランでもらった景品などをいらない物の中に見つけたら、最初からそんなにほしい物ではなかったのかもしれません。
また、保護者同士で協力することも大切です。たとえば、せっかく母親がおもちゃの量を管理しようとしても、父親が買い与えているのでは困ります。お子さまが「いらない」と判断した物から、片付かなかった原因を学び、生かしましょう。「もったいない」「次回から気を付けよう」と意識することで、不要な物の量は減るはずです。
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