子どもの自家中毒ってどんな病気?【前編】原因と症状

「自家中毒」とは、普段元気な子どもが急に何回も吐く症状が数日続き、また元気になることを繰り返す病気で、「周期性嘔吐(おうと)症」とも言われます。では、具体的にどのような病気なのか、原因や症状、治療法などについて、帝京大学医学部小児科客員教授で、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科教授・学科長の児玉浩子先生に教えていただきます。



自家中毒(周期性嘔吐症)はなぜ起こる?

「自家中毒」「周期性嘔吐症」「アセトン(ケトン)血性嘔吐症」などは、どれも同じ症状を示すもので、最近は主に「周期性嘔吐症」と呼ばれています。ちなみに、「自家中毒」とは、よりわかりやすく伝えるために日本の医師が考えた呼び名です。
症状の特徴は、患者によって程度はさまざまですが、普段は元気な子どもが急に吐き始め、嘔吐を繰り返し、4~5日で治まり、また元気になることを繰り返すのが共通のパターンです。嘔吐以外にも、倦怠(けんたい)感・蒼白(そうはく)・腹痛・吐き気・食欲不振・頭痛など主に自律神経の異常を訴える場合もあります。発症年齢は、3歳から12~13歳までが多く、5~6歳がピークです。まれに新生児や、成人してからの発症例もあります。
発症のきっかけも、子どもによりさまざまです。風邪、刺激食品の摂取、ストレスなどが誘因になると言われています。ピアノの発表会前に緊張するなどの嫌なストレスや、遠足前に興奮するといった楽しさなどからくるストレスなど、精神的な刺激に体が過敏に反応して症状が起こるようです。心配性の子どもや興奮しやすい子どもは、その状態が増長しないように落ち着かせることが大事です。



基本的に治る病気なの?

この病気は、基本的に治る病気です。たいていの場合、数年または思春期になると治りますので、そんなに不安にならなくても大丈夫です。ただ、まれに大人になって片頭痛という形で表れる場合もあります。じつは、この病気は片頭痛の子ども版と言われていて、大人で片頭痛の持病がある人の幼少期の症状だという見方もあります。つまり、子どものころ周期性嘔吐症になった人は、大人になると片頭痛を発症する可能性が高くなるということです。片頭痛も、周期性嘔吐症と同じく、突然起こり短期間でケロッと治るという点で、症状に共通点があります。
ではなぜ、子どもの場合だと吐くのでしょうか。それは、いろいろな臓器の中でも、腸は外部からの刺激に反応しやすく、特に子どもは消化器が弱いので、ストレスなどの刺激が嘔吐のような消化器症状として出やすくなるのです。また、遺伝的な関連もあると考えられているので、保護者が片頭痛をお持ちの場合は、子どもが周期性嘔吐症を発症する可能性が高くなります。その場合は、普段から気を付けて子どもの様子を見守ってください。
子ども自身が、突然もよおす吐き気を抑えることは、とても難しいことです。また、突然吐くことは、肉体的な面だけではなく、非常に不安になったりすることもあります。でも、保護者のかたが病気を正しく理解して、上手に付き合えるよう心掛ければ、そんなに怖がる病気ではありません。

次回は、自家中毒(周期性嘔吐症)の対応法と治療法、予防法についてご紹介します。


※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

プロフィール


児玉浩子

大阪大学医学部卒業。帝京大学医学部小児科客員教授、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科教授・学科長。著書に『小児・思春期診療最新マニュアル』(共著・中山書店)などがある。

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